■業績動向
ノムラシステムコーポレーション<3940>は1986年2月の設立以来、企業のオープン化コンサルティング業務などを展開してきた。IT環境の急速な進化に対応し、ソフトウェア設計請負中心の事業構造から、ERP(基幹系統合システム)パッケージの導入コンサルティング業務へと経営資源をシフトしている。同社が注力する次世代戦略事業部ではライセンス販売を積み上げており、これを基盤としたシステム更新需要などによるストックビジネス化を通じ、安定的な収益確保を目指す。国内ERP市場やクラウド、ビッグデータ市場の拡大を背景に、コンサルティング企業として成長余地は大きい。
1. 2025年12月期の業績概要
2025年12月期の業績は、売上高が3,321百万円(前期比1.4%増)、営業利益が586百万円(同14.0%増)、経常利益が593百万円(同15.3%増)、当期純利益が404百万円(同10.3%増)と増収増益を確保した。売上高成長率に比べ利益の伸長率が高いのは、全体に占めるプライム案件※の比率が向上し、採算性が向上したためである。売上高に対するプライム案件の比率は2015年12月期には18%、2020年12月期~2021年12月期ころはおよそ30%台の推移であったが、2025年12月期は顧客との直接取引が前期の23社から28社に増加したことを背景に68%にまで増加し利益率の上昇に直結している。
※ クライアントから直接受注し、全工程を同社のコンサルタントが担当する案件のこと。プライム案件は利益率が高い。
個別案件では、(株)NHKエンタープライズから受注したSAP S/4HANA導入プロジェクトが納入期限までに完了した。同社の強みであるプロジェクト成功率100%を具現化した事例であり、一般的に1~2年の遅延が生じることが多い大規模プロジェクトにおいて、納期どおりの完遂が評価された。これが信頼獲得につながり、業務改善提案による追加受注にも発展している。さらに、大手自動車部品メーカー、公立大学、大手製薬会社などからの受注も順調に推移し、プライム案件及びPMO(Project Management Office)サービス案件が業績をけん引した。このほか、(株)OKIソフトウェア、ボッシュ(株)(ボッシュ・グループ)の傘下企業との3社共同で国内製造業向け「SAP Cloud ERP」テンプレートの開発を開始した。
既存のFIS(Function Implement Service)が減少する一方、同社はプライム案件へのシフトが続いている。FIS案件は外注コストがかかるため売上高全体は伸びが鈍化したものの、近年では利益率が改善傾向にある。これは、全体の売上高に占めるプライム案件の比率向上が顕著となったためである。
従来型のFIS案件のように部分的な支援業務と比べ、プライム案件は売上総利益率で約10ポイントの差が生じるため、今後はプライム案件の受注確保が成長のカギを握る。2025年12月期は営業利益率が17.7%となったが、今後もさらなる向上が期待され、営業利益率20%台も視界に入ってきた。
一方、次世代戦略事業部におけるDX事業への先行投資も強化している。短期的にはコスト上昇要因となる可能性はあるものの、中長期的な成長に向けた布石と位置付けている。
2. 2026年12月期の業績予想
2026年12月期の業績予想は、売上高が3,800百万円(前期比14.4%増)と引き続き増収を見込むが、営業利益は530百万円(同9.6%減)、経常利益が530百万円(同10.6%減)、当期純利益が362百万円(同10.4%減)と、増収減益を予想している。これは、先行投資を大幅に強化するためである。プライム比率の上昇に伴い体制の内製化が急務となっており、なかでもプロパー人材の育成を最優先課題として取り組む方針だ。営業力強化や人材育成などへの投資費用が拡大することで一時的な減益となるが、事業環境は良好である。先行きについても、基幹システムの刷新に伴うERPパッケージへの移行やERPのクラウド化ニーズの高まりを背景に、需要は一段と拡大する見通しだ。今回の減益予想は、市場の停滞によるものではなく、将来の収益基盤を盤石にするための戦略的な意思決定と言える。投資によってプライム比率は70~75%への上昇も見込め、中長期的な目標として営業利益率20~22%の達成を視野に入れている。
他方、「高付加価値ソリューションの提供」を目指し、重点施策の推進を図る。具体的には、「SAP S/4HANA」のリプレイス需要を確実に守り抜くため、SAP認定コンサルタントの資格取得を推進し技術力を強化する。さらに、「SAP SuccessFactors」拡販のためのクラウドソリューション強化も図る。既存のシステムについてクラウドを導入していない企業も依然として多いことから、クラウド移行ニーズを確実に取り込み、さらなる事業拡大を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野 文也)
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