■事業概要
2. 特色、強み
(1) シェアクラウド
サイバーリンクス<3683>の事業の特色の1つは、「シェアクラウド」に特化している点である。シェアクラウドとは、各顧客企業の機能要求に個別に対応するのではなく、複数の顧客が同じハードウェア、ソフトウェア、運用・保守などを共同で利用する方式のことで、「高機能」「高品質」のサービスを「ローコスト」で提供できる。同社によれば、通常の個別対応のシステムに比べて1/2~2/3程度のコストで同じ性能のシステムを提供できるとしている。
このような共同利用を可能にするためには、優れた開発力を持つだけでなく、開発・導入・運用・保守までの一貫サービスを自社ですべて提供できる必要がある。同社は「クラウド」という言葉もなかった2005年からサービスを開始しており、同業他社と比較し先行優位性もある。クラウドでのサービス提供という分野では一日の長があり、同業他社が追いつくには時間がかかるだろう。
同社が「シェアクラウド」を展開する背景には、市場の構造変化に対する明確な経営思想がある。かつては企業独自のシステム開発が競争力の源泉であったが、現在は企業の差別化に直結しない共通業務については、専門会社の共同利用サービス(シェアクラウド)でコストを抑え、経営効率を最大化を図る時代へと移行している。この潮流は顧客層へも着実に浸透しており、業界標準プラットフォームを提供する同社のソリューション需要を一段と高める要因となっている。
(2) 食品流通業界向けに特化
同社は1988年から流通小売業向けネットワーク型POSの情報処理事業を展開しており、食品流通分野において豊富な知見とノウハウを蓄積している。これらの強みを最大限に生かすため、鮮度管理が極めて重要であり、小売業の中でも特に緻密な販売管理が要求される食品スーパーに標的を絞った事業展開を行っている。日持ちのしない生鮮食品や水産加工品を扱う同業界に特化したクラウドシステムを提供している点は、競合他社に対する大きな差別化要因となっている。
ただし、同社がほかの領域にまったく参入しない、またはできないわけではない。年商300億円以下の食品スーパーを対象とした食品流通の市場では、同社は既にITベンダーとして確固たる地位を築いているが、これまで同社が参入していなかった年商1,000億円以上を含む中大規模企業向け市場にも進出している。その皮切りとして、2017年4月に「@rms基幹」の中大規模向けバージョン(初期版)をファーストユーザーへ導入した。その後も順次導入を進めてきたが、その過程で様々なユーザーからの要望や問題点の改善を行い、2024年5月には高速処理を実現した新バージョン「@rmsV6」をリリースした。店舗数が多く、より高度な処理能力が求められる中大規模企業のニーズに応えることで、未開拓であった上位市場のシェア獲得を図る。
また、同社は食品流通向けに絞って事業展開しているが、既に大手ドラッグストアが同社のEDIサービスの利用を開始するなど水平展開の兆しもある。近い将来、収益基盤が磐石となった場合には、ドラッグストアやホームセンターなどの小売市場への本格的な参入もあり得る。市場を絞り込んで着実に事業を進めている点も、同社の特色と言えるだろう。
(3) 「定常収入」重視の経営方針
同社は重要な経営方針として「定常収入の増加」を掲げている。定常収入は毎月の利用料や保守料などのように、営業成績や受注高などに関係ない安定的な収入であるため、定常収入の増加による固定費の負担軽減は収益基盤の安定につながる。同社だけでなく、多くの企業が定常収入の増加を目指しているが、経営方針として明白な数値目標を掲げている企業は少ない。なお、2025年12月期の定常収入は8,734百万円、売上高比率で48.2%となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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