身近になった戦争。今までと同じとはいかぬ8月「終戦の日」に抱く思い

 

つまり、終戦の日とは、戦争が終わったことをメディアを通じて国民に伝えられた日、である。「大きな物語」が終わり、その日から国民はそれぞれの「家族の物語」の中で現実的な不安に襲われることになったのだろう。それは祖母からも聞いた話として私の記憶に残っている。

この「家族の物語」は戦争に反対し、社会が争いを回避しながら多くの人が一緒に暮らせるように生きようとする知恵につながっていると考えれば、終戦の経験で日本が得た知見は一定程度守られてきたのだろう。しかしながら、戦死者がいてその母が家族にいて、その話を「家族の物語」として聞いた私ももう若くはなく、その話を引き継げる人もいない。

その中でウクライナの戦争は戦争を身近にし、台湾有事の現実的な危険性が指摘される中で、私たちの社会はこれまで繰り返されてきた8月の決意を行動として示すことが出来るのだろうか。

国家の危機、という名のもとに、国家は必ずや「大きな物語」を私たちに指し示して来る。それは祭りのように勇壮かもしれないが、やはり私たちは身近な大切な人々と一緒に「家族の物語」を幸せに生きることが基本であることを、この8月に確認したいと思う。

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