アルツハイマー4.3倍、がん1.9倍。医師が警鐘を鳴らす過剰なインスリン注射の害

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血液中のブドウ糖の量を調節するため膵臓から分泌されるインスリン。糖尿病の患者さんは注射や飲み薬でインスリン不足を補いますが、インスリン注射によって他の病気のリスクが大きく上がる研究結果があると伝えるのは、医師の江部康二先生。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、2つの研究論文からインスリン注射のリスクを抽出。自身が提唱する「スーパー糖質制限食」でインスリンの分泌量を必要最小限に抑えるのが、現代人の健康のために有効と伝えています。

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インスリン過多の弊害。生活習慣病予防に「糖質制限食」が効く訳

たとえ基準値内でも、インスリンの血中濃度が高いほど、アルツハイマー病、がん、肥満、高血圧などのリスクとなります。

また、高インスリン血症は活性酸素を発生させ、酸化ストレスを増加させます。酸化ストレスは、老化・癌・動脈硬化・その他多くの疾患の元凶とされていて、パーキンソン病、狭心症、心筋梗塞、アルツハイマー病などにも酸化ストレスの関与の可能性があります。

(A)ロッテルダム研究によれば、インスリン使用中の糖尿人ではアルツハイマー病の相対危険度は4.3倍です。

Rotterdam研究(Neurology1999:53:1937-1942)
「高齢者糖尿病における、脳血管性痴呆(VD)の相対危険度は2.0倍。アルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は1.9倍。インスリン使用者の相対危険度は4.3倍」

(B)インスリン注射をしている糖尿人は、メトグルコで治療している糖尿人に比べてガンのリスクが1.9倍。

2005年の第65回米国糖尿病学会、カナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告、その後論文化しています。コホート研究です。

「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)を内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる」
*Diabetes Care February 2006 vol. 29 no. 2 254-258に論文掲載されたカナダの研究。

A)B)研究論文で明らかなように、過剰なインスリン注射に弊害があることにはエビデンスがあります。

インスリンは内部から分泌されているものでも外部からの注射でも血糖コントロールができている限り少なければ少ないほど、身体には好ましいことがわかります。

別の言い方をすれば、農耕開始後、精製炭水化物開始後、特に第二次大戦後に世界の食糧事情が良くなってからの糖質の頻回・過剰摂取が、インスリンの頻回・過剰分泌を招き、様々な生活習慣病(糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満、高血圧、アトピー性皮膚炎、花粉症、尋常性乾癬、逆流性食道炎、尋常性ざ瘡、片頭痛、機能性低血糖、歯周症、潰瘍性大腸炎…)の元凶となった構造が見えてきます。

すなわち、『生活習慣病 = 糖質過剰病』と言えます。

スーパー糖質制限食を実践すれば、インスリンの分泌は必要最小限で済むようになり、活性酸素の分泌も最小限となり、様々な生活習慣病の予防が期待できます。読者の皆さんも、スーパー糖質制限食実践で、必要最低限のインスリンで血糖コントロールを維持して、健康ライフを送ってくださいね。

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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