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次の10年でAIが生み出す「究極の企業体」とは?世界的エンジニアが超格差・大失業時代の到来を確信する理由

汎用的な能力を持つ人工知能が人間を駆逐する

2016年に、囲碁の世界チャンピオンを破るほどの人工知能 AlphaGo を開発したのは、DeepMind という会社です(2014年にGoogleが買収)。その後、DeepMind はAlphaGo をはるかに上回る能力を持つ AlphaZero を発表(2018年)していますが、これは人工知能が一度人間の能力を越えてしまえば、あとは差がつく一方であることを示しています。

DeepMind は2020年になって、塩基配列からタンパク質の三次元構造を予測することに成功しましたが、これは医学の進歩にとって非常に画期的なことで、ノーベル医学賞を受賞して当然の発明です。今後、これを活用した、さまざまな新薬や治療法が作られることになるでしょう。

自然言語の認識に関しても、ここ数年で著しい進歩がありました。この分野ではGoogleやMicrosoftが最先端の研究をして業界をリードしてきましたが、2017年になって、DeepLというベンチャー企業が、Googleより自然な翻訳ができるサービスを公開し、注目されています。これはこの分野の伸び代がまだまだあり、ベンチャー企業が活躍できる余地があることを示しています。

そして、自然言語処理に関して、「相転移」と呼べるほどの画期的な進歩をもたらしたのは、OpenAI という会社です。OpenAI が2020年になって公開した GTP-3 は、インターネット上にあるさまざまな文章を教科書として、言葉を学んだ人工知能ですが、これまでの人工知能には無いひとつの特徴を持っています。

その特徴は、言語で表現できるあらゆる質問に答えることができる、という特徴です。

  • 文章を要約する
  • 途中まで書かれた文章を完成する
  • アマゾンで販売されている商品に対するフィードバックを書く
  • 指定したトピックの記事を書く
  • ウェブサイトの生成に必要なプログラム(HTML)を書く
  • 難しい法律用語で書かれた文章を普通の文章に変換する
  • 数式を生成する

大量の文章を教育データとして与えただけで、これほどの汎用な能力を持つ人工知能が作れてしまうことは多くの人を驚かせました。GPT-3を「汎用人工知能」への第一歩だと考える人も多数います。

これまで作られて来た人工知能は、特定の作業をするために設計された「専用人工知能」で、人間のようにさまざまな問題を解決することはできません。

「汎用人工知能」とは、人間のような汎用的な能力を持った人工知能のことで、それが開発されれば、人間の知能を本当の意味で超えることが可能になると考えられています。

今後10年で、人間の仕事の大半を人工知能が奪う

この勢いで進歩が続けば、20年代の終わりごろには、少なくとも(創造性を必要としない)定型的な労働・作業は、人工知能の方が、より正確に、かつ、安価にこなすようになります。具体的な例としては、

  • 自動車の運転
  • 会計処理
  • (銀行の)与信作業
  • スーパーやコンビニのレジ業務
  • 弁護士事務における判例検索
  • データ入力
  • 翻訳
  • 議事録作成
  • 受付業務
  • 窓口業務

などが挙げられますが、それらに限った話ではありません。

今後、あらゆる業界で、経営者は「人を使い続けるのか、人工知能で置き換えるのか」という選択を迫られるようになります。人工知能は毎年のように改善されていくので、コスト面、安全性、確実性などで、人工知能の方が人間よりも魅力的になるのは時間の問題でしかなく、その流れに乗れない企業は、競争力を失い、淘汰されていきます。

最近、日本ではデジタル・トランスフォーメーション(DX)という言葉が流行していますが、デジタル・トランスフォーメーションの仕上げは「人工知能やロボットによる人の置き換え」なのです。

その究極の姿は、経営者と一部のエリートだけが創造的な仕事をし、全ての定型業務を人工知能やロボットに任せることにより、「従業員一人当たりの生産性」を極端にまで高めた企業体です。

Next: 確実にやってくる大失業時代。格差拡大にどう対応する?

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