韓国でも悩みのタネ?定年退職したあとに私たちは何をすべきか

Seoul,,South,Korea,–,November,1,,2023.,“a,Senior,Citizen
 

定年退職したあとに何をするか、日本でもたびたび話題にあがることであり、定年が近い人たちにとっては気になることでもあります。今回、無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者が、韓国の貿易協会を定年退職した金ハクソ氏が語った定年後のありかたについてのインタビューを紹介しています。

定年退職したあと、何をする

約10年前の2014年4月、金ハクソ氏(67)は32年間通っていた韓国貿易協会を定年退職した。満58歳。一か月ぐらいは本当に良かった。ソファーで寝っ転がって世の中を全部牛耳ったように気持ちがよかった。しかし、そこまでだった。体がむずむずして、少し痛みもあるような感じがして気がついた。「退職後には何でも学び、新しく仕事を始めなければならないんだ」ってことが。

「OECD保健統計(2023)」によると、0歳の韓国人の期待寿命は83.6歳、65歳になった人の期待寿命は86.6歳に達する。反面、法定退職年齢は60歳、民間企業の非自発的退職年齢は49.5歳で、退職後20~30年が宿題のように残ることになる。

「一生で今が一番楽しく生きている」という金さんは、この10年間、どのような過程を経たのだろうか。13日、彼が運営するシニア読書会に行ってみた。ソウル江東区に位置するソウル市民大学東南圏キャンパスのある教室。シニア男女10人が丸いテーブルの前に集まって話の花を咲かせている。本の質問紙で討論する読書会。自分たちは「おしゃべり人生学校」とも呼ぶ。

おしゃべりの話題は、キム・ハクソさんが新作随筆集から選んできた9つの質問。例えば、・嫌いな人 ・生計 ・田園生活 ・ぼーっとする ・新しさと向き合う勇気、などがこの日の質問、すなわち話題だ。質問ごとに参加者たちは順番に話をする。話題が多様なので、普段考えもしなかった記憶や経験が思い浮かんで、思わず話が大いに弾む場合が多いという。

金さんは2年前、偶然本の質問紙の作り方を学び、質問紙読書会の企画家として活動している。多くの本から抜粋した文章と共に投げかける質問が、人々が自然に話を持ち出す呼び水の役割をする。構成員は作文や読書に関心が高いシニアたち。現在は55歳から78歳まである。自分の話をすると、すっきりして楽しくなることを体験した人たちだ。

あるメンバーは「10年間一人で過ごしていた生活から抜け出し、人々に会いに出てくる過程自体が勇気が必要だった」とし「今は毎週この時間を待つことになった」と話す。構成員は「去る人は追わず、来る人は拒まず」コンセプトで、テーマを少しずつ持ち出し8~10人規模で2年近く維持している。

一人で長く話したり、雰囲気を壊したりする人がいたらどうします?

「自然にフィルタリングされるんですよ。討論の時は2分以上発言禁止、他人の話に対する論争禁止。こういう原則があります。行き過ぎた場合、制止したりもします」

各自の些細な事情は自分には大切だが、他人には関心を引くことは難しい。そのような点で、この場では一種の社会契約が作動する感じだった。他人の話を大切に聞き、それを通じて自分の話ができる勇気を得る。

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