ミスを犯した方の行動を考える
悪い情報ほど上司に早く伝える
私は大学を卒業後ハムメーカーで働いていました。私が働いていたハムメーカーでは、行程管理を行う品質管理で商品開発、製品の配合決定も行っていました。ソーセージの配合を現場が間違えたり、ハムの加熱行程で加熱ミスなどを起こしてしまった場合は、本来は間違えた製品は廃棄すべきでした。
しかし、廃棄してしまうと工場の経理上ミスが明確になってしまいます。ミスが明らかになると、工場長の責任問題になるのでミスを隠す必要があったのです。組織をあげてミスが無かった事にしていたのです。
ミスを隠す方法は簡単で、配合ミスなどの問題のある原料、製品をとりあえず凍結し、少しずつ良品に上乗せ配合していくのです。経理上の原価を良品のままにしておけば、全くミスが表面化しなかったのです。
本来ミスを起こしてしまったときには、ミスを起こした内容を細かく明らかにし、上司などに報告し、再発防止策を取るべきです。ミスが経理上無かった事になれば、ミスが起きない体質の組織にはならないのです。
「褒め称えること」の重要性
いい仕事をしてほめられる事は非常にうれしい物です。子供のころは学校のテストでいい成績をとったり、運動会で活躍すると、仲間や親が褒めてくれました。
日本の社会では社会人になってしまうと、なかなか褒めてもらえない物です。社会人になって偉くなると、勲章がほしくなるのは、子供のころの花丸がほしいのと同じ感覚かもしれません。
私はアメリカの企業で仕事をしたことが有りますが、アメリカの企業は本当に人をほめる事を大切にします。売り上げなどが目標を達成したとき、いい仕事をしたときは、全員で拍手をして人を褒め称えます。
いい仕事をしている方を見かけた時は、「ありがとうカード」を書いて掲示板に掲示します。毎月のベスト従業員を掲示板に写真入りで掲示して褒め称えます。
人間は働くときに、お金だけで働くのでは無いと思います。「人間はいい仕事をしたい」「世の中の役に立ちたい」「人から褒められたい」と思って仕事をしいるはずです。
ミス、クレームが発生したことで従業員、仲間を非難するのでは無く、いい仕事をしている人を褒め称えることがいい商品を造る事に繋がると私は思っています。
(無料メルマガ『食品工場の工場長の仕事』2022年5月7日、8日号より一部抜粋)
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