日本列島を襲う大寒波で「車の立ち往生」が相次ぐ危険性。ゲリラ豪雪から命を守るには?

 

「ゲリラ豪雪」が引き起こす車の立ち往生

昨今、高速道路や一般道の幹線道路を中心に、大量な車両の立ち往生の問題が生じている。

近年だと、2016年1月に平成28年豪雪とされる、新潟県長岡市付近等での大雪で、国道8号沿線ではスタック(移動不能)車両による交通障害が多発、また九州各地で水道管破裂が多発し福岡県大牟田市などで大規模な断水となるなど、寒波が去ったあとも数週間に渡って影響が続いた。悪環境に事故が多発し、負傷者が発生、死者も出た事例。

2017年1月には鳥取県などで大雪により国道373号や鳥取自動車道で合わせて300台以上の車両が立ち往生し、鳥取県は自衛隊に災害派遣を要請した事例。

2017年11月から2018年にかけて発生したいわゆる平成30年豪雪では、北陸地方を中心に、また関東でも八王子市でも大雪になったり、レインボーブリッジで約50台の車両が立ち往生するなど大きな影響が出た。

福井県北部の国道8号では最大約1,500台の車両が立ち往生した。最近は基本的にこの降雪による車両の立ち往生事例は多い。

また、関連して物流(ロジスティックス)の課題も大きく、市民生活に及ぼす影響が大きいのが特徴である。

2013年には北海道東部で吹雪により車両が相次いで立ち往生し、車内での一酸化炭素中毒や車外に出たことにより8人が犠牲になった事例もあった。

今回の関越道では高速道路上での立ち往生事例ではあるが、ネクスコ東日本社長の会見で、「予想外の大雪で…」という弁明は、どうなのか。

最近の事例からもあるように、対策が不十分であり、研究不足だと言わざるを得ない。

だいたい今回の立ち往生した近辺は新潟でも大雪で有名な魚沼市や六日町付近であり、日本でも降雪量の多い地域なので、予想外ではないと思う。

また最近のいわゆるゲリラ豪雨のように局地的に降雨が増加することを目の当たりにすることが多いが、これは降雪でも同様で、「ゲリラ豪雪」は最近多いのが現状だ。

地球の環境変化は著しく、その影響が大きいと思うが、雪の降り方が尋常ではないことを、私自身札幌の自宅にいて痛切に感じる。

ナビに降雪情報を反映させる取り組み

関越道の話に戻そう。このエリアでの主要な道路は、関越道か幹線道路だと国道17号になるが、セーフティネットとして、国道が使えない時は高速道、高速道が使えない時は一般道という基本的な考えになる。

今回、高速道で大規模な立ち往生が発生したが、関越道で仮に早期通行止めにしていたら、おそらく幹線の国道17号で同じことが起きていたと予測する。

この問題は一般道と高速道双方で対策を講じる必要がある課題なのである。

高速道での急な降雪・豪雪対策では除雪体制の強化もあるが、情報に関係する部分が特に大きい。

研究の分野で、実は自動車に利用していることが今やほとんどと思われるナビゲーションに、降雪に関する情報、また待機場所(避難)、除雪の状況やう回路を反映させることができるように、製造メーカーを中心に取り組みがされている。

VICSが渋滞情報をナビゲーションに反映させるのを、降雪関連情報によるバージョンにもするようなイメージになる。

ただ、一般向け実用化には金額的なことも大きく、まだ時間がかかりそうだ。

通常の災害であれば、ラジオが様々な情報を得るのに活躍することが多いが(例えば、東日本大震災)、この移動する車両とその同乗者への対策が、冬期間の立ち往生に関する問題では重要であり、そこに車両に取り付けられることが多いナビゲーションに目をつけているのは、期待できる。

高速道路だけでなく一般道と合わせて対策を議論し、構築する必要があることに加えて、高速道特有の課題がある。

高速道路から非常時に一般道へ避難する道路が基本的に一般車用に確保されていないことだ。

だから、今回もボランティアで近隣の人がスノーモービルや徒歩で近づいたり支援にあたったり、わずかな隙間の部分を高速道から徒歩で移動できるように、除雪して、一般道側の食堂等への移動を確保している。

こうした雪氷災害対策用にも使えるし、非常時の通行止め対策に、非常用避難道をある程度確保すべきと思われる。

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