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なぜセブン&アイ65%減益の独り負け?敗因分析と今後のシナリオ=澤田聖陽

セブン&アイ・ホールディングスは2024年3~11月期(第3Q)の連結決算を発表し、売上は前年同期比5.7%増と堅調な伸びを示した一方で、営業利益は23.1%減、純利益は65.1%減と大幅な減益となった。どうしてこのような結果になったのか。その要因と今後の見通しについて解説したい。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)

※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2024年1月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。

大幅減益となったセブン&アイ

1月9日、セブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイ)は2024年3~11月期(第3Q)連結決算を発表した。数値は以下に記載の通りとなった。

売上:9,069,591百万円(前年同期比5.7%増)
営業利益:315,401百万円(前年同期比▲23.1%減)
経常利益:281,633百万円(前年同期比▲27.5%減)
親会社株主に帰属する四半期純利益:63,630百万円(前年同期比▲65.1%減)

営業利益・純利益ともに大幅減益となったものの、昨年10月に修正した計画比ではそれぞれ102.3%、101.0%と上回ってはいる。

セブン&アイは事業セグメントを大きく国内コンビニエンスストア事業、海外コンビニエンスストア事業、スーパーストア事業、金融関連事業、その他事業の5つに分けている。

各事業セグメント別の第3Qの数値は、以下に記載の通りである。

<国内コンビニエンスストア事業>

売上:687,495百万円(前年同期比98.2%) 
営業利益:182,922百万円(前年同期比91.9%) 

<海外コンビニエンスストア事業>

売上:6,968,754百万円(前年同期比109.6%) 
営業利益:156,940百万円(前年同期比67.9%) 

<スーパーストア事業>

売上:1,065,401百万円(前年同期比98.1%) 
営業利益:2,063百万円(前年同期比85.8%) 

<金融関連事業>

売上:159,153百万円(前年同期比102.2%) 
営業利益:25,951百万円(前年同期比89.4%) 

<その他事業>

売上:239,088百万円(前年同期比73.2%) 
営業利益:4,389百万円(前年同期比175.8%)

国内コンビニ事業が売上、営業利益で前年対比マイナスになっており、海外コンビニ事業については売上が前年対比プラスになっているものの、営業利益は大幅なマイナスとなっている。

この主要2セグメントについて、現状での問題点と今後の見通しについて記載していく。

国内コンビニ事業の不振

国内コンビニ事業については、売上・営業利益ともに前期比マイナスである。

国内コンビニ事業はコロナ禍以降、2024年2月期までは好調を維持してきたが、今期は前年同期比割れの状態となっている。

国内のコンビニ市場はセブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの3強が圧倒的なシェアを支配している状態であるが、店舗当たり平均日販額を見るとファミリーマートとローソンが57万円台なのに対して、セブンイレブンは70万円弱と20%程度高い水準にあり、他2社とは差がある(2025年2月期 第2四半期の実績)。

しかしながら足元では、セブンの「独り負け」の状態と言われている。

2024年6月以降、ファミマ、ローソンが既存店の売上が前年を上回っているのに対し、セブンだけが前年比が昨年を下回っているのである。

Next: なぜセブンだけ前年割れ?海外コンビニ事業は構造転換中…

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