今日は、今年非常に注目されている銘柄、フジクラ<5803>についてお話ししたいと思います。フジクラは、光ファイバーやデータセンター向けの光ファイバー関連部材を製造・販売している会社です。 今のAIデータセンターブームに乗り、業績を大きく伸ばしてきました。 しかし、直近で株価が下がり、一時はピークの半値程度にもなりました。この下落は果たして買いのチャンスなのでしょうか? 大きく伸び続ける銘柄の特性という観点も踏まえ、詳しく解説していきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
株価急落の背景:2024年の急騰から一転
フジクラは電線御三家と呼ばれるうちの一社で、2023年までは地味な銘柄でした。電線自体が比較的安定した事業であるため、株価も停滞していました。
しかし、2024年に入ってから大きく上昇し、2月13日には7,620円のピークを迎えました。ところがその後、トランプ大統領の関税政策などによる先行き懸念からか、一時3,592円まで急落しました。

フジクラ<5803> 週足(SBI証券提供)
株価上昇の牽引役:AIデータセンター関連需要の爆発
近年の株価急騰の背景にあったのは、AIデータセンターに関する需要の拡大です。
AIデータセンターで使用される光ファイバーは、大量のデータを高速で伝送するために不可欠な部材となっています。データセンターは、携帯電話やパソコンでのデータ処理、YouTubeの視聴など、あらゆる情報通信の基盤であり、特にAIの処理には膨大なデータ量が求められるため、高性能な光ファイバーが不可欠です。
フジクラだけでなく、古河電工といった同業他社の株価や業績も伸びていることからも、このトレンドの強さが伺えます。
フジクラの業績を見てみると、営業利益がこの数年で5~6倍にまで急成長しています。これは、AIデータセンター関連の需要がいかに大きかったかを物語っています。
株価はまだ割安?
利益が大幅に増加しているにも関わらず、株価は直近の高値から大きく下落しており、高値前の水準から見ても約4倍の上昇に留まっています。
これは、まだ上昇余地があると考えることもできます。また、PER(株価収益率)は17.6倍であり、必ずしも割高とは言えない水準です。利回りも1.7%あり、魅力的に見えます。
一方で、「今回の株価急落は、何度も繰り返されてきたバブル銘柄の末路ではないか?」と懸念する声も聞かれます。
急騰する銘柄に飛びつく前に考えるべきは、その商品やサービスが誰にでも簡単に作れるものなのかどうかという点です。誰でも作れる商品の場合、一時的に株価が上昇しても、すぐに供給過剰となり、価格競争が激化し、最終的には淘汰される可能性が高いです。
爆上げ銘柄の条件:市場の拡大と枯渇感
株価が大きく上昇する銘柄には共通する特徴があります。それは、市場の拡大と枯渇感(供給不足)です。生成AIとそれを支えるデータセンターの状況がこれに当てはまります。