ネットの批判すら鎮火。KDDI社長の謝罪会見をプロはどう見たか?

2022.07.06
 

ビジュアル系社長・高橋氏

人は見た目が○割というようなこじつけがまかり通っていますが、9割なんていう科学的根拠は無いにしろ(メラビアンの一部を切り取っただけのウソ解説は山のようにある)プレゼンテーションにおけるビジュアルの重要性は私も同意です。

落ち着きのある説明、何よりど素人にはさっぱり聞き慣れない技術用語をスラスラ使いつつも、決して「素人さんお断り」的に聞こえないていねいな説明。細かい技術情報ではなく、ざっくり何が起きており、何がだめなのかをわからせられる高い説明能力が、ネットの批判すら鎮火し始めたのです。

事態が事態ですし、大災害でありインフラという生命にもかかわる重大トラブルの責任が減じられるものではありません。ただ、高橋氏は全部部下のやったこと、専門家以外理解するはずのない専門用語で煙に巻く手法を取らず、きわめて平坦なトーンで落ち着いた説明を行いました。

危機に置けるリーダーのビジュアルで思い出した人がいます。

コロナが世界を襲った初期、アメリカ、ニューヨーク州では1日500人を超える死者が出るほど、世界最悪の危機に陥りました。その時のニューヨーク州知事クオモ氏は毎日会見を開き、情報提供だけでなくその話し方や物腰が、前例の無い危機に恐怖する州民だけでなく全米からも支持を受けました。

「リーダーが落ち着いていること」は危機において、絶対に外せない条件です。

これはどんな人間でも恐れを知らないとか、危機に接しても平常心を保てといっているのではありません。ビジュアルの問題なのです。

どれだけ恐怖にかられていようと、それをそのまま出すのではなく、リーダーは自分がどう見られるかを常に意識しなければなりません。誰の手にも負えないコロナ問題。ひたすら積み上がる死者。それでも州行政トップとしての職務は毎日続くのです。パニック映画などでギャーギャー騒ぐ登場人物はたいてい早めに画面から去ってしまうもの。主人公は危機にめげずに最後まで精神力を維持するものです。

このことをビジュアルで表現できたクオモ氏。高橋社長も7/3会見では、これに近い役を果たすことが出来たのではないでしょうか。

print
いま読まれてます

  • ネットの批判すら鎮火。KDDI社長の謝罪会見をプロはどう見たか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け