「Wii Uの失敗」がもたらした、革新へのジレンマ
任天堂がスイッチ2を開発する上で、過去の苦い経験が戦略的なジレンマを生んでいます。
任天堂はかつて、大ヒットした「Wii」の後継機である「Wii U」で大きな失敗を経験しました。この失敗の反省から、スイッチ2ではスイッチとの互換性を維持し、ユーザーがスムーズに移行できる「堅実な戦略」を選ぶ可能性が高いと見られています。
しかし、この堅実さが、皮肉にも「わざわざスイッチ2を買う必要がない」という状況を生み出すジレンマにつながっています。既存のスイッチで遊べるソフトが多いままでは、ユーザーが積極的に新機種に買い替える動機が生まれにくいのです。結局のところ、スイッチ2の成否は、「スイッチ2でしか遊べない、魅力的な専用ソフト」がどれだけ登場するかにかかっています。
スイッチ2の初期ブームは「品薄」が生む心理バブルの危険性をはらむ
スイッチ2が発売された際、熱狂的なブームとなりました。しかし、その熱狂は、スイッチ2の魅力だけでなく、品薄状態が生み出す心理効果によるものである危険性を投資家は警戒しています。
この状況は、株式市場における「IPO(新規株式公開)」の性質に似ています。供給が限られている中で多くの人が欲しがると、一種の心理効果が働きます。
抽選に外れると「何が何でも欲しい」という気持ちになる。「逃した魚は大きい」という心理が働き、本来の価値以上に需要が膨らんでしまうのです。
この種の初期ブームは、製品の真の評価を反映しているとは限らず、生産が安定し始めると急速に沈静化するリスクがあります。市場は、このような一時的な熱狂ではなく、持続的な需要と収益性を見極めようとしているため、将来への期待だけで株を買い進めることに慎重になっているのです。
任天堂が次に打つべき一手とは?
ここまで見てきたように、好調な売上の裏で任天堂が直面している課題は、コスト上昇、過去の成功体験がゆえの高いハードル、そして革新へのジレンマと、非常に複雑です。
アナリストの中には、任天堂が取るべき次の戦略として「MacやiPhoneのような、ハードを毎年少しずつアップデートしていくモデル」を提案する声もあります。ハードの世代交代のたびに大きなリスクを取るのではなく、安定したプラットフォームとして進化させていくという考え方です。
任天堂はこれからもハードが世代交代するたびに大きな「ギャンブル」を続けるのか、それとも安定したプラットフォームへと進化する道を選ぶのか。その答えは、これから登場するソフトのラインナップと、スイッチ2への移行戦略が示してくれるでしょう。
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