韓国「慰安婦が敗訴」の歴史的判決。日韓は時計の針を2015年にまで戻せ

 

和田春樹らは「総理の手紙」を手渡すべきだと

朴教授が言及している「和田春樹教授ら日本の知識人たちの提案」とは、石坂浩一(立教大学教員)、内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)、内田雅敏(弁護士)、岡本厚(元「世界」編集長)、鈴木国夫(市民連合めぐろ・せたがや共同代表)、田中宏(一橋大学名誉教授)、矢野秀喜(朝鮮人強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動事務局長)、和田春樹(東京大学名誉教授)の8人が連名で3月24日に公表した共同論文「慰安婦問題の解決に向けて――私たちはこう考える」のことである。

その中で彼らは、この問題の30年の試行錯誤の跡を振り返りつつ、15年合意が行き詰まった日本側の要因として、せっかく安倍が「慰安婦として、数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からのお詫びと反省の気持ちを表明する」「日本政府の予算により、全ての元慰安婦の方々の心の傷を治癒する措置を講じる」とまで言いながら、それを文書として発表することも、手紙にして被害者に届けることも嫌ったために、相手の心に届く誠実な謝罪と受け止められなかったことを挙げている。彼らの提案はこうである。

▼2015年合意の核心部分を再確認し、「政府の責任を痛感して、すべての慰安婦被害者にお詫びと反省の気持ちを表明」した安倍総理の言葉をあらためて文章にして署名し、日本政府を代表する駐韓大使をして、20人といわれる生存慰安婦被害者にその意を届けさせるべきだ。

▼文大統領は、2015年合意を両国間の公式合意であると承認する立場を表明したのだから、日本政府が拠出した10億円から、和解・癒やし財団が生存被害者35人と被害者遺族58人に1億ウォン、2,000万ウォンずつを伝達したことを報告していただきたい。その上で、残った5億4,000万円に、韓国政府が慰安婦被害者のために治癒財団に別途支出した100億ウォン(約10億円)を合わせて、韓国政府がめざす慰安婦問題研究所の設立に使うべく、日本政府の協力をもとめて協議されることを望む……。

日本政府もいつまでの突っ張ってばかりいても仕方がない。朴教授やこの共同論文の提案を参考にしつつ具体行動に出る時ではないのか。

和田らの共同論文は1月の判決とそれへの日本政府の反応を心配して3月に発表されたもので、4月の新判決への評価は含まれていない。が、この問題で最も苦労してこられた方々の提案は有効であり、また30年間を簡潔に振り返っていてこの問題の理解に有用だと思われるので、以下に全文を紹介する。

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