永田町に出回る自民「怪文書」で判明した、菅・二階の絶体絶命

 

新型コロナ対策が後手に回っていると不評なのに加え、長男がからんだ総務省の接待疑惑など、いくつもの不祥事が重なり、内閣支持率よりもずっと菅首相のイメージは低下している。トップの人気が自分の票に響くとあって、自民党内では、菅首相による解散総選挙になるのを不安視する声も出ているようだ。

その一つと見られるのが、3月初旬、議員会館の自民党議員事務所にポスティングされたA4一枚の「怪文書」といわれるものだ。文書の差出人は「総選挙前に党則第6条第1項(総裁公選規程)に基づく総裁選挙の実施を求める会」で、以下のような日程が記されている。

9月7日自民党総裁選挙告示▽9月20日総裁選挙投開票日(総裁決定)▽9月22日首班指名▽9月27日解散▽10月24日総選挙投票日。

差出人名からみてもわかるように、総裁選を実施し、そこで選ばれた首相のもとで解散するべきだという主張だ。書いてはいないが、菅首相による五輪前の解散を否定している。そして、五輪・パラリンピックが閉幕する9月5日を待ち、その後に総裁選、解散総選挙へと進むスケジュールを例示している。

おそらく、自民党国会議員の有志が出したものだろうが、そこには、総裁選をしたくない菅・二階ラインの思惑を察知し、機先を制する意図も込められているのではないだろうか。

総選挙の勝利ですでに国民の信任を得たという理屈をもって、総裁選をせずに話し合いで再任、というのが菅・二階の描くシナリオだろう。五輪までの早期解散であれば総裁選は避けられないが、この時期なら回避できるという算段もあるに違いない。むろん、安倍晋三前首相、麻生太郎副総理が相変わらず菅支持であることが前提だ。

安倍・麻生が菅再選の反対派にまわれば、話はがらりと変わる。ポイントは、菅自民党のままで大丈夫かということだ。その試金石となる選挙が間近に控えている。

4月に行われる衆議院北海道2区、参議院長野選挙区の補欠選挙と、参議院広島選挙区の再選挙だ。衆議院北海道2区は吉川元農林水産大臣が収賄の罪で在宅起訴されたため、自民党は候補者の擁立を見送ったが、参院長野と広島には候補を立てる。長野はコロナ感染で急死した羽田雄一郎氏の弔い色がある分、野党有利。広島も、河井克行、案里夫妻の選挙違反事件の舞台だけに、自民党は苦戦を強いられる。

3月21日の千葉県知事選で、自民党推薦の候補者が約100万票も差をつけられて惨敗したばかり。そのうえ、4月の三つの国政選挙で野党に軍配が上がることになれば、それこそ菅首相の不人気が鮮明になり、党内に「菅降ろし」の風が吹きすさぶだろう。

そうなったときでも、安倍、麻生両氏が全面的に菅首相を支持するかといえば、はなはだ疑問である。両氏は「総裁選で決めるべきだ」と原則論を持ち出すのではないか。

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