業界関係者をさらに驚かせたのは、1月にソニー自身が「EVの市場投入を本格的に検討」する事業会社としてソニーモビリティという会社を設立すると宣言したことです。この時点で、私も含めて、多くの人たちは、ソニーは製造のみ別の会社(マグナ・インターナショナルなど)に委託し、ソニー自身は、それをロボタクシーのような形でサービスとして提供するのではないかと予想していました。
● ソニーのEVはどうなるのか。リカーリングという「必然」【西田宗千佳のイマトミライ】-Impress Watch
しかし、ソニーがそんな形で自動車業界に進出するのには大きなリスクが伴います。Elon Muskがしばしば指摘するように、プロトタイプまでは比較的簡単に作れますが、大量生産をしてちゃんと利益を上げることは簡単ではありません。自動車の製造に全く経験のないソニーが、ゼロから自動車ビジネスを立ち上げるのは簡単ではありません。
それに加えて、ソニーは複数の異なる業種のビジネスを持つコングロマリットであることを株主から批判されており、今からリスクの高い自動車ビジネスをソニー本体として立ち上げることに、株主から賛同を得られるとは考えられません。
そう考えると、ソニーにとってもホンダとの提携は理にかなっているし、お互いに不得意な部分を補い合うという意味では、両社にとってとても良い提携のように思えます。
ちなみに、私の会社(Xevo Inc.,2019年にLEARに売却)もホンダとのビジネスをしていましたが、当時は、ソフトウェアの話がなかなか通じず、苦労していたことを覚えています。
唯一の救いは、ホンダが2019年にDrivemodeというソフトウェア・ベンチャーを買収したことです。
● ドライバー向けスマートフォンアプリの開発会社 Drivemode社を完全子会社化 | Honda
ベンチャー企業など買収して、ホンダに上手に人を使いこなすことが出来るのかとても心配でしたが、CEOの古賀洋吉氏も残っているし、LinkedInを見る限り(こんなケースでのLinkedInの使い方は別途下に書きます)、ちゃんとソフトウェア・エンジニアも雇っているようなので、今後の活躍が期待出来ます。
● シリコンバレー起業でイグジット、米Drivemode創業者の古賀氏に聞く | Coral Capital
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