次は「あの国」か?ウクライナで人民虐殺のプーチンが進める“謀略”の中身

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3月9日にはウクライナ東部のマリウポリの産科病院に攻撃を行うなど、到底許されぬ蛮行を続けるプーチン大統領。西側諸国による経済制裁も決定打とはならず、ロシアの攻撃は激しさを増す一方という状況ですが、国際社会はこの独裁者の愚行を止める術を持っているのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者で元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、良くも悪くもカギを握る国として中国の名を上げ、習近平政権の今後の動きを予測。そしてその方向性はパラリンピック閉幕後に見えてくるとの見立てを記しています。

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複雑に絡み合う思惑に翻弄され傷つけられるウクライナ人

「あなたは長年にわたるウクライナの歴史とロシアの歴史をちゃんと理解して話しているのか?」

先週号を発行した3月4日金曜日の夕方。

私はこれまでの紛争調停の経験をもとに各国の外交・防衛担当の高官たちに【困難な状況においていかに当事者から納得を引き出すか】という交渉・コミュニケーション術についてお話ししていました。その中で【相手と立場を入れ替えて物事を眺め、相手の隠された本心や悩みなどを理解することがカギ】とお話ししたことに対して、先ほどの質問が飛んできました。

この方はウクライナの元外交官で、国連でも働き、私も紛争調停官時代にご一緒した人物なのですが、通常は沈着冷静に物事を見極める彼が珍しく感情的になっている姿を見て、彼が抱える言葉にならないフラストレーションや怒りを感じました。

講演後、オンラインで彼と話すことが出来、それぞれが持つ情報をシェアしつつ、いろいろと協議しました。

協議の詳細については、秘匿情報が多く含まれるため、詳しくはお話しできないのですが、彼からの問いに対し、私からは「非当事者であり、紛争調停のトレーニングと経験を積んでいる立場としては、答えはYESだ。ウクライナの人たちの歴史観や対ロ感情、逆にロシアの人たちがもつ対ウクライナ感情や歴史観については、調停プロセスの入り口に立つレベルまでは理解しているつもりだ」と答えました。

その上でこう続けました。

「あなたの立場からはとても困難なことを言うし、きっと怒りを買うことになると思う。しかし、問題解決のために敢えて尋ねたい。あなたはプーチン大統領の考えや気持ちが理解できるか?とても難しく苦痛を感じるかもしれないが、ぜひ役割交換をして、一度、とことん想像でいいからプーチン大統領になりきってみてほしい。その上で何が見えるか。それを教えてほしい」

ご想像に難くないかとは思いますが、彼はまた激怒しました。しかし、大きく息を吐いた後、「OK。やってみよう。手伝ってくれ」といい、それから“プーチン理解”の作業を試しました。

内容についてはお話しできませんが、しばらく共同作業をしたあと「ああ、そうか」という見解に達しました。

その後、今週にかけて、彼からの紹介で国内外のウクライナ関係者との意見交換をし、そのうえで「市民の生命や主権など絶対に譲れないものに対しては妥協することなく、プーチン大統領他のニーズを満たしながら、落としどころを見つけるにはどうすればいいか」を様々なアングルから検討しました。

そのプロセスには、ロシアの関係者も途中から加わり、協議の内容や検討内容は、逐次、キエフとモスクワにシェアするという作業をしてくれました。

今のところ、表面的には特にその内容が活かされているようには思えませんが、トルコの仲介の下、ラブロフ外相とクレバ外相が直接会談の機会を持つに至りました。議論は平行線だったようですが、直接対話のチャンネルを開き、キープすることが出来るようになったのは、一つの成果と言えるかと思います。

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