五輪2大会連続メダリストの有森裕子さんが、2度目のメダルを取ってようやく「初めて自分で自分をほめたい」と言うくらい自分を認めるのは難しいもの。でも、ほめるほどではなくても、OKを出せること、失敗しても次!と思えることは、前向きに生きていく上でとても大切です。今回のメルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』では家庭教育のプロの柳川由紀さんが、自己否定しない子、自分にOKを出せる子に育てる親のアプローチ法を伝えます。「出来ないこと」や「ないこと」に目を向けてしまう悪癖が親自身にないかも問いかけています。
自分にOKを出せる子供に育てる!
1.失敗したときの反応は育った環境で違う
人は、何かに失敗したときや、上手くいかないときに、「ああ、自分は何てダメなんだ」と落ち込んだり、「あ、失敗した」とスルーしたり、様々な反応を示します。反応の仕方はこれまでの環境によります。自分にOKを出せる人は、失敗しても、自己否定することはありませんが、OKを出せない人は、落ち込んだり、ストレスを溜めてしまったりします。
親としては、子供が失敗しても、子供が自己否定することなく、失敗して残念だったけどそれもOK、と考えられるようにアプローチしましょう。そのためには…?
2.出来ていることに注目
そのためには、出来ていることに注目することです。出来ないことや、出来ていないことに目を向けがちですが、出来ていることに目を向けて、アプローチしていくと、子供は、自分が出来ないことが気にならなくなります。そして、出来ていることや、出来ることを増やそうとします。つまり、出来ないことでも、できるようになろう、と自ら挑戦するようになるのです。
やる気スイッチが押される、という感覚です。子供のやる気スイッチを「ON」の状態にするためにも、出来ていることに注目し、認めてあげましょう。例えそれが、当たり前に思えても子供にとってはそうではないかもしれません。小さなことでも一つ一つ認めましょう。
3.自分で自己肯定感を作り出す
人は取り組んだ物事に対して無意識に「出来たのか出来なかったのか」を評価しています。目に見えない、無意識に作り出している評価基準で、OKラインとも呼べる基準です。「ストレスで精神的に追いこまれている時」「プレッシャーで力が発揮できない時」「やる気が続かない時」などは、このOKラインが、今の自分に合っていないことが大きな原因です。
ですから、子供には、子供に合ったOKラインを設定することが必要です。そのために親ができることは、「あなたはどう思うの?」と、子供に意見を求め、考える癖をつけさせることです。
ここで注意しなくてはいけないことが一つあります。親に愛されたいから、人に好かれたいから、という理由で、他者に迎合した答えを出すかもしれません。それでは、他人の意見や価値観を優先してしまい、自分軸ではなく他人軸になってしまいます。「わかんない」と言うかもしれません。その時は、子供が自分の考えを整理できるよう親が子供に寄り添い、一緒になって考えましょう。
家庭教育アドバイス「ないものねだり」
人は自分に無いものを欲しがるという傾向があります。というのもそれが無い自分には価値がない、それが無いから愛されない、認められない、と無意識に思っているからです。
ですから、欲しかったものが手に入っても、またすぐに次の欲しいものが出てきます。そして、ずっと何かを追い求める人生になります。だからこそ、「無いもの」ではなく「あるもの」に目を向けてみることです。
親が子供に何かを求めるのは、それが他人の子供が持っているから、あるいは、親自身にそれが無いからではありませんか?まずは親自身が、自分を振り返り、自分にOKを出すことから始めましょう。ダメな自分もOKと認めましょう。
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