だから国民から支持されない。左派野党が起こしている論理矛盾

2022.06.11
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昨秋の衆院選では自民党の圧勝を許し、7月に控えた参院選に向けても存在感をアピールできずにいる左派野党。なぜ彼らは国民の支持を得ることができないのでしょうか。その原因の1つとして左派野党の「ダブルスタンダード」を挙げるのは、立命館大学政策科学部教授で政治学者の上久保誠人さん。上久保さんは今回、彼らの「9条」と「基本的人権」の扱いの違いを取り上げ、そこに論理矛盾が起きていると指摘。さらに左派野党が現状から脱却するために取るべき戦略を提示しています。

プロフィール:上久保誠人(かみくぼ・まさと)
立命館大学政策科学部教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。

参院選を前に、野党の「憲法改正」に関する公約をダメ出しする

7月の参議院議員選挙では、「憲法改正」が重要な争点となる。ロシアのウクライナ侵略を契機に、北朝鮮のミサイル開発、台湾海峡のリスクなど日本を取り巻く安全保障環境の悪化への不安感や恐怖感も高まっているからだろう。

自民党は、参院選の公約で憲法改正を「重点項目」に位置付けている。岸田文雄首相は、憲法9条の改正について「現実的な課題であり、早期実現が求められる」と述べた。自民党は参院選に勝利して、連立与党の公明党や、改憲に協力的な野党の日本維新の会、国民民主党とともに、改憲の発議に必要な衆参両院での3分の2以上の議席を確保し、24年の改憲発議、25年の国民投票実施で改憲を実現するシナリオを描いている。

衆院の憲法調査会は、開催の回数が増えた。従来は、「国民投票法」など憲法改正の「手続き」に関する議論が中心だったが、緊急事態が発生した時に、政府への権限の集中と国民の私権を制限することを認める「緊急事態条項」の是非が議論されるようになっている。

このような状況において、日本維新の会に注目が集まっている。維新の会は、昨秋の衆院選で議席を3倍以上に増やす躍進を果たした。この勢いを維持して、参院選で改選議席の倍増、次期衆院選で野党第一党の座を立憲民主党から奪うという野心的な目標を打ち出している。

維新の会は参院選で、改憲について自民党を超える踏み込んだ提案をしている。憲法9条に自衛隊を明記し、防衛費を国民総生産(GDP)比2%へ倍増することで、国民を守るための「積極防衛能力」を整備する。そして、「米国の核兵器を日本に配備し運用する『核共有』政策を含めた拡大抑止の議論を日米間で開始する」と訴えている。

維新の会は、改憲・安全保障政策に対する積極的な姿勢を示すことで、右派・保守層の支持を獲得することを狙っている。また、大阪を中心とする「地域政党」から確固たる「国家観」を持つ全国政党への脱皮を図ろうとしている。

この維新の会の姿勢を、自民党は基本的に歓迎しているようだ。維新の会がさらに議席を増やして、自民党と維新の会だけで改憲発議可能な議席を確保できるようになれば、公明党と連立を組む必要性がなくなるからだ。自民党にとって維新の会は、改憲にやや消極的な公明党を強烈に牽制するカードとなっている。維新の会側も、将来的な自民党との連立の可能性を否定していない。

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