自民にすり寄る立憲民主の惨状。呆れた「日米同盟が基軸」というおべんちゃら

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先日掲載の「もはや瀕死の立憲民主党。最大野党が聞いて呆れる幼稚園レベルの安保論議」で、岸田政権の大軍拡路線を条件付きながら容認するという、立憲民主党の姿勢を強く非難したジャーナリストの高野孟さん。高野さんは今回も自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で、日米同盟を我が国の外交・安全保障の大前提と文書に明記した同党を、「見るに忍びない」としてその理由を解説するとともに、党内の真のリベラル派に対して、野党戦線の再構築を強く促しています。

【関連】もはや瀕死の立憲民主党。最大野党が聞いて呆れる幼稚園レベルの安保論議

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年4月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

見るに忍びない立憲民主党のおべんちゃら。自民にすり寄るリベラルの敗北

前号(「もはや瀕死の立憲民主党。最大野党が聞いて呆れる幼稚園レベルの安保論議」)で、立憲民主党の「外交・安保戦略」文書がほとんど政府・自民党の考え方の引き写しで、何ら鮮明な争点を形成しようとしていないことを、(1)安全保障環境をめぐる認識、(2)防衛力強化、とりわけ敵基地攻撃能力≒反撃能力の容認、の2点について指摘し、それと対比して河野洋平元自民党総裁の方が遥かにクリアなリベラルの立場を表していることを論じた。この文書については、まだいろいろ吟味すべき点があるが、もう1点のみ追加しよう。

(3)外交・安保の基軸は日米同盟?

立憲民主党の「外交・安保戦略」文書は、「1.武力紛争を回避し、平和を創造するための外交努力」の項で、「我が国の外交・安全保障の基軸は日米同盟にあり、この同盟の信頼性がゆるぎないものであることは、我が国の安全保障にとって大前提である」とシャラリと言ってしまっている。これは言うまでもなく、政府・自民党の決まり文句の鸚鵡返しであり、立憲民主党がそれを無条件の「大前提」にしてこの文書を組み立てていることが透けて見える。

しかし、日本の安全保障を自分の頭を使って考えようとするなら、真っ先に問われなければならないのはこの「大前提」である。

原理的・本質論的レベルで言うと、戦後日本の政治・外交史を貫く最も重要な座標軸は、国連憲章及び日本国憲法の「国際紛争の解決に武力を用いない」という平和主義と、日米安保条約の下で米軍に頼るしか安全を確保する道はないとする武力主義との相剋にあった。この戦後日本の基本矛盾を打開する方策として、自民党の側から提起され続けてきたのは「改憲」論であり、つまりは憲法の平和条項を消し去ることで米日一体の武力主義国家に成り上がることを目指した。

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