ロシア“崩壊”にも言及の異常事態。プーチンがついに「戒厳令」を口にした意味

Moscow,,Russia,,March,2022,russian,President,Vladimir,Putin,In,Meeting
 

プーチン大統領の「ドンバス地方完全制圧指令」の期限まであと1ヶ月を切り、猛攻を続けるロシア軍。人的被害無視の戦術で主要都市バフムト攻略も間近との報道もありますが、事はプーチン氏の思いどおりに運ぶのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、ウクライナ戦争の最新の戦況を解説しつつ、ロシア軍とワグナー軍の「仲間割れ」の可能性を指摘。さらに世界が今後、どのような方向に進んでゆくのかについて考察しています。

バフムト陥落か?人的被害を無視して進撃スピードを上げるロシア軍

ロ軍が人海戦術でバフムト包囲完成真近で、ウ軍のバフムト撤退開始という事態である。今後の戦況を検討しよう。

ロ軍は、冬の大攻勢の結果が出ている。バフムト以外の攻撃は失敗しているようだ。このため、結果的に成果が期待できるバフムトにロ軍は兵力を集めていることになる。

そして、ロ軍大規模攻勢の成果がバフムトだけで出ている。ウ軍は、バフムトから撤退して、チャンプ・ヤールに新しい防衛線を作り、その準備ができ次第、撤退なりそうである。

ロ軍は、クレミンナの攻撃要員もバフムトに回した可能性がある。この方面での攻撃が少なくなっている。人海戦術ということは、人的資源を集中して、ウ軍の数倍以上の人員を集める必要がある。

ウ軍も大増援部隊を出して、ロ軍の人海戦術に対抗するので、ロ軍も人員を集める必要になる。そして、人的被害を無視して進撃スピードを上げるしかない。ワグナー軍は巧みに前線を突破してくるが、その戦術もワグナー軍のマニュアルを鹵獲したことで明らかになっている。

ウ軍の陣地正面に多数の10人程度の小隊を突撃させて、ウ軍の機関銃をその迎撃に向けさせている間に、その外側を機甲部隊がすり抜けて、後方の陣地を攻撃して、手前の陣地を無力化することで、前進させるという戦術のようである。

ワグナー軍は、M03号線を超えて西側のベルキウカを占領し、トボボバシリフカを攻撃している。そこを超えて、地方道00506線を切りたいようだ。しかし、今のところ、トボボバシリフもカザリジネスクの街も、ウ軍が防衛している。

また、ロ軍とワグナー軍は、パラスコビイウカを全面的に占領して、M40号線を超えてヤヒドリウカも占領した。そしてステプキー駅周辺も占領した。

侮れないワグナー軍の柔軟性に富む戦術

ウ軍はスタフカのダムを破壊して、ロ軍の侵攻を遅らせる手段をとっているが、前進が止まらないことで、とうとう、ウ軍陸軍司令官のシルスキー大将が、バフムトを訪問して、さらなる増援で撤退戦の支援をするようである。今までに6個旅団を投入したが、追加で数個旅団を投入するようである。ヤヒドリウカから攻撃してくるワグナー軍との戦闘にウ軍国際旅団も投入した。

ウ軍機械化部隊は、M03号線を東に進軍したが、ロ軍の装甲部隊に、パラスコビウカで阻まれた。ワグナー軍とロ軍空挺部隊の混成軍の戦術は柔軟性に富んでいる。このため、ウ軍装甲部隊は押し戻された。

ワグナー軍の歩兵数も少なくなっているが、その穴埋めとして、ロ軍空挺部隊が参加したようであるが、戦術と指揮はワグナーの司令官が行っているようだ。戦術の柔軟性が高いので、ウ軍もおちおちできない。

ワグナー軍の中核は、今や南ア軍退役者になっているようである。このため、柔軟な作戦指揮ができるようである。ワグナー軍を侮ってはいけない。

これにより、メインのM03補給路だけではなく、地方道00506道も切断される可能性が出てきた。

ワグナー軍トップのプリゴジンは、すでにバフムトを包囲したと豪語したが、この状況でロ軍は、ワグナー軍の撤退を命令して、バフムトの前線からワグナー軍を排除して、手柄をロ軍だけのものにするようであり、プリゴジンは、今ワグナー軍がいないと、前線が崩壊すると苦言を述べている。

この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • ロシア“崩壊”にも言及の異常事態。プーチンがついに「戒厳令」を口にした意味
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け