日本列島を襲う大寒波で「車の立ち往生」が相次ぐ危険性。ゲリラ豪雪から命を守るには?

 

詳細が把握できないという致命的欠陥

また、先述のようにこれまでの事例においても、食料や物資の提供に沿線住民が協力してくれることが多い。あくまでの自主的なボランティアの状態である。立ち往生しているドライバーや同乗者にとっては、ありがたいことと思う。

自衛隊の災害派遣も同様だが、こうした沿線の地域住民における自主的な活動に感謝しながら、災害時、特に冬期間における支援のあり方として、ボランティアでありながら、自主防災組織に近い形で、今後確固たる形で組織化できるように国や自治体も「後押し」するべきだと思う。

対策の中で、情報をいかに移動するドライバー等へ伝達するかは、非常に重要な部分になっている。ひとたび立ち往生が発生すれば、数百台単位で生じることは珍しくない。

気象条件とともに、通行量の把握が重要だし、特に局地的な天気の変化に対してビビットにならなくなくてはならない。

道路管理者としてはこの部分が最新で細かい配慮が必要だ。そのうえで、う回路あるいは一時避難所の確保と誘導を早める必要もある。

また、立ち往生が万が一発生した場合において、状況把握が今回不明瞭だったことも今後改善しなくてはならない。

当初、ネクスコでは立ち往生の車両数における正確な数字がわからない旨の説明をしていた。

トンネル内での状況なども把握しきれなかったようだが、これでは支援をする側の物資量や人員手配にも悪影響を及ぼす。

正確な状況把握をするための対策は急務で、例えば、Nシステムの活用や高速道入口通行時の画像把握などを検討したい。

立ち往生してしまった時の注意点とは

一方で、冬期間の豪雪地域を移動するドライバー自身も自主的な対策が重要である。

暖房対策、ガソリンなど燃料不足による暖房確保ができないこと、積雪による車両マフラーの埋まりを防ぐこと、狭い空間でのいわゆるエコノミークラス症候群対策等も欠かせない。

情報を得るためのスマートフォンの充電対策も必要である。

特に課題になるのが、食料とともにトイレの確保である。

自然災害時の避難所でも同様のケースが見られるが、トイレの利用を我慢するがゆえに、水分の補給を避ける避難者が、結果脱水症状や栄養状態の悪化、静脈血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)等の健康障害を引き起こすおそれが生じる。

健康を害する危険があるので、車内における簡易トイレのストックや、先述の一般道の例えば道の駅あるいは高速道PAへの移動確保を勧める必要がある。

その際も、優先されるのは要配慮者、すなわち体の不自由な人や高齢者、乳幼児、妊婦等である。

今回の事例でも地域住民の自主的な支援があったが、その中で、自らも立ち往生しながら、製菓会社のドライバーが積み荷の菓子を、同じ立ち往生するドライバーらに配布した例は、心に残っている。

私自身、企業の災害時における業務継続計画BCP(Business Continuity Plan)をも専門分野にして、各企業や自治体等の研修や講演を行っていて、こうした裁量を被災者自らができる環境と思いは、災害立国日本の本来望まれる姿であり、かつ社会的にも評価される部分であろう。

被災者自身も動けたり、活用できる物資を持ち合わせている時に、速やかな判断で支援にあたれる、これこそBCPでも重要な部分と、改めて認識した。

print
いま読まれてます

  • 日本列島を襲う大寒波で「車の立ち往生」が相次ぐ危険性。ゲリラ豪雪から命を守るには?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け