お客の6割は外国人。海外からの観光客が「行くことに憧れる」日本の焼鳥居酒屋くふ楽は何が凄いのか?

 

外国人社員を採用しアルバイトにも広がる

同社では社員として外国人の採用を積極的に行っている。これが日本人の従業員にとって外国人のお客に接するリテラシーを高くしているようだ。

福原氏によると外国人の採用を検討するようになったのは、日本での人材採用が困難になる傾向が見られていたことから。10年ほど前では、コンビニで外国人の従業員がレジで対応していることに違和感を抱く人はいたが、それがだんだん薄れてきて日常的なものとなった。また、KUURAKU GROUPとしては外国人を社員化することで、彼らが将来本国に帰ろうと考えたときに、会社が彼らをサポートすることができるのではないかというアウトバウンドの発想があった。

外国人の採用については日本語学校に出向いて留学生にプレゼンを重ねた。こうして、ネパール、ベトナム、中国などの人材を社員として採用。同じ職場で働くようになり既存の日本人の社員も彼らに好感を抱くようになった。その後、アルバイトとして彼らの後輩が集まるようになった。そこで冒頭のように、外国人従業員が普通に接客するシーンが定着した。現在全社員40人のうち、外国人社員は12人となっている。

このように創業間もない当時からアウトバウンドを積極的に進めたことで、日本の店舗に外国人の従業員が常に身近にいる環境を生み出し、インバウンドに接するリテラシーを高めて、コロナ禍が落ち着いてきた中で、過去最高の売上が続出しているという状況をもたらしているのであろう。

近年「ダイバーシティ&インクルージョン」の重要性が説かれている。これは「人々の多様性(=ダイバーシティ)を認め、受け入れて活かすこと(=インクルージョン)」ということだ。KUURAKU GROUPはその先駆けであり、今日的な企業成長の道筋を歩んでいると言えるだろう。

image by: 千葉哲幸
協力:株式会社KUURAKU GROUP

千葉哲幸

プロフィール:千葉哲幸(ちば・てつゆき)フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

print
いま読まれてます

  • お客の6割は外国人。海外からの観光客が「行くことに憧れる」日本の焼鳥居酒屋くふ楽は何が凄いのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け