維新・前川議員は公選法違反か否か。元検事が解説する「2つの争点」

 

今年3月22日、日本維新の会の前川清成衆院議員(比例近畿ブロック)が、昨年10月の衆院選の公示前に自身への投票を呼びかける文書を配布したとして、奈良地検に、公職選挙法違反(法定外文書頒布、事前運動)の罪で在宅起訴された。

前川氏は公示前の昨年10月14日、奈良市内で「選挙区は『前川きよしげ』、比例区は『維新』とお書き下さい。」などと記載したはがきや「例 前川さんへぜひ一票をお願いします。」などと書いた文書の入った封書を35カ所に送ったとして、起訴されたものだ。

奈良県警は支援者以外の不特定多数に郵送されているとし、宛名書きを名目に投票を呼びかける選挙運動と判断して今年1月、前川氏を公選法違反で書類送検、奈良地検が起訴したものだが、前川氏側は、母校の関西大学の卒業生に、選挙の準備行為としての選挙はがき作成を依頼したもので、送付先に投票を求めてはいないなどと主張している。

前川氏の説明と反論

弁護士でもある前川氏は、自身のホームページに、起訴された事実についての説明と反論を掲載している。そこでは、

「公職選挙法は届出前の投票依頼を禁止しているに過ぎず、政治活動や選挙準備に関する支援のお願いは憲法第2 1条第1項によって「表現の自由」として、特に「優越的な地位」を保障されています。」

と述べた上、事実関係に関して、

「(1)昨年の選挙前、奈良市内の関西大学の卒業生に郵送したのは、「身を切る改革」や教育の無償化などの政策を実行するため、ポスター掲示やボランティア、ビラ配り、選挙はがき作成などの日常の政治活動や選挙準備について支援を要請する文書を送付したもの
(2)「選挙はがきご協力のお願い」には、選挙はがき作成の依頼と記入方法の説明が記載されており、「選挙はがきの用紙に、友人、知人らの住所、名前を書き込んで、送り返して欲しい。」との趣旨
(3)関西大学の卒業生は、在学中のみならず現在も様々な交流があり、特に党派を超えた支援を期待することができる人たち」

などと説明し、

「このような選挙はがき作成の依頼を行うことは、事前運動ではなく、選挙のための「準備行為」であり、もちろん適法です。公職選挙法は、届出前の投票依頼を禁止していますが、選挙前に選挙の準備をすること(準備行為)は禁止していません。

 

本件郵送は決して「支援を期待することができない不特定多数に郵送した」訳ではありませんが、そもそも「支援を期待することができない不特定多数に郵送した」ら事前運動に該当するとか、仮に「支援を期待できない人たち」に選挙はがきの作成をお願いしたなら事前運動に該当するとしても、そこに言う「支援を期待できない人たち」とはどの範囲か、逆に言うと、選挙はがきの作成を誰にお願いしたなら適法で、誰にお願いしたら事前運動に該当するかなどに関して、公職選挙法にもその他法律にも明文の規定はなく、その意味で罪刑法定主義や、表現の自由に対する規制の厳格な明確性の要請からも重大な疑義があります。」

と主張している。

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