緊迫のプーチン政権。「ワグナーの乱」粛清で“第2の反乱”の可能性

 

その他方面

クリミア方面では、クリミアとヘルソン州を結ぶチョンガル橋をストームシャドーで破壊されて、ロ軍はポンツーン橋で代替している。この橋に対しても、ウ軍は対応するという。

クピャンスク・スバトバ・クレミンナ方面では、反乱でロ軍の部隊を国内治安維持に回したが、徐々に戻ってきているために、攻撃が復活してきたが、まだ攻撃力は大きくない。

リシシャンスク方面でも、ロ軍はビロホリフカへの攻撃をしている。ウ軍は、ヤコブリフカ方向に攻撃している。ロ軍はロズドリフカに攻撃をしているが、ウ軍に撃退されている。

アウディーイウカ方面で、ロ軍は要塞に南側から攻撃したが、撃退されている。逆にウ軍砲兵隊は、ドネツク空港のロ軍基地を砲撃で破壊した。

ロ軍は、マリンカとノボミハイリフカに攻撃したが、ウ軍に撃退されている。

トクマク、メリトポリで複数回の爆発が毎日のように続いている。ロ軍の弾薬庫、司令部、武器庫が次々と破壊されているため、前線への補給が滞っている。

このため、ウ軍の反撃に直面しているロ軍兵士は、自分たちは指揮官たちから「子猫のように見捨てられ」、軽火器、少ない弾薬、対砲射撃でウ軍戦車や大砲に立ち向かい、多くの死傷者を出し、医療搬送も用意されていなかったと語る。

それと、ロシアのタタルスタン共和国の石油・ガス生産施設で貯蔵施設が爆発した。ロシア国内での石油・ガス施設も狙っている。パルチザン活動であり、ウ軍工作員がロシア国内で活躍している。

ロ軍はトクマク郊外でトクマック川を堰き止めるダムを建設した。ウ軍の反撃に備えて天然の障害物=氾濫地帯を作り出そうとしているようである。

ロ軍はザポリージャ原発からロスアトム職員やロ軍部隊の多くを移動させているし、契約ウクライナ要員に対して7月5日に退去するよう通告。すでに爆薬を原子炉近くに設置している。何をしようとしているのか疑問である。

そして、ロ軍は東部ドネツク州の主要都市クラマトルスク中心部で27日、ショッピングモールをミサイル攻撃して、少なくとも市民ら11人が死亡、61人が負傷した。死者には子供3人と外国人が含まれていた。

ウクライナの状況

ゼレンスキー大統領は、「勝利への道のりは険しい。私たちがそれをいつ完了できるかは誰にもわからない。しかし、目標が明確で公正であれば、そこに至る道のりがいかに茨の道であろうと関係ない。ウクライナは勝利への道を歩むだろう!そして、これはもはや夢物語ではなく、現実なのだ」というが、米国の方が急いでいる。

米国は、今まで躊躇していたATACMSの供与を検討し始めた。

ウ軍ザルジニー総司令官は、「私たちは、戦略的優位を得ることに成功しており、ウクライナの安全保障・防衛戦力は攻勢行動遂行を続けており、前進している」とした。

さらに同氏は、ロ軍は強力な抵抗をしているが、同時に多大な損耗を出しているとした。また、敵は一面に地雷を敷設することで陣地を維持しようとしていると指摘。加えて、米欧に対し戦闘機や弾薬の支援を加速するよう訴えた。

ウ軍の反転攻勢の進展が予想よりも遅いとの欧米指導者からの指摘に対し、武器が必要だと反発した。この中には、当然のごとく、F-16、A-10などの航空機やATACMSが含まているとみる。

現状の苦戦の大きな理由は、航空勢力の差が大きい。F-16を攻勢前にウ軍に供与すれば、もう少し楽に攻勢を進めることができたはずである。

このため、日本も殺傷兵器をウ軍に供与できるように法律を改正している。日本の弾薬や退役するGMLRSなどをウ軍に供与することになるようだ。

もう1つが、EUは6月29~30日、ブリュッセルで首脳会議を開き、EU内で凍結したロシア資産31兆円をウクライナ復興費用に活用する方向で検討するようである。

フォンデアライエン欧州委員長は、「ロシアによるウクライナの大規模な破壊行為を目の当たりにしている。加害者は責任を負わなければならない」と述べた。

もう1つが、ストルテンベルグNATO事務総長は、すべての同盟国が、戦争後にウクライナがNATO加盟国になることに同意することを保証したという。

戦後の復興や戦後体制を考えるフェーズになってきたようだ。

この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 緊迫のプーチン政権。「ワグナーの乱」粛清で“第2の反乱”の可能性
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け