小池知事“二階派乗っ取り”で自民総裁就任か。盆明け政局の有力シナリオ

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先日掲載の「菅首相を待つのは地獄のみ。支持率30%切りで始まる自民“菅おろし”」でもお伝えしたとおり、崩壊寸前とも囁かれる菅政権。この秋に行われる総選挙に関しては、自民党内から「菅首相では戦えない」という声が多く上がっているとも聞かれますが、識者はどう見るのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では著者で米国在住作家の冷泉彰彦さんが、菅政権の求心力崩壊の理由を考察するとともに、盆休み明けの政治シナリオを予測。日本初の女性宰相誕生の可能性についても言及しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2021年8月10日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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日本の政局の重苦しさを考える

これからの政治課題としては、五輪の後始末とパラ開催問題というのが直近の問題になるわけですが、同時にコロナ対策についても、ワクチン接種の加速とコロナ病床確保、在宅診療ケアを含めた要員(医師、看護師)確保といった問題が待ったなしとなっています。何とも重苦しい政局です。

さて、そんな中で懸念されるのが菅政権の求心力崩壊です。私は、菅義偉という人は、安倍政権の官房長官を長く経験したことから、行政の全分野に関して過去の経緯と現状の問題点を把握し、また官僚組織の可能性と限界も理解した上でスタートしたと思っていました。

その上で、安倍政権の森友・加計・桜の3大疑惑に関する関与は気になるけれども、関与はパッシブ(受け身)であり、少なくとも菅という人は安倍晋三とは違って、右派イデオロギーを政権求心力に使うという「綱渡り」はやらないことで、前政権よりは安定度を見せるのではと期待もしていました。

ですが、ここへ来て政策と世論との調整という総理に求められるタスクが、どうにも処理できない局面が多くなっています。密室の調整と、世論とのオープンな調整というのはタスクとして全く質が異なるにしても、前任者のすぐ脇でサポートしていた中で、どうするべきかを学ぶチャンスはいくらでもあったわけです。

にも関わらず、結果が出ないのは人材の種類ということなのでしょう。大きな政策に対して孤独な決定を行い、世論に対して孤独な対話を行うには、そのベースとなる世界観、国家観のようなものが必要になります。大局観といっても良いでしょう。勿論、全ての政策において総理個人の大局観が貫き通せるわけではありませんが、何らかのベースとなる「観」があって、その上で妥協したり現実に合わせて修正したりするのと、ベースのないまま力の落ちている官僚機構との調整で確信の持てないまま結論を決めるのでは、やはり大きな違いが出ると思います。

これは、学力とか教養というような話ではなく、政治を行う上でのベースになる基礎力とでもいったものですが、では歴代総理が相当なものを持っていたのかというと、大したものでもありませんでした。

中曽根康弘はやたらに大局観と言っていましたが、事態の展開に追いつくのがやっとで流されるだけでしたし、小渕恵三は善意をベースに、これまた結局は流されるだけでした。小泉純一郎にしても、改革好きというのは良いにしても、改革の本意が日本の衰退を食い止める、とりわけ多国籍企業の海外業績を抜いた真水のGDPを守り抜く迫力はなかったように思います。その他の1年やっては投げ出した多くの政治家には見るべきものはありません。

私個人としては宮沢喜一という政治家には関心がありますが、この人は大きなベースを持っていた一方で、実行力としては訓練がされておらず、参謀以上の仕事は無理があったように思います。広い意味での野心がやや足りなかったのも悲劇でした。

そう考えると、菅義偉という人は、及第点には行くのではと思っていたのですが、このままですとご本人も心身が限界に来そうで見ていられません。

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