「浪費癖」と「借金」にまみれた野口英世が、それでも周りから感謝されたワケ

Close-up of Japanese 1000-yen bill
 

また、博士の学問上の業績を示す資料の他、趣味とした油絵、書なども展示されています。英語で書かれた論文、手紙の筆記体のアルファベットは印刷ではないかと思えるくらいに整然としており、絵画、書と共に圧倒されました。野口英世の超人ぶりを再認識した次第です。

帰国した際、故郷猪苗代ばかりか、文字通り日本を挙げて博士を歓迎しました。日本ばかりでなく、世界各地の講演会場、宿泊先にはその国の王侯貴族、政府要人が訪れ、盛大な歓迎会が催されます。

また、恩師血脇守之助が渡米した際、野口はつきっきりで世話をし、アメリカ大統領ハーデイングを表敬訪問しました。当時、いや、現在においても、アメリカの大統領に知人を引き合わせることができる日本の民間人など、滅多にいるものではありませんね。

野口英世は世界的名声を得た最初の日本人でした。

ところで、野口博士を支えたのは篤志家たちです。奨学金制度などなかった時代、向学心があり成績優秀であっても家庭が貧しくて進学できない青少年は珍しくありませんでした。そうした青少年を無償で援助し、進学の夢を叶えていた篤志家が日本中にいたのです。

見返りを求めない無償で野口博士を援助した篤志家八子家が金時計と書に感激し、放り投げるなどあり得ませんね。

小説でも松本清張、『砂の器』の和賀英良、山崎豊子、『白い巨塔』の財前五郎は篤志家のお陰で進学でき、音楽家、医学者として成功します。

情けないことに筆者はとても他人に無償で援助などできません。助けるどころか、野口英世の肖像が描かれた千円札に助けられています。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 早見俊 【発行周期】 週刊

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