日本の製造業「凋落」の象徴。なぜ東芝は中国企業に買収されてしまったのか?

 

工場を海外移転させた日本家電メーカーの誤算

なぜ欧米の電機メーカーは生き残ることが出来て、日本の電機メーカーは衰退しているのでしょうか?各メーカーの主要商品を見ればその理由は見えてきます。欧米の電機メーカーは、中国や韓国のメーカーとは、あまり競合していないのです。

アメリカのワールプールは、冷蔵庫や洗濯機などの「白モノ家電」が主要商品です。しかし、ワールプールの扱う商品は、アメリカ式の大型のものがほとんどであり、業務用の物も多いのです。中国の家電メーカーがつくる白モノ家電とは、ちょっと分野が異なるのです。

またスウェーデンのエレクトロラックスも、白モノ家電が主要商品ですが、食器洗浄機、調理器具など、キッチン周りの製品が多くなっています。そして、デザイン性に優れ、家電としてだけではなく「家具」としても高級感のある商品が特徴となっています。ドイツのBSH、オランダのフィリップス、フランスのSEBグループなども同様に、アジア系の電機メーカーとは、若干、主要商品が違っているのです。

しかし、日本の電機メーカーの主要商品と、中国、韓国の電機メーカーの主要商品は、まともにかぶっています。白モノ家電にしろ、冷蔵庫、洗濯機等は、同じくらいのサイズのものであり、その他の家電にしても、同じような商品が多いです。

また以前は、分野だけじゃなく、商品そのものも、似ている物が多くありました。中国や韓国の電機メーカーの製品は、明らかに日本製のコピー商品と言えるものが多々あったのです。構造だけじゃなく、デザインもそっくりなものが多く出回っていました。実はこれは当然と言えば当然の結果でもあります。

というのも、日本のメーカーは、早くから中国、韓国に工場を建てて、技術供与をしてきたからです。日本の家電メーカーは、1970年代ごろから急速に外国に進出し、東南アジアに工場などを建て始めました。その結果、日本の家電メーカーの技術が中国、韓国などにガンガン流出し、半世紀後には中国、韓国のメーカーから日本のメーカーが喰われるようになったのです。そのわかりやすい例が東芝です。

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