エレベーターの「待ち時間が長い」ことへの解決策は?
《問題1》
ビルにエレベーターが2機しかなく、朝の出勤時に、大勢の人たちがエレベーターの順番待ちでイライラし、時間がかかるうえにロビーが混雑して困る──というクレームが来たら、どうでしょう。
あなたがビルの運営管理者だったら、頭の痛いクレームです。
論理思考での解決策なら、「もう1機エレベーターを増やす」とか「各フロアの会社に時差出勤をお願いする」などが、すぐにも浮かびます。
しかし、これらを実行するには、コストの問題やら、各フロアに入居する各社の事情もあって、そう簡単にはいきません。
この問題に「水平思考」を採り入れて、クレームを減らした有名な事例があるのです。
それは、「エレベーターの横壁に大きな鏡を取り付ける」というものだったのです。これで「待ち時間が長い」というクレームがほとんど来なくなったというのです。
もちろん、クレームが減ったとはいえ、これで根本的解決が図られたわけではありません。
しかし、これでエレベーターを待つ人たちが、自分の姿を見入るようになったことで、「待ち時間」が「自分の身だしなみをチェックする時間」に変わったということなのでした。
たった、これだけのことでイライラがかなり解消された──というわけで、ロビーの混雑状況もさほど変わらないのに、クレームが出なくなったのでした。
これが「水平思考」なのです。
タテ型の垂直思考(論理思考)では、エレベーターの設備の問題が議論の中心にのぼりましたが、「水平思考」を採り入れることで、左右自在な発想によって、人間の内なる不満を解消する方向へと行き着いたのです。
奇数あるリンゴを偶数人で、公平・平等に分けるにはどうするか?
もうひとつ、取り上げておきましょう。
《問題2》
リンゴが13個ありました。これを4人で分けるにはどうするのがよいでしょうか?
垂直的な「論理思考」なら、一人に3個ずつ分けて、残った1個を包丁で4等分すればよい──といった答えになるはずでしょう。
しかし、「水平思考」は、論理の積み重ねではありません。
自由に時空を水平に飛び越える発想ですから、答えは「余った1個のリンゴはジュースにして、4人に均等に分ければよい」といった展開になるのです。
個体のリンゴを包丁で4等分に切り分けるのは難しくても、液体のジュースにしてしまえば、公平・平等に分けられます。
個体という、そこに存在するモノだけに思考が縛られていたのでは、柔軟な思考とはいえないわけです。
「水平思考」は、「視点を変える」「時間軸をずらす」ことも重要なポイントです。「〇〇だったら」「10年遅かったら」といった思考の展開を試みることです。
また、「逆転する・反対にしてみる」「代用する・入れ替える」「結合させる・組み合わせてみる」「強調する・高めたり低めたりしてみる」「除外する・とっぱらってみる」「並べ変える・順序を入れ替えてみる」……などなど、フレームワークを柔軟に行ってみることも大切です。
以上、簡単な説明ですが、「論理思考」と「水平思考」の違いをご理解くださったでしょうか。
こういう発想がないと、人生のチート化は図っていけないのです。
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