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【QAあり】生成AIの活用でIRリソース不足の課題を解決 効率的かつ効果的に多くの投資家に情報を届けるために

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2024年2月21日に行われた、エクサウィザーズ・ログミーFinance共催セミナー「IR業務効率化への道 ー生成AIの役割と可能性とはー」の内容を書き起こしでお伝えします。

本日の流れ

司会者:みなさま、本日はお忙しい中ご参加いただきまして、誠にありがとうございます。本日は「IR業務効率化への道 生成AIの役割と可能性とは」と題して、ログミー株式会社と株式会社エクサウィザーズが共催するセミナーです。

本日のスケジュールについてご案内します。まず、ログミー株式会社CRO Finence事業本部本部長の富山蔵人氏が講演、その後、株式会社エクサウィザーズ執行役員兼Exa Enterprise AI社長室長の河井浩一氏が講演をします。最後にパネルディスカッションと質疑応答の時間を設けています。

本日のアジェンダ(20分)

富山蔵人氏(以下、富山):「IR業務効率化への道」ログミーのパートをお話しします。スライドは本日のアジェンダです。2023年にログミーは上場会社に向けた独自のアンケート調査を行いました。

そのアンケート結果をもとに、1点目は「上場企業のIR活動の実態」、2点目に「アンケート結果から見えてくるIR活動における課題」、3点目に「効率的に投資家に情報を届ける方法」、4点目に「まとめ」をお話ししたいと思います。

自己紹介

富山:まず、簡単に自己紹介です。私は現在のCGコードに大きな影響を与えている「伊藤レポート」が発表された2014年の翌年、2015年からIR業界で仕事をしています。約9年間、延べ1,500社ぐらいのIR担当者と面談を実施しています。

そして、2年半前からログミーにジョインし、現在も月に数十社のクライアントとIR施策について面談を実施しています。

ログミーはSansanの子会社でもあります。Sansanの支援を受けながらIRの効果検証を行っており、2023年にはSansanと野村アセットマネジメントとログミーが共同で「決算説明会に関する情報開示の効果検証」という論文も発表しました。

IR活動をしっかりと効果検証できる環境を整えるために、ログミーのビジョンでもある「IRテックイノベーター」として日々がんばっています。本日はIR担当者のみなさまにとって、少しでも気づきがあればと思っています。

ログミーfinanceについて

富山:「ログミーFinance」についてです。先日発表したとおり、クライアント数は延べ1,500社を突破し、IR活動の入口でもある認知獲得サービスをご提供しています。今後も引き続き市場再編、足元で言うとPBR改善要請などを追い風に成長できればと思っています。

ログミーFinanceでできること

富山:今回はセミナーの内容に沿って、IR業務の効率化をポイントに、工数をかけず効率的に多くの投資家に情報を届ける方法もお伝えできればと思います。

上場企業約3,800社を対象にWEBフォームでのアンケート調査を実施

 

富山:2023年にログミーが行ったアンケートです。この調査結果は、東京証券取引所グループの「東証マネ部!」にも一部掲載されています。

質問項目(全25問)

富山:質問は全部で25問設けました。実態把握や共有したい内容をピックアップしてご案内します。

回答企業521社の属性

富山:521社のアンケート結果です。上場区分や時価総額については、市場全体の構成比にかなり近い分布になっていると思います。

気になったところは、回答者の約50パーセントがIR実務経験3年未満という点です。やはり、まだ社内に専門部署がなかったり、専任担当者がいなかったりなど、企業の組織構造にも問題があるのではないかと思っています。

私も、面談で度々お客さまから「社内でノウハウが蓄積できない」「経験者がいない」などの話も聞きます。したがって、今回のアンケートはかなりリアルな結果になっていると思います。

IR活動の体制(人数)について

富山:スライドは「貴社のIR活動の体制(人数)を教えてください」という質問の回答結果です。約80パーセントの企業のIR活動の体制は3名以下です。さらに16.7パーセントの企業は1名ということです。この1名もおそらく経営企画や財務、総務部門などで、専任ではないと思います。

また、スライド右側のグラフを見ると、時価総額が1,000億円超える企業で、ようやくIRの人材が確保されて、組織化されているようにも見えます。1,000億円から5,000億円でも、2名から3名という回答が50パーセントぐらいでしょうか。

51.2%の企業が、IRの専任担当者がいない

富山:また「IRの専任担当者はいらっしゃいますか」という質問に「専任担当者がいる」と回答した企業はちょうど50パーセントです。半数は専任担当者がいないという現状です。

上場会社のほとんどがリソース不足

富山:ここで注目していただきたいのが、上場会社のうち、時価総額1,000億円未満の企業は全体の8割です。300億円未満の企業は2,300社ぐらいですから、実際にはほとんどの上場企業において、IRの人材リソースが足りていないという現実も確認できます。

私も企業との面談で「CFOと入社3年目の社員1名でIRをこなしている」「経営企画や管理部門の業務が大半で、片手間でIRに対応している」という話を聞くことが非常に多いです。今回のアンケート結果を見ると、よりリアリティが増します。

ここでお伝えしたいのは、実はほとんどの企業でリソースが不足しており、自社だけではないということを認識していただくことも重要だということです。

「人材補充ができたらIRを強化していきたい」「人手が足りないから、今はできない」という話をよく聞きますが、そうではなくて、「この状況下でできる取り組みは何か?」ということに、しっかりとマインドセットをしていただきたいです。

ちなみに「他社はどうですか?」とよく聞かれます。実はそれが一番伝えたいポイントでもあります。

年間のIR予算について

富山:続いて「年間のIR予算を教えてください」という質問の回答結果です。この内容も深刻です。時価総額300億円以下の企業の50パーセント以上が、IR予算300万円未満と回答しています。やはり非常に大変です。

例えば、外部に説明会運営を委託するだけでも、予算の半分くらいは無くなります。「残り100万円弱で何ができるか?」というのも問題です。

現在抱えているIR活動の課題について

富山:次に、IR活動における課題についてです。上位から「時価総額の向上」「新たなIR施策の検討と実行」「出来高の向上」となっています。この中で「新たなIR施策の検討と実行」という回答が、全体の50パーセントぐらいです。

この課題は、おそらく先ほどのリソースが不足しているという問題から起きていると考えています。IR業務を大きく2つに分けると、資料作成関係と投資家ミーティングになりますが、日常的に資料作成やそのほかの準備にリソースをかなり奪われている状況です。

投資家とのIRミーティングも四半期で30件、40件実施すると年間で150件のペースになります。「時間のない中でも、IRミーティングを中身のあるものにしていきたい」などの課題が改善できれば、限られたリソースでIRをこなしていくことも可能になると思っています。

今回のセミナーで講演されるエクサウィザーズのサービスも、まさに資料作成やそのほか準備の工数削減など、効率化につながる内容になっていると思います。

IR活動に対する熱量が、10段階中7以上あると回答した企業は54%だが、課題先行

富山:次に、あえて作った「IR活動に対する熱量を10段階で教えてください」という質問です。熱量7段階以上が54パーセントという回答でした。

IR担当者としては積極的にIR活動を行っていきたい気持ちはあるものの、先ほどのスライドにもあったように、8割以上の企業でリソースが足りていない、組織化できていない状況です。IR部門は非常に苦しい状況だということもうかがえます。

IR担当者としては、しっかりとIR活動を実施していきたい気持ちがあっても、リソースやIRの予算が少ないなどの課題が先行している実態です。

いろいろな課題はありますし、一つひとつお話しして解決していきたいのですが、今回はその中で「効率的に投資家に情報を届ける方法」をご案内できればと思います。

決算説明会の書き起こし有無について

富山:「決算説明会の書き起こしをしていますか?」という質問です。全体の76パーセントが実施していると回答しました。

なぜこの質問を入れたかというと、リソースのない中で行うIR施策の1つとして、IR担当者が決算説明会動画をコーポレートサイトに公開する取り組みを、今一度見直してみてはどうかというご提案です。

投資家に適切且つ効果的に情報を届けられていますか?

富山:動画公開の取り組みは、すでに2周、3周していると思います。しかし、結局何をゴールにするのかが大切です。「動画を公開すること」なのか、「しっかりと多くの投資家に見てもらうこと」なのか、ゴール設定がポイントになります。

たしかに、テキストよりも動画のほうが楽に見られるので、よく視聴されているのではないかと思います。通常のエンタメ系動画やYouTubeの動画であれば、かなり視聴数が多い印象です。

決算説明会や株主総会の再生回数が多い企業がソフトバンクグループで、1つの動画で多い時には10万回再生されています。孫正義さんのプレゼンテーションについてはエンタメの要素もありますから、投資家だけでなくそれ以外の方もけっこう見られているのではないかと思います。

実は、ソフトバンクグループの動画でも、孫会長がスピーカーではない決算説明会動画の再生回数は1,000回程度です。それほどおもしろい内容ではなく、動画では実際の投資判断はできないためです。投資家からすると投資判断については、やはりテキストのニーズが非常に強いです。

スライドは目を背けたい結果ですが、実際の決算説明会動画の再生回数は、コーポレートサイトに掲載した場合、多くて数百回です。せっかく工数をかけて動画をコーポレートサイトに公開したにもかかわらず、まったく見られていないのです。

よく相談も受けますが、現在、東証全体で動画を公開している企業が約50パーセントぐらいです。たしかにIRコンテンツの1つとしては、動画コンテンツもないよりはあったほうがいいです。しかし、より多く見られているか? 実際に届いているか? というと、投資家と動画コンテンツはあまり相性がよくないのです。

あえて偏った見方をすると、再生回数が100回程度では「これって本当に意味あります?」という話になります。リソースが不足している中で、単に公開することがゴールになっているのではないかと思います。投資家が求めているのは実はテキストで、工数をかけて動画を公開するくらいなら、テキストを公開したほうがいいのではないかと思っています。

ちなみに「みんなの説明会」の機関投資家向け管理画面で、5月の決算説明会シーズンを見ると、1日に多数の企業が説明会を開催しています。そのような状況で何社分も40分、45分の動画を見られるでしょうか? 見られないですよね。機関投資家も個人投資家も同じです。

なぜ動画ではなくテキストなのか

富山:「なぜ動画ではなくテキストなのか」というと、40分の動画は1.25倍速視聴で32分かかります。これがテキストだと10分で読めます。読み手である投資家の時短や効率化にもなり、Webでの検索性も動画よりも優位です。

私も1投資家ですが、「ログミーFinance」のユーザー、160万人ぐらいのアンケート結果でも「投資行動において基本、動画は見ない」「動画を見て投資判断はできない」という声が非常に多いです。機関投資家も個人投資家も時間がない中で、40分、45分の動画はなかなか見られません。

ログミーfinanceについて 企業と投資家を繋ぐIRメディア

富山:「ログミーFinance」では効率的に多くの投資家にアプローチをするために、企業から説明会の音源データや動画データを支給いただいて、投資家が読みやすいように文章を編集・校正します。それをコーポレートサイトだけでなく、投資家が普段使っているサイトやプラットフォーム上に一気に拡散します。

IR担当者の工数をかけずに、通常実施している決算説明会をそのままIRコンテンツ化していくかたちになります。

決算説明会の開催形式について

富山:このスライドも参考にしていただきたいのですが「決算説明会の開催形式」についての質問に対して、リアルでの開催が10パーセントを切っているという事実です。わざわざ会場を借りる工数や費用、マネジメント層を拘束する時間や会場までの移動時間などの削減のためです。

お客さまから決算説明会の開催形式の相談も受けますが、効率やコストを考えると、企業側も機関投資家もオンライン開催で十分なのです。したがって、おすすめしたいのはオンライン説明会の内製化です。

「ログミーFinance」も200社以上のオンライン説明会の内製化の無料支援を行っています。実は機関投資家の90パーセント以上が「オンラインで開催でいい」「配信のクオリティも求めていない」ということが現実です。例えば、Zoomを使って内製化ができれば、その分ほかの取り組みに予算を回すこともできます。

47.2%の企業がIR活動の効果を測定できていない

富山:最後のポイントです。「IR活動の効果測定ができていますか」という質問に対して、やはりみなさまIR活動の効果測定ができていないと回答しています。「どちらともいえない」という回答を含めると、90パーセントの企業が測定できていないことになります。

お客さまとの面談の中で、度々「効果測定ができていない」「IRやってもねぇ」などの声をお聞きします。たしかに効果が見えにくいところではあると思いますが、まず何を指標とするかが重要です。指標は、株価、時価総額、出来高、ミーティング件数なのか、この設定が非常に重要だと思っています。

株価や時価総額はマーケットに影響を受けるため、意識することは非常に重要です。しかし、IR活動、KPI設定においては、自身がコントロールできる手法を設定することをおすすめします。そうすることで、より現実的な効果測定が可能です。

IR施策の年間リーチ数

富山:例えば、IR施策の年間リーチ数について、どの取り組みが効率的に数多くアプローチができるかを検討してはいかがでしょうか? スライドに記載した表の左から、それぞれのIR施策に対して総リーチ数がどのくらいで、アプローチできる投資家はどのような属性で、費用がどのくらいなのか、そのようなことを検討していくのがよいと思います。

データ分析によるIR活動効果の検証の実現

富山:ご参考までに「ログミーFinance」で利用できるもう1つの機能をご紹介します。先日リリースを出したFigurout社が提供しているツールで、このツールについてのセミナーを2月27日に開催する予定です。

先ほどコントロールできるKPIの設定が重要とお話ししましたが、おすすめは投資家とのミーティング件数や、情報発信の回数、あるいは動画やテキストのPV数など、定量的に測れる数字を目標に活動するのがよいと思います。

こちらはIRの情報発信について、株価や出来高にどの程度影響があったかといったことが可視化できるツールです。定量的に測れるKPIだからこそ、結果を可視化、検証、改善というPDCAを回すことができ、リソースが不足している中で、業務の効率化につながると思っています。

まとめ

富山:人的リソースやIR予算が多くない企業は本当に多いです。投資家や市場への情報発信や対話に時間を割くためには、やはり業務の効率化が非常に重要になってきます。現状のIR施策の中身を少し見直し、より効率的かつ効果的なIRを実施し、その結果を検証し改善を繰り返すことが重要だと思います。

最後に、私自身は「IRは最上級の営業職」だと思っています。投資家とのコミュニケーションスキルが必要であり、個人投資家や機関投資家に戦略的にアプローチするためには、若干のマーケティング要素も必要です。さらには、社長や経営陣と同レベルで会社の戦略を語ることもあり、IR担当は本当に大変なポジションです。

一流の営業マンの工数削減、および、パフォーマンスが最大化できるように、引き続きみなさまのご支援ができればと思っています。

ご希望があればログミーが昨年実施したアンケートをお送りしますので、お声がけください。本日はご視聴ありがとうございました。

スピーカー紹介

河井浩一氏(以下、河井):エクサウィザーズの河井です。富山さん、いかに効率的に文字化して投資家に届けるか、また、その効果をどのように測定するのかという観点での、大変有用なお話をありがとうございました。

ここからは、私からIR業務の効率化に向けて、どのように生成AIを活用するのかという観点で、お話ししたいと思います。主な内容としては、そもそも生成AIとは何か、どのように使われているか、また、どのようにIRや投資家対応に活用していけるのか、という幅広いユースケースについてです。最後に「IRアシスタント」機能のご案内をしたいと思っています。

簡単に自己紹介します。私は2008年にゴールドマンサックス証券に入社し、投資銀行部門に13年ほど在籍していました。主にM&AやIPOのお手伝いや、その後のエクイティファイナンス、転換社債(CB)を含めた調達、アクティビスト対応、IRのサポートをしていました。

2021年4月にエクサウィザーズに入社し、この会社を上場させる観点や、その後のIR対応、株主総会の対応などを担当しています。ログミーさまとも今回の提携に至るまで、さまざまなお話をしてきました。本日はよろしくお願いします。

1.生成系AIの概要|①生成系AIとは

河井:まずは、生成AIの利用実態調査からご説明します。昨年の初頭から、足元も含めてさまざまなかたちで市場を賑わせているのが生成AIと捉えています。

OpenAI社の「ChatGPT」のように文章生成ができるもの、あるいは文章で指示すると画像がすぐに作れるもの、写真さえあればすぐに動画が作れるものなどがあります。直近では指示を与えると映画のようなムービーがすぐ作れるというものまで登場し、生成AIの技術はどんどん高まっています。

1.生成系AIの概要|②ChatGPTの衝撃

河井:すでにご存知の方も多いと思いますが、「ChatGPT」に関する話題をいくつか記載しました。MBA試験に合格したり、米国の医師試験を合格ラインでクリアしたり、あるいは司法試験では上位10パーセントの点数が取れるなど、文章の理解力が非常に高いエンジンだと考えています。

1.生成系AIの概要|②ChatGPTの衝撃

河井:どのようなかたちで利用されるのか、ユースケースをご紹介します。コード生成や、図入りの問題を回答させる、さらにはジョークを理解し解説するような、言語も画像も一定の理解が可能です。

アンケート実施概要

河井:我々は、過去3回ほど経団連で生成AIフォーラムを開催しており、さまざまな企業に利用実態に関するアンケートをとりました。アンケート回答数は約700名で、製造業、IT、その他サービスを含めた幅広い業種、DX部門やIT部門、営業部門などいろいろな部門の方々が参加しています。役職も経営陣から部課長、社員クラスまで、いろいろな方々に回答してもらいました。

生成AI導入の重視ポイント

河井:ポイントは「何を気にするのか」という点です。スライドに記載した黄色の吹き出しにあるように、やはり「セキュリティは最重要項目」で、学ばれない、最適化されないことが大事です。後ほどご案内するIRの部分に関しても、社内情報を入れていただくことになるため、しっかりとセキュアに担保される点は我々も重視しているところです。

また、機能拡張や利活用拡大についてもフォーカスされています。例えば「ログミーFinance」内にある決算説明会のデータや、新聞に掲載された御社に関する記事、競合他社に関する記事、そこからどのような質問が出るかというようなことを繋げていく、このような観点で利活用を促進することも非常に重要と考えています。

生成AIの用途

河井:世の中の人々はどのように生成AIを使っているのかというと、文章生成、要約、アイデア出し、調査などに用いていることがわかります。使用頻度が高い方は、すでに1日に5回以上使っており、使わない方と二極化している印象です。

上手に使われる方は効率化に役立てており、一方で入口でつまずいてしまうと「大したことないね」「使えない」と感じて使わなくなるようなことが起きているのだろうと考えます。

IR担当とテクノロジーの協調を推進する

河井:我々の中では、IR業務や投資家対応に、AIを使っていこうという動きがあり、今回のプロダクトのご紹介にもつながっています。考え方としては、生成AIやシステムをうまく使う部分と、人間だけが行える難易度が高い本質的な業務があります。その中間を人とAIとが連携して働くことで、想定問答や取材対応としてQ&AのQを作る、また、一定の記事開示のようなものもAIが作れると思います。

うまく連携することで、より業務効率化が可能となります。結果として、投資家と向き合う時間も増えると考えています。

IR業務へと、生成AIの可能性を取り込む

河井:生成AIの利活用案の背景です。当社のIR担当は、私と部長1人だけといった体制で、上場から数年間進めていました。そのような中、四半期の面談数は50件から100件くらいあり、それぞれのQAに対応しながら、個人の方からのメール対応もしていました。

投下できるコストには制限がありますが、日英の開示や対外に出すものの水準、量も維持したいと考えていました。そこで社内エンジニアの力を借り、効率化を目指してIRテックに挑戦してきたという背景です。

【IR×生成AI】 想定問答の自動生成

河井:生成AIでできることの事例を、5枚のスライドを使用してご説明します。すでにプロダクト化しているものでは「exaBase IRアシスタント」があります。こちらはIRでも株主総会でも、要は記者会見のような場で使っていただけるものです。

基本的には、IR関連の書類など、読み込ませるものを用意いただくだけです。有価証券報告書、決算短信、統合報告書を入れるだけで、さまざまな観点からの質問・回答が自動生成されます。用意したドキュメントをもとに、経済面、株主還元、ガバナンスなど、投資家が気にするさまざまなアングルで、質問・回答生成を行います。

スライドに記載した特長3の「生成プロセスを可視化し、精度向上」とは、やはり根拠がわからないと作られた回答は使いにくいため、どのような根拠で書類を見て回答方針を作ったかという中間情報も可視化されるということです。人間でいえば、質問があり回答があり、回答の付箋も用意されているということです。AIが動いてくれるため、使いやすい点があります。

【IR×生成AI】 適時開示情報の自動生成

河井:適時開示文面の自動生成については、まだ実現しきれていない部分ではありますが、スライドに記載した、文章Aと文章BのどちらかはAIが自動生成したもの、もう片方は人間が書いたものです。なかなか判別することが難しいところまできていると考えています。

業務提携の公表や適時開示などをする際に、東京証券取引所が出している一定のフォーマットや、各社の過去の事例、あるいはみなさまが参照したい他社の例などをうまく組み込んでいくことで、7割から8割くらいの水準でドラフトが生成できるのではと考え、研究開発を進めています。

【IR×生成AI】 有価証券報告書、決算短信や、統合報告書の書き出し支援

河井:スライド左側の図は、有価証券報告書や決算短信のMD&Aや、注記情報として記載するような、定型的な文章部分は自動で生成できないかという可能性をまとめています。また、記述漏れを指摘するアラートを出すなど、そのような部分もうまくプロンプト設計すれば、「ChatGPT」で活用できるのではと考えています。

また、スライド右側に記載したように、統合報告書のドラフトについても、一定の水準で生成できるのではないかと研究を進めています。各社の統合報告書や、非常に良いとされている統合報告書の事例、本セミナーにご参加いただいた企業さまのプレスリリースや外部に発信した記事など、1年間分入れていくと「来年の統合報告書はこんな感じでどうですか」とドラフトを生成してくれるものです。

本当にコアな部分、つまり、メッセージの部分に関しては、人間がしっかり作成するというように、人とAIの分業ができるのではと考えています。

【IR×生成AI】 議事録の自動生成

河井:議事録の自動生成は、実は現在ベータ版として出している機能です。投資家面談の音声データ、または「Zoom」「Microsoft Teams」「Google Meet」の録画データを放り込むだけでテキスト化され、かつ、質問と回答が、1行にまとめられます。

このような質問、このような回答、このような背景というように、網羅的にたまっていくと、マネジメント層へのレポーティングに使えたり、あるいは将来的に取締役会とか経営会議のデータをここに保管しておくだけで効率的に記録できたり、そのような世界観を考えて進めています。

【機関投資家×生成AI】生成AI活用アイデア

河井:投資家サイドからもAI活用についてご質問をいただいたり、セルサイドのアナリストとお話ししたりする機会も多くあります。

例えば、日本の上場会社4,000社すべてを見ているわけにはいきません。そこで、対象としている銘柄の株価や、過去のさまざまな発表等の傾向分析、また中期経営計画の内容、適時開示などを読み込ませておき、投資を検討すべきタイミングでアラートを出したり、決算説明会での経営層の音声や表情を解析し、説明に対する確信度を推定したりといったAI活用が考えられます。

また、テーマパークや鉄道会社などの実際に人が動く場所において、人流や交通量、位置情報に基づき、「決算予測よりも良い結果を得られるのではないか」のような予測をたてる事例も想定できます。計測においては衛星を活用することになります。

このような投資銘柄の選定という部分では、投資家とIR担当とのこれまでの履歴を見ながら、大きく変わりそうなポイントを見つけ、その推進にAIを使う流れが当たり前になりつつあります。これからはどのようにAIと付き合い、業務を効率化していくのかがポイントになってくると考えています。

IR部門がDXを先導・推進する為の「IR特化型のDXツール」を目指しています

河井:ここからは「exaBase IRアシスタント」のご紹介です。

exaBase IRアシスタントの開発ロードマップ

河井:現時点で実現している機能は、スライド左上に記載した想定問答を自動で生成していく機能になります。AIの利活用の場は、株主総会に向けた想定QA作りや、四半期ごとの決算対応や、IR Day、ESG説明会、中期経営計画説明会など、さまざまにあると思います。開示資料を入れ込んでおき、QAを事前に準備しておくという類のものです。

また、投資家対応支援においては、先ほどお伝えした議事録作成もそうです。その議事録もたまってくると、このような決算内容の場合には、この投資家がこのようなことを気にするのではないかというような、投資家ごとの傾向分析もできるようになります。

例えば御社に投資している投資家Aが、御社を非常に高く評価しているならば、ポートフォリオマネージャーの投資先傾向などもうまく解析しながら、同じ傾向を持つ投資家B・C・Dに御社が会えば、株を買ってもらうことにつながるのではというようなレコメンデーションができるようになります。より効率的な投資家とのマッチングが可能になっていきます。

有価証券報告書、決算短信、そのような開示情報も重要ですが、密な会話が行われている議事録の構築も進めていきます。その先には、開示文書の作成支援、情報発信支援といったことも考えています。将来的にはIRWebサイトに来ていただいた機関投資家・個人投資家の方々に自動応答することもできるのではと考えています。

exaBase IRアシスタント powered by ChatGPT API

河井:「exaBase IRアシスタント」は、有価証券報告書や決算資料、統合報告書などのドキュメントをアップロードすることで、さまざまなカテゴリーに基づいて、質問と回答が生成され、さらに、回答のエビデンス情報も確認できるところがポイントです。

例えば、なぜ業績が伸びていくのか、あるいは下がっていくのかという回答の作成にあたって、検索した内容や決算短信の記述などをもとに回答をまとめるため、非常に安心して仕事が任せられると考えています。

IRアシスタント_機能について

河井:「exaBase IRアシスタント」の使い方としては3点あります。まずは、いろいろなファイルをアップロードして質問生成ができます。単独の資料から質問を作るパターンと、直近と現在の有価証券報告書同士、決算短信同士を比較し、記述差分を見た上で質問を作ることも可能です。

例えば、昨年の開示情報ではプロダクトAとBが好評とあるにもかかわらず、直近はプロダクトAのことだけしか触れていないとなると、「Bはどうなったのですか?」という質問がAIから作られます。

回答生成の機能は、実際にアップロードしているものを対象に、みなさまご自身で質問を投げかけることもできます。1問1答形式で回答を得ることもできますし、100問くらいの質問リストをまとめてアップロードすると即座に反映され、クリックすれば回答が生成されます。

議事録作成の機能は、MP3やMP4のデータをドラッグアンドドロップすると、アジェンダがまとめられたり、実際の質問と回答、またその背景が出てきます。これらが投資家の個別データとして蓄積されていきます。

したがって、1ヶ月後や四半期ごとに取締役会に提出する時にも、これらをサマライズしたものをレポーティングツールとして活用するということも想定できます。このような機能拡充をさらに図っていきたいと考えます。

議事録作成機能_入力/出力_画面イメージ

河井:スライドは、議事録作成機能のベータ版の画面です。入力画面では投資家の所属先、質問対象となった部署や人物、取材を受けた日時などを入力します。出力画面にはアジェンダ、Q&A、今後の改善点や要望、要約、ポジティブネガティブのフィードバックなどが生成されます。IR担当者の議事録作成の時間を圧縮し、投資家と向き合う時間を増やすことにつながります。

様々なユースケースに対応

河井:ユースケースとしては、株主総会や決算開示対応、記者会見のメディア対応などを想定しています。国内と海外拠点で双方でIRを行う場合、「exaBase IRアシスタント」を使っていただくことでみなさまのQ&Aのトンマナが維持されますので「大型の調達案件で、グローバル複数チーム各所を回る」「IRが複数拠点ある」という時にも使っていただけると思います。

セキュリティ対策

河井:非常に大事な点として、未公開情報を取り扱うことを前提としてセキュアな環境でお届けしています。スライド左上にある「A社ユーザー」が御社とした時に、スライド中央のように御社専用のクラウド上の閉鎖領域をご用意しているため、アクセス権限を持つ御社の方しかアクセスできないところにさまざまなドキュメントを入れていただいて、そこから質問と回答が作られるという流れになっています。

我々もAIを使う一つの上場企業として、そのようなインサイダー情報に触れたいという意図は全くありませんので、アクセスは不可能としています。また、外部の自然言語処理のエンジンとして「ChatGPT」を活用していますが、あくまでもAPIの連携になっており、学習されてしまうとか、最適化されてしまうとか、他社に漏れてしまうおそれは一切ないような設計にしています。

今まで数百社のセキュリティチェックに対応していますが、これが問題で導入できなかったといった例はまったくないので、どうぞ安心してお使いいただけたらと思います。

ご利用条件

河井:初期導入の水準としては、初期導入費用20万円、基本料金が年額96万円とご案内しています。これは1人でも20人で使っても同じ金額ですので、新しい体験としてまずはぜひトライアルいただきたいと考えています。スライド右上にトライアルの概要を記載していますが、1週間のトライアル期間に、さまざまなかたちで質問生成、回答生成、議事録作成ができます。

Q&Aデータの効率的な運用管理

河井:ご案内しておきたい点がもう1つあります。Q&Aを自動生成していく上で、株主総会や実際の投資家対応の時に「パッと検索してパッと出したい」といったニーズがあると考えています。

それがスライド右側の「exaBase FAQ」です。これは話し言葉でそのまま検索できるというツールで、例えば「スキルマトリックス」を探した時に「ッ」の有無で検索できないといったことが、たまにあるとお聞きします。

それも含め、非常に幅広い観点で文脈を理解して「これが回答なのではないでしょうか?」といったものを出すため、仮に想定問答が1,000問、3,000問、5,000問あったとしても、すぐにそれを見つけ出すことができます。

ぜひ「exaBase IRアシスタント」を質問生成、回答生成、または他社のリサーチを行うという時にも活用いただけたらと思います。また株主総会の効率的な運営といった観点で、FAQ含めた対応をご検討いただけたらと思います。

パネルディスカッション:「ログミーFinance」活用による成果について

河井:それでは、パネルディスカッションに移ります。IR業務のこれまでとこれからという観点で、富山さんにお聞きします。

先ほどご説明があったように、全体感でいうと、いかにITの効率利用を進めつつ、また投資家さまへのマインドシェアを高めながら、どのように業務を効率化して、成果を最大化していくかが重要だと思います。

やはり、このIR活動の量と質を高められる点が「ログミーFinance」の利点だと捉えており、ビフォー・アンド・アフターでいうと「すごく良い」というお話を、投資家さまからお聞きします。そのあたりは実際どのような感じか教えてください。

富山:ありがとうございます。まず先ほどのアンケートにも少しありましたが、IRは本当にリソースが不足していることは事実なので、今はテクノロジーの力を使って業務効率化を進めていくしかないと思っています。

IR業務だけでなく、特にIR業界のIT化は遅れていると思います。法定書類の電子化や、既存株主の電子管理、議決権行使などはいまだに紙ですから、やはりうまく活用できる会社とそうではない会社という点でも、かなり差が出てくると思っています。

そのような意味では、IR人材の不足ははっきりしているので、逆に進めやすいのではないかと思います。そのためには事前準備や知識も必要ですが、どう使いこなすかというよりも、まずはトライしていくことが大事なのではないかと思います。

先ほど効率化の話がありましたが、特にIR担当者が少人数で、機関投資家との面談件数が四半期で20件、30件こなしているような会社からは「『ログミーFinance』は非常に有効だ」という声をいただいています。例えばミーティングの場で、機関投資家がログミーの記事を読んだ上で参加していると、冒頭に会社説明をほとんどすることなく、Q&Aから入れるケースがあります。

リソース不足の状況で、個人投資家にもアプローチをしなければいけないという点では「ログミーFinance」を使っておけば、しっかり個人投資家にもアプローチできるため、ここは効率化につながっていると思います。

また、冒頭でご紹介したSansanと野村アセットと共同で実施した実証実験では、実際に「ログミーFinance」で情報発信をしている会社とそうではない会社を比較すると、「ログミーFinance」で情報発信している会社のほうが、出来高の変化率が約30パーセント高かったという検証結果も出ています。これは全社に言えることではありませんが、確実に結果は出ていると思っています。

河井:まずトライしてみることは大切ですね。実際に出来高にも寄与しているというのは、ポイントとしてはけっこう大きいですよね。

富山:おっしゃるとおりです。「ログミーFinance」では、700社以上の決算説明会の情報発信を行っており、そのデータもかなり溜まっています。2/27のセミナーでは、その効果検証や事実ベースの報告をする予定です。

河井:実際に記事化された投資家面談や説明会の内容が生成AIに読み込まれた時に、まるで社長に問い掛けているかのように、うまく答えてくれるようなことも実現できそうだと思って、非常に良かったです。

パネルディスカッション:「exaBase IRアシスタント」活用による成果について

富山:エクサウィザーズさまでもいろいろなAIの利活用に取り組んでいると思います。「exaBase IRアシスタント」は、現在どのような会社が実際に利用してるのか、その効果についてもお話できる範囲で教えてください。

河井:我々は昨年10月から正式にリリースしていますが、昨年5月にベータ版をリリースしたタイミングで日本経済新聞に取り上げられ、200社から300社くらいの問い合わせをいただきました。

IR担当者の手がなかなか足りていないという会社も多かった一方、どちらかというと、本当に著名な大企業からたくさんの問い合わせをいただいて、その当時は驚きました。多いところではIR部に5人から10人いるような会社もありました。

7割ぐらいは誰もが知っているような企業からの問い合わせで、やはり想定問答作りには、株主総会・IRどちらも大変な労力がかかっており、それを効率化したいというお話がありました。

一方で、これからどんどんIR活動に注力していきたいという方々も多く、直近で我々が公開しているところだと、JR東日本さまにご導入いただいた事例があります。金融、化学、半導体など約10種のさまざまな業種で導入が決まっています。

成果といった観点では、AIとの付き合い方として「何がデータとして入っていると、どのような質問と回答を生成するか」というところを、ある程度学ぶことも大事だと思っています。有価証券報告書、決算短信、統合報告書だけがデータとして入っていても、表面的な回答しか作ってくれません。しかし、掘り下げてみると開示できる内容に制限があるため、その回答だけでは少し現場感が足りないということがありました。

そこで、データとして実際に議事録を入れてみたり、決算説明会のQ&Aを入れてみたりすると、その会社の社長に対する更問いや、社長の回答方法をすごくまねたような回答ができ、精度が高まってきています。「3割から7割近く業務時間が削減できました」という感想もあり、どんどん良い声をいただいているという状況になっています。

富山:株主総会の想定問答などは、多い会社では数万件の準備をされたりしているのでしょうか?

河井:数千件から数万件単位でご準備されています。

富山:すごいですよね。

河井:回答の更新だけでも大変だという方もいるので、そのような時は必要なデータソースを入れておいて、そこに過去の質問を入れ込むと、更新にも使っていただけると思います。

富山:IR議事録の機能に取り組んだきっかけは何だったのでしょうか?

河井:議事録というと世の中にあふれているようなサービスに聞こえますが、実際にIRに特化したものはまったくありません。また、長文でいろいろなことが書かれていても、なかなか使いづらいので、それを取り除いて非常にシンプルに質問、回答、背景だけを示していくことで、現場の担当者の時間を圧縮できるはずだということもあります。

また、もともとの背景としては、質問の内容、回答の内容の深みを増すのに、やはり議事録が必要だと考えていたことです。まずデータを入れるだけでも議事録ができて、時間短縮につながりますが、まとまってくると今度は役員会報告、投資家の傾向分析にも使えます。それをもとに、Q&Aの精度が高まってくるといったように、ぐるぐると回っていくと思います。

それを我々はデータのサーキュレーション「ぐるぐるモデル」と呼んでおり、今とてもフォーカスを置いて取り組んでいるところです。

富山:会社にはある程度プラスの影響もあると思いますが、逆に失敗するケースや、導入するにあたっての注意点などはありますか?

河井:やはり何のデータを入れて、回答をどう作っていくかというところだと思います。既述内容が非常に少ないものを入れても、そこからは質問も回答も膨らまないことがあります。例えば直近半年の動向についてさまざまなことが知りたいのであれば、それに関連するデータやニュース記事など、本当に目的に沿ったものを入れていただくことが必要です。

競合他社対比ではどうかという問いを得たい時は、いろいろな有価証券報告書や、他社の記事、自社の記事を入れて生成していくほうが良いです。人間と働く上で、後輩や部下に指示を与えるのと同じような感覚で、AIに指示を与える時にデータとして何を見せるのかを、つかんでいくことが重要なのだと思います。

質疑応答:投資家からの損害賠償を求められた際の対応スタンスについて

河井:「Q&Aのコンテンツを信じて投資し、損失を被った投資家から損害賠償を求められた場合のシステムベンダー側の対応スタンスを教えてください」というご質問です。

これについては、我々はシステムベンダーという対応スタンスではまだなく、あくまでもIRのさまざまなコンテンツを利用して「投資家側もこういう投資を考えられますよ」「実際にこう会社側は発言してますよ」といったご紹介にとどまるかたちだと思っています我々は投資家さま向けにサービスを提供していませんので、この回答は保留としておきたいと思います。

もしかしたらアングルを勘違いしていたかもしれないので補足します。IR、Q&Aのコンテンツを信じて投資し、損失を被った投資家側からといったアングルですが、これは恐らく「exaBase IRアシスタント」をアシスタントとして捉えてくださいという、私のご説明が足りていなかったかもしれません。

あくまでもQ&A作りの補助ツールとして利用いただいて、0から1の部分が仕上がっているので、あとは微修正を加えていくだけで質問も回答もブラッシュアップされていくというツールです。仕上がっている300問に、それぞれコメントを加えていくだけのほうが早く作業が完了できますし、あくまでも最終成果物はそれぞれの企業さまに基づきます。

また、最終的に投資家さまとしても自己判断、自己責任の投資になるので、そこで何か損害賠償などは発生しないと捉えています。

質疑応答:IR活動の優先事項について

富山:「上場間もない時価総額300億円未満の会社を前提に、限られた時間やコストの中で、最も優先すべきIRのポイント事項は何でしょうか?」というご質問です。

約3,900社が上場している中で、IPO直後のマーケットの中での認知は、本当に入り口にいるのだと思います。まずは情報発信です。それは普段、IRで発信する四半期開示もそうですが、それに合わせて、そのコンテンツを利用しながら外部発信することが1番初めにすることだと思います。

また、上場直後であれば、機関投資家とのミーティングについてはそれほどアプローチしなくても、新規面談が入りやすいと思いますので、可能な限りその面談をこなしながら、機関投資家とのつながりを作っていくという動き方がいいのではないかと思います。

質疑応答:サービスの利用方法について

河井:「議事録生成AIについての音声データは『Zoom』など指定ありますか? リアルな場で音声データを準備する場合は、レコーダーなどクリアな音声データを準備したほうがよろしいでしょうか?」というご質問です。

「Zoom」「Webex」「Microsoft Teams」「Google Meet」などの指定はありません。基本的にはMP3、MP4に対応しており、音声データであれば2ギガバイトまで入れることができます。

よりクリアなほうが望ましいという点はありますが、そこは完璧じゃなくても、ある程度聞き取れる水準であれば、特段問題ないと思っています。

質疑応答:書き起こし記事のPV数確認について

河井:「書き起こしについて、どのぐらいの方々が見られたのか確認するツールはありますか? また、書き起こしなどはダウンロードすることは可能でしょうか?」というご質問です。

今はシステムの中で見られるかたちになっており、今後はダウンロードできるものにしていきたいと思っています。「書き起こしについてどのぐらい見られたのか?」というのは、ログミーさまへの質問です。

富山:対象としては、機関投資家が国内で1万人ぐらい、個人投資家がだいたい900万人ぐらいです。「ログミーFinance」以外の媒体でも発信をしていますが、我々が取れる数字は「ログミーFinance」上の管理画面の数字だけになります。計測期間を定めてそこで取れた数字をクライアントに報告することはできます。

ご挨拶

河井:たくさんご質問をいただきありがとうございます。お時間の都合もあるのでいったん締め切ります。

我々はログミーさまと業務提携を結び、IR担当者の生産性や、投資家の利便性をますます向上させて、日本企業の資本市場への積極的な対応を支援したいと考えています。営業連携、両社のデータの共有と利活用など、安全なかたちでうまくサービス連携させたいと考えています。

富山:今日はご参加いただきありがとうございます。引き続き「ログミーFinance」も企業価値向上のお手伝いができればと思っています。本日はありがとうございました。

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