fbpx

株価ピークから半減「フジクラ」は買いの好機か?長期投資家が注視すべき需要の変化とリスク=栫井駿介

データセンターを巡る需要:半導体、光ファイバー、冷却、電力

AIデータセンターの建設と運用には、半導体(特にNVIDIAのGPU)、光ファイバー(フジクラ、古河電工、コーニングなど)、冷却技術(ダイキンなど)、そして大量の電力が必要です。

これらの関連企業も、AIブームの恩恵を受けて業績を伸ばしています。特に、三菱重工はガスタービンの技術でデータセンター向けに貢献しており、AI恩恵銘柄と言えるでしょう。

供給過剰のリスク:光ファイバー市場の将来性

しかし、単純に光ファイバーを作る技術自体は、それほど難しいものではないかもしれません。現在は供給が需要に追いついていないため価格が上昇していますが、各社が生産能力を増強すれば、供給過剰に陥り、価格が下落する可能性があります。

これは、過去の科学メーカーや半導体業界でも繰り返されてきた現象です。

フジクラの真の強み:模倣困難な特殊技術

重要なのは、誰にでも作れない強みを持っているかどうかです。

フジクラの場合、単なる光ファイバーメーカーではなく、特殊光ファイバーにおいて高い技術力を持っています。高密度、優れた曲げ特性、低伝送損失といった特徴を持つ光ファイバーは、データセンターの小型化や効率化に不可欠であり、簡単に真似できるものではありません。また、高密度コネクターやケーブルアセンブリといった分野でも高いシェアを誇っています。

このような技術力こそが、フジクラの大きな強みと言えるでしょう。データセンター大手からの強い需要と、それに応える独自の技術力によって、フジクラは高い収益性を維持できると考えられます。

今後の懸念材料:Microsoftのデータセンター投資計画縮小

今回のフジクラ株価下落の背景には、トランプ関税だけでなく、Microsoftがデータセンター計画から撤退するというニュースも影響していると思われます。

参考:マイクロソフト、米欧のデータセンター計画から撤退-TDカウエン(Bloomberg)

参考:AIデータセンターの需要に影―マイクロソフト、世界各地で計画縮小(Bloomberg)

参考:マイクロソフトが世界的にデータセンター開発から撤退(Data Center Cafe)

Microsoftは、2024年から2025年にかけてデータセンターに巨額の投資を行ってきましたが、計画の一部キャンセルやリース契約の解除といった動きが見られています。OpenAIとの連携でAI分野を牽引してきたMicrosoftの動きは、市場に警戒感を与えています。

今後の市場拡大が鈍化する要因としては、供給の充足、AIの幻滅期(現時点では可能性は低い)、代替手段の登場(DeepSeekなど)、マネタイズの課題、リソース制約(電力など)などが考えられます。特に、Microsoftがデータセンターの供給過剰を理由に投資を縮小する可能性もあります。

しかし、Microsoftが投資を一部縮小する一方で、Amazon、Google、Metaといった他の大手IT企業は、依然としてデータセンターへの積極的な投資計画を発表しています。Microsoftの投資計画が2025年6月期に集中しているのに対し、他の3社は暦年での計画であり、まだ投資の初期段階にあるとも考えられます。また、OpenAIが新たな画像生成AIを発表するなど、データセンター需要を再び押し上げる可能性も十分にあります。

Next: フジクラは買いか?株価の変動は激しいが…

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー