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岸田首相が大策士ぶりを発揮。安倍氏「国葬」電光石火の決定は、盤石の体制作りに一石四鳥の妙計=山崎和邦

ビジョンがなければ黄金の3年間を活用できぬ

今後3年間、首相が衆院解散を打って出ない限りは選挙のない3年間となる。いわゆる「黄金の3年間」と言われてきた。現憲法施行後75年間で、一度も選挙が無かった3年間は過去何回かあった。その一つ、大平正芳首相の1980年~83年の3年間であったが、大平首相は初めての衆参両選挙を実施して、選挙中に死去した。結果的には、自民党が圧勝して「弔い合戦」と言われた。

次には1986年~1989年までの3年間は選挙のない「黄金の3年間」のはずだったが、鈴木善幸首相は辞任した。田中角栄前首相が「闇将軍」として君臨していた田中支配の時代で、鈴木首相は黄金の3年間を使い切れずに終わった。

小泉と安倍は途中で進んで解散総選挙を仕掛けて、自ら「黄金の3年間」を打ち切った。岸田首相の今後の黄金の3年間にはいくつかのケースが考えられる。

第一はツキに恵まれて好調を維持してきた政権が、経済の悪化や政治の不安定化や支持率低下などで逆風に見舞われて、末期状態に陥るケースが考えられる。そうなれば、前例と同じように途中辞任の道をたどることになる。

第二は小泉・安倍型である。長期政権を展望して、衆院選の解散権の使い方を誤らずに黄金の3年間を途中で自ら打ちるという政権運営をした。

岸田首相も岸田流リアリズムを生かす舵取りをしなければならないだろう。第三のケースは過去に一度も例を見たことがない3年間を全うする型で、この展開もないとは言えないが、そのためには岸田首相がもっと腹を据えたビジョンと具体策を出さなければならない。

「人の話しを聞く能力」と称して株式市場の反乱に遭うと、直ちに「…という選択肢もあると述べただけです」と言って、前言を曖昧にしてしまう。これが二度あった。三度四度と続くと「何も考えていない首相だ、腹が座った政策がない」ということになる。

日本が抱える構造的な問題を明確に指摘して、黄金の3年間に期間限定で成し遂げる目標、そしてその後の将来像はどうなるかというシナリオを、はっきり明確に示して見せなければならない。

何よりも必要なのは、自分自身の明確な理念や哲学に基づく政権の達成目標と、その具体策だ。参院選までは「とにかく安全運転」に徹したが、自分自身の路線不明と理念の不在、聞く能力と称する状況順応型の朝令暮改、こうまで言ったら酷評・冷評と言われるかもしれないが、筆者にはそう見える。そうすれば黄金の3年間は泥沼の3年となり、意外に短命に終わることになる。高い支持率は逆転すれば、恐ろしい結果になる。

鳩山内閣は、最初は極めて高い支持率で始まった。それがあの結果で、1年も持たないということになった。

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<山崎和邦の投機の流儀 vol.527 7/10号>

第1部:当面の市況
(1)市況コメント
(2)当面の市況 
(4)株式市場では、一時的に投資家の不安心理が後退した。
(5)FRBの「物分かりの良さ」に甘んじているとシッペ返しを食うことになるという用心は必要であろう。(6)今後とも、台風の目の一つである「東電株」 
ヘッジファンド全体を反映する指数、今年1~6月の成績がマイナス5.6%となった。
(6)南関東6月の街角景気、5ヶ月ぶり悪化
(7)国内投資家は、国債を8週間連続で売り越しが続いた。 
(8)日銀、消費者物価上昇率は目標の2%を超えたが、当面政策は修正する必要はないとした。
(9)異常気象、経済を揺るがす。
(10)米FRB金利政策と市場(ウォール・ストリート・ジャーナルの要約)

■ 第2部:中長期の見方
(2)景気下振れのシグナルが明確なってきた
(3)「今そこにある危機」の一種─意外にも大底は早く到来するかも・・・
(4)武者リサーチ最新号より原文のまま抜粋─「今日の日経平均27000円台から2年後には4万円、10数年後には10万円になると考えます」
(5)「社会的価値」と「経済的価値」とを混同させてきたGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)
(6)FRBのインフレ対策の失敗
(7)円安を本気で止める姿勢も見えず、手段もない。
(8)経済政策論議で出るであろう「高圧経済と経済政策論議」
(9)再び「核兵器禁止条約推進派に日本が背を向けるのは正しい」

■ 第3部;その他に思うことを幾つか述べたい
(1)中立であるべき日経新聞が・・・
(2)インフレ高進に際して、マネタリズムが再評価されつつある。
(3)何が権力か?─マスコミはリンチもする。
(4)「世界に悲観の資本主義はない」「厭世家の投資家はいない」

■ 第4部;読者との交信欄
7月20日収録動画「安倍元首相の国葬と岸田政権の経済策」について読者H様との交信
(7月22日)

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山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2022年7月31日号)より一部抜粋
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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。

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