また、口先での言い逃れができないように、証拠や証言、あるいは診断書なども集められると良いのですが。「性犯罪」の対処法は、苛烈で犯罪行為まで及んだ「いじめ」と同様の方法で対処すべきです。場所が、学校内であるとか、対象者が教員であるとか、は関係ありません。ハードルが高いと思うのは、思い込みです。こと、性被害の相談においては、公的機関は守秘義務を必ず守ってくれます。捜査機関へ犯罪事実を申告し、犯罪者の処罰を求めることです。「告発」は誰でもできます。告発することには、被害者やその保護者の同意は必要ないのです。
特に公立学校の教職員は公務員であり、公務員には「告発義務」が法律で定められています(注)。ですから、本来、公立校の先生方は警察等に、子供に対する犯罪行為を届け出なければいけないのです。
子どもを守りたい、その強い気持ちさえあれば、高いハードルも越えられます。重い扉も開いていきます。密室で行われることの多い性犯罪、まして子どもが被害者となってしまうと、立証することはむずかしいと思いがちです。けれども、検察や裁判所においても、「被害者の証言は具体性及び迫真性がある」、「経験した人でなければ語ることのできない発言…」という判決が示すように、子どもの真摯な言葉に耳を傾け、被害者を尊重する傾向が顕著になってきています。
もしも、身近で、子どもが悩んでいたら、手をさしのべてあげてください。私たちは常に、正しい人を相談援助、支援する側に立っています。
社会福祉士・精神保健福祉士・行政書士
元保護観察官、前名古屋市子ども応援委員会 スクールソーシャルワーカー
現・福祉系大学講師 堀田利恵
(注)
刑事訴訟法 第239条
第1項 何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。
第2項 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。
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