日本人には迎合せず。それでも“ガチ中華”の代表格「味坊集団」が人気のワケ

 

食通ではなく普通の若者から愛される

菊池氏は続けてこう語る。

「これまで羊肉には、安くて臭いがあっておいしくない肉というイメージがあった。その後40代以上の食通の人が注目するようになった。しかし、最近では20代30代の人たちが『普段あまり見かけないが、特別な時に食べるちょっといい肉』というイメージで受け止めているようだ」

羊齧協会では羊肉を愛するイベント「羊フェスタ」を2014年11月に第1回を開催、2022年11月に第8回を開催した(2020年は休会)。ここでは年々来場者の人数が増えてきて、来場する層も変化してきた。第8回は11月5日・6日と中野セントラルパークで開催、2日間で4万人が来場した。菊池氏によると「今回は普通のライトな感覚の20代30代が多くみられた」とのこと。羊肉人気が特別なことではなくなってきていることを実感しているという。

味坊集団では「羊フェスタ」に第1回から参加していて例年羊肉串を販売している。2022年の「羊肉フェスタ」ではこれを7,800本売り切った。同社の工場で串に刺しているが、この量はほとんど限界とのこと。

味坊集団は「羊フェスタ」参加の常連。梁氏が率先して焼き台に立ってファンが続々と挨拶にやってくる

味坊集団は「羊フェスタ」参加の常連。梁氏が率先して焼き台に立ってファンが続々と挨拶にやってくる

このように味坊集団人気が高まっている要因は「ガチ中華」に加えて「羊肉人気」が挙げられる。今日的な食のトレンドが見事に合致している。そして、もう一つ。代表、梁氏のおだやかで人を思いやる気遣いがあり、それがたくさんのお客から愛されているポイントである。

味坊集団オーナーの梁氏。おだやかで人を思いやる気遣いがあって、その温かさに人々はひかれる

味坊集団オーナーの梁氏。おだやかで人を思いやる気遣いがあって、その温かさに人々はひかれる

image by: 千葉哲幸
協力:味坊集団

千葉哲幸

プロフィール:千葉哲幸(ちば・てつゆき)フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

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