弁当の底上げ問題などのネガティブイメージがあったものの、主たる原因は物価高で消費者の財布の紐が締まっている時に、高いセブンというイメージを変えられなかったことにある。
ファミマ、ローソンが早く低価格商品を増やしたのに対して、セブンは対応が遅れた。
セブンも9月から「うれしい値」という名前で低価格諸品のラインナップを増やしており、9月以降はその効果で客数が増加しているようだ。
時流を読む対応が遅れた部分はあるが、他2社とは地力の差があるので、セブンの国内コンビニ事業は徐々に回復基調に戻ってくるとは考えている。
海外コンビニ事業は構造転換中
同社の海外コンビニ事業の中心は米国である。
セブンイレブンはもともと米国企業のサウスランド・アイスカンパニーが始めたブランドであるが、今では米国でセブンイレブンを展開する7-Eleven,Incはセブン&アイの100%子会社となっており、米国でのセブンイレブン事業はセブン&アイの事業である。
またセブン&アイは2021年に油精製会社マラソン・ペトロリアムのコンビニエンスストア併設型ガソリンスタンド「スピードウェイ」部門を買収した。
子会社の7-Eleven,Incはコンビニエンス事業で全米トップ企業であり、セブン&アイの売上の中でも海外コンビニ事業は全体の売上の3/4を占める規模となっている(2024年2月期実績)。
しかしながら同社の海外コンビニ事業は過渡期にあり、構造転換中だ。
ガソリンの売上を除く米国での既存店売上は2024年9月まで13カ月連続で前年割れが続いている。インフレによる物価高で米国での低所得層を中心に買い控えが進んでいるのが主な原因である。
セブン&アイは米国の不採算店の整理(閉店)を進めており、今期567億円を費用として計上している。
米国のコンビニに行かれたことがある方ならわかると思うが、日本のコンビニとは商品構成などがかなり異なる。
日本のコンビニ大手3社は自社開発のプライベートブランド(PB)商品を多く投入しており、利益率はナショナルブランド(NB)商品よりもかなり高い。
米国でもPB商品の比率を高めようとしており、IR資料によると米国でのNB商品が33%であるのに対してPB商品は51%と18%の粗利率の差がある。
米国でもPB商品の比率が高まってこれば利益率も上がってくるだろうが、これがそう簡単ではない。
日本のコンビニ事業でPB商品の比率を上げるにも、サプライヤーの確保などかなりの時間を要している。
しかも日本での事業のようにセブン&アイグループのブランド力は強くなく、サプライヤーの確保は想定的に容易ではないだろう。
米国事業の利益率の良化にはある程度の時間が必要と判断している。