中国や北朝鮮と同レベルの人権感覚。日本人の異常な「死刑好き」

shutterstock_307561817
 

死刑についての不適切な発言が問題となり更迭された葉梨康弘元法相。この失言は葉梨氏の無責任な姿勢だけでなく、法相としての「知識の欠如」をも露呈させてしまったようです。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』ではジャーナリストの伊東森さんが、法相が死刑の執行命令を出すのは葉梨氏の言う「当日朝」ではなく、数日前が慣例とする新聞記事を紹介。さらに死刑廃止が国際社会の常識となる中、存続を肯定する日本人が8割にも上る事実を伝えるとともに、その理由について問われた国会議員の返答を取り上げています。

【関連】東大出だけど賢くない。「死刑ハンコ」で判った葉梨法相の頭の中
【関連】人命軽視する“金の亡者”。葉梨「死刑ハンコ」大臣の笑えぬ自虐と無責任

この記事の著者・伊東森さんのメルマガ

初月無料で読む

 

葉梨法務大臣の失言にみる 日本の「死刑」 なぜこれほどまでに日本人は死刑が好きなのか 日本の人権は中国や北朝鮮、イランと同レベル

岸田首相は11日、死刑の執行に関する職務を軽視するような発言をした葉梨康弘氏を更迭した。葉梨氏の進退については、当初、首相は11日昼の参議院本会議で、と続投をさせる意向を示す。しかし政府と与党内で

「法相としての職責を果たすことは難しく、早期に交代させなければ、世論の批判が強まる」(*1)

との声が強まり、結果、更迭が不回避と判断したとみられる。

葉梨氏は、

「法務大臣というのは、朝、死刑(執行)のハンコを押して、それで昼のニュースのトップになるというのは、そういう時だけという地味な役職だ」

と会合で発言。それだけでなく、旧統一教会の問題にからみ、

「今回はなぜか、旧統一教会の問題に抱きつかれてしまった。ただ、抱きつかれてしまったというよりは、一生懸命その問題解決に取り組まないといけないということで、私の顔もいくらかテレビに出られるようになった」(*2)

とし、あるいは、

「外務省と法務省、票とお金に縁がない。外務副大臣になっても、全然お金がもうからない。法務大臣になってもお金は集まらない。なかなか票も入らない」(*3)

というような発言をしていた。

目次

  • 「法治国家」の象徴 “警察官僚”出身 職務「放置」か?
  • 死刑 “法相命令” 実際は執行数日前
  • なぜこれほどまでに日本人は死刑が好きなのか 日本の人権は中国や北朝鮮、イランと同レベル

「法治国家」の象徴 “警察官僚”出身 職務「放置」か?

今回の事態で最も甚だしいのは、当の葉梨氏本人が警察官僚出身であること。死刑を軽視するとともに、死刑廃止が世界の潮流のなか、それに反し、さらに治安行政織である警察内部の“腐りきった”ホンネが見え隠れする。

そもそも、葉梨氏に限らず、ここ数年、法務大臣が辞任するケースが相次いだ。

政治ジャーナリストの角谷浩一氏は東京新聞(11月11日)の取材に対し、

「本来、法相は法務行政に詳しい、安定感のあるベテランが不文律だった。それがここ数十年で『誰がやっても同じだ』という雰囲気が出てきた」

と指摘。葉梨氏は今回、

「外務省と法務省は票とお金に縁がない」

とも発言。事実、法務省はほかの省庁と比べると許認可にまつわる業務が少なく、政治家自身の“政治力”で動かせる仕事の幅は小さい(*4)。しかしながら、法務大臣の職務は“法治国家”の象徴でもある。

最近では、旧統一教会に関する政府の合同電話相談窓口が設置。対応したのは関係省庁連絡会議で、会議に主宰は法務大臣だった。

それだけでなく、法務省の職務は、刑務所の管理運営や受刑者の処遇、更生保護、戸籍・登記の事務、人権の擁護など多岐にわたる(*5)。

葉梨氏の今回の失言は、そのような「法治国家」日本の職務をまさに「放置」しているようだ。

この記事の著者・伊東森さんのメルマガ

初月無料で読む

 

print
いま読まれてます

  • 中国や北朝鮮と同レベルの人権感覚。日本人の異常な「死刑好き」
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け