2026年5月13日に発表された、イーグル工業株式会社2026年3月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
26年3月期実績|売上高・利益(前期対比)
鶴鉄二氏:2026年3月期の決算概要と2027年3月期の業績予想をご説明します。2026年3月期累計実績は、各セグメントで堅調に推移しました。
特に自動車・建設機械業界向け事業や半導体業界向け事業の販売が回復し、売上高・各利益ともに、前期を上回りました。また、売上高と経常利益は過去最高となりました。
26年3月期実績|営業利益変動要因(前期対比)

営業利益の前期比での変動要因です。人件費の増加、原材料値上がり等、為替の影響が主な減益要因となりました。一方で、コストダウンや生産性向上、製品価格の値上げ、売上高の増加がプラス要因となり、増益となりました。
26年3月期実績|事業セグメント別 売上高・営業利益(前期対比)

セグメント別の売上高および営業利益実績です。自動車・建設機械では、EV向けに拡販を進めているサスペンション用ソレノイドバルブの販売増加に加え、内燃機関向けの従来製品も想定より落ち込まなかったことから、増収増益となりました。
一般産業機械は、アジアパシフィック地域で一部販売減が生じたため減収となりましたが、年間を通してアフターサービスが堅調に推移し、増益となりました。
半導体は下期以降に生成AI関連分野を中心とした半導体業界の回復が進み、増収となり、損失も縮小しました。
舶用は新造船向けの販売が増加し増収となりましたが、若干の減益が生じました。航空宇宙は航空機および宇宙関連市場が堅調に推移したものの、一部製品の販売延期が影響し、減収減益となりました。
27年3月期業績予想|売上高・利益(前期対比)

2027年3月期の業績予想です。売上高は1,880億円、営業利益は124億円、経常利益は158億円、親会社純利益は95億円を計画しています。前提とする為替レートは、1ドル155.0円、1ユーロ179.4円としています。
今期は半導体業界向け事業が継続して回復し、増収の見通しです。ただし、中東情勢の影響による原材料価格のさらなる高騰が予想されるなど、市況動向は不透明であり、減益を見通しています。
なお、これらの数値は、10月に予定しているNOK株式会社との経営統合による影響を加味していない当社グループのみでの通期業績予想です。
27年3月期業績予想|営業利益変動要因(前期対比)

営業利益の変動要因予想です。コストダウンや生産性向上、製品価格の値上げ等を継続しますが、減価償却費等の経費や人件費、原材料の値上がりといったマイナス要因をカバーできず、前期対比で減益となる見通しです。
27年3月期業績予想|事業セグメント別 売上高・営業利益(前期対比)

セグメント別の業績予想です。自動車は、EV向け製品の販売増が見込まれる一方、内燃機関向けの従来品の販売減が続いていることから、減収減益の見通しです。
一般産業機械については、中東情勢などの事業リスク要因があるものの、各プラントの稼働や各製品・サービスの需要が堅調に推移する見通しのため、増収増益が見込まれます。
半導体は、販売が引き続き増加する見通しのため、売上高が拡大し、営業損失も縮小する見込みです。
舶用は、今期も新造船向け販売が多く控えていることから、売上高は増加するものの、減益となる見通しです。航空宇宙は、引き続き航空機向けを中心に生産・販売が拡大し、増収増益の見通しです。
設備投資と減価償却費|実績・計画

設備投資と償却費の実績および計画についてご説明します。2026年3月期の設備投資実績は、当初計画を絞り込み、91億円でした。
今期は新たな中期経営計画の開始年度にあたり、各事業分野での新製品量産や生産拡大に向けた設備投資が予定されているため、131億円への増加を見込んでいます。
各種財務指標|前3カ年計画中の主要KPI推移とキャッシュアロケーション

前中期経営計画である3ヶ年計画期間中の各種財務諸表、主要KPI、キャッシュアロケーションの結果についてご説明します。
2025年3月期は減損損失やグループ内組織再編が親会社純利益に影響し、1株当たり純利益が落ち込みましたが、2026年3月期は業績回復に伴い、各指標が改善しました。
3年間のキャッシュアロケーション実績は、累計営業キャッシュフローが535億円、設備投資が323億円、株主還元が204億円という結果となり、将来の成長に向けた投資を進めるとともに、株主還元も計画どおり実施することができました。
新中期経営計画|『持続性ある企業体質の構築 〜Fly Sky High!〜』

これらの実績を基に、今期から開始する新中期経営計画の概要についてご説明します。
新中期経営計画のスローガンは「持続性ある企業体質の構築 ~Fly Sky High!~」とし、主要推進項目は「1.変化への巧緻的対応」「2.NOK/EKK統合シナジーの創出」「3.次世代製品の開発と事業化」「4.永遠のゼロ」「5.DX,TCD/ムダ半の深化」「6.人間尊重/人財育成」としています。
今期はNOK株式会社との経営統合を控えていますが、当グループのみで3年後の2029年3月期の売上高目標として2,000億円を目指し、全利益項目で最高益の達成を目指していきます。
そして、さらなる資本効率性の向上を図り、ROICは7パーセント以上、ROEは9パーセント以上を目指していきます。
NOK(株)との経営統合により目指す姿

経営統合を踏まえた将来の目指す姿としては、注力してきた半導体業界向け需要が拡大フェーズに入ることを背景とした当社グループ事業のオーガニック成長に合わせて、経営統合によるシナジーの創出も進め、2031年度にはNOKグループで売上1兆円を目指していきます。
また、NOK株式会社との経営統合により、有機材料から無機材料までを網羅する幅広いシーリング技術の実現が期待できます。両社の技術や強みを融合し、素材横断で顧客ニーズに対応する複合的なシーリング・ソリューションを提供することで、より多くのステークホルダーに選ばれる企業を目指していきます。
特に当社としては、半導体や熱マネジメント分野など、さらに高度化が見込まれるシーリング性能への要求に対応できる技術優位性の発揮を期待しています。
本経営統合による技術研究開発の方向性

本経営統合による技術研究開発の方向性について概要をご説明します。現時点で期待される効果として、両社既存の開発品のさらなる協業と新製品開発により、それぞれの顧客基盤へより一層の拡販余地が生じると考えています。
また、R&Dにおいては、新材料開発やシール製品に不可欠なトライボロジー分野のノウハウ共有が期待されます。
製造工程における省人化の実現に向けたスマートファクトリーの拡大など、両社の技術やR&Dの知見を活かしたイノベーションを目指す方針です。
自動車・建設機械業界向け事業|ビジネス現況と見通し

各セグメントの現況と今後の取り組みについてご説明します。
自動車・建設機械業界向け事業の今後の事業見通しについては、内燃機関向け製品の販売減が続くことから、売上高は横ばいの見通しですが、スライドに記載している新製品の開発や拡販により、増益を目指していきます。
特に、サスペンション用ソレノイドバルブは今期も販売増が見込まれています。それ以外にも、EV向け新製品としてテクスチャーメカニカルシールの「GlideX」、熱マネジメント用製品としてLLC切替弁やカーボン軸受の開発・拡販を進めています。
今後はNOK株式会社との営業、生産、技術面でのシナジー効果を見据えて、ビジネス拡大を推進していきます。
一般産業機械業界向け事業|ビジネス現況と見通し

一般産業機械業界向け事業の動向です。本事業は、ドイツのブルグマン社とのアライアンス体制でグローバルに展開をしています。各プラントに設置されるポンプやコンプレッサー等にメカニカルシールを納入後、その後のアフターサービスで収益を得るビジネスモデルです。
今期は中東情勢の影響とリスク要因がありますが、エネルギー需要は今後も増加傾向にあり、3年後に500億円規模のビジネスを目指して事業を拡大していきます。
半導体業界向け事業|ビジネス現況と見通し

半導体業界向け事業の動向です。現在、半導体業界の回復に伴い、拡大基調にあります。今期は若干の赤字が見込まれますが、市況の後押しに加え、つくば事業場の本格稼働により生産販売が拡大する見通しです。
そして、当社の強みである幅広いシール製品ラインナップを活かした新製品開発を継続し、中期的には250億円以上の事業拡大を目指していきます。
舶用業界向け事業|ビジネス現況と見通し

舶用業界向け事業についてです。本事業の主要製品は、1万トン以上の中大型船のスクリュー部分に設置される船尻管シールです。グローバルで60パーセントのマーケットシェアを有しており、新造船時の納入とその後のアフターサービスによって収益を確保するビジネスモデルです。
足元では新造船向け販売が増加しており、プロダクトミックスの影響で営業利益は横ばいの見通しです。中期的には現在納入中の船舶のアフターサービスが5年後に始まる予定であり、新造船向けの受注販売を着実に確保していく方針です。
航空宇宙業界向け事業|ビジネス現況と見通し

最後に、航空宇宙業界向け事業の状況です。航空機向け製品は、海外エンジンメーカーからの量産引き合いに対応するほか、防衛関連も生産拡大に向けた設備投資を進めています。また、次期戦闘機エンジンへの弊社製品の採用に向けて活動を推進しています。
宇宙産業向け製品は、スライドに記載のとおり、直近の国産ロケットプロジェクトに継続して参画するとともに、国内外での民間ロケット開発の拡大を見込んでいます。
これにより、今期は100億円以上の販売を見通しており、3年後には150億円規模へ拡大すべく、量産および拡販を進めていきます。
以上で報告を終わります。
(質疑応答なし)
