■メタリアル<6182>の業績動向
1. 2026年2月期業績概要
(1) 連結業績
2026年2月期の連結業績は、売上高4,487百万円(前期比9.9%増)、営業利益214百万円(同82.4%増)、経常利益182百万円(同61.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益48百万円(同83.9%減)となった。売上高は過去最高を更新し、利益面でも構造改革の成果が顕在化した。
売上面では、STUDIO55が通期業績寄与したことが最大の増収要因である。STUDIO55が担うAI/MV Marketing事業とメタバース事業が売上を積み上げ、グループ全体の売上高を押し上げた。一方、主力のAI事業は、不採算商品の整理・廃止を意図的に進めたことにより減収となった。HT事業も不採算業務の見直しにより前期を下回った。
利益面では、STUDIO55の製作原価が加わったことにより、原価率が上昇した。一方、販管費は研究開発費や業務委託費を中心に圧縮した。その結果、営業利益は前期比82.4%増の214百万円への大幅増益を達成した。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に投資有価証券の売却益304百万円を計上した反動に加え、減損損失39百万円を計上したため減益となったが、実力ベースの収益力は着実な改善基調にある。
(2) 四半期毎業績
四半期毎の業績推移を見ると、売上高は2024年2月期はおおむね1,000百万円で推移していたが、2025年2月期は1,000百万円を割り込む時期が続いた。2026年2月期に入ってからは、STUDIO55の連結効果もあり、売上規模が全体として拡大した。営業利益は、2025年2月期は構造改革に伴う先行費用が重なり、特に第4四半期は190百万円の赤字を計上した。同四半期を業績のボトムとしてV字回復基調が鮮明となり、2026年2月期第3四半期には144百万円の黒字、第4四半期も96百万円の黒字を計上した。
2. セグメント別業績
(1) AI事業
AI事業の売上高は2,822百万円(前期比8.6%減)、営業利益は273百万円(同44.7%減)と減収減益となった。主力の産業翻訳AI(T-4OO)は従来の顧客基盤を維持しているものの、不採算商品の整理及び既存商品の価格最適化に加え、各企業においてChatGPTなどのAIを社内インフラとして導入する動きが広がった。一方で、同社が手掛けるような個別AIアプリケーションの導入はやや優先度が下がった影響により、減収となった。また、新しいビジネスモデルへの移行準備として、ブランド認知の向上や経営体制の再構築に先行投資を行ったことも利益を圧迫した。なお、第4四半期には70百万円の黒字を計上し、収益体質の改善が足元で着実に進んでいる。
(2) HT事業
HT事業の売上高は708百万円(同19.8%減)、営業利益は124百万円(同40.3%増)と減収増益となった。同事業は、構造改革の対象として採算性の低い業務の整理を進めてきた。AIを活用した翻訳の台頭により、人手翻訳市場は構造的な縮小局面にあることも減収の背景にある。一方、利益面では、コスト管理の徹底が奏功し、採算性の低い業務を整理・撤退することで収益力が上がり、グループ内でのキャッシュカウとしての位置付けが強まった。
(3) メタバース事業
メタバース事業の売上高は112百万円(前期は9百万円)、営業損失44百万円(前期は185百万円の損失)となり、増収を背景に損失が縮小した。2024年12月に連結子会社化したSTUDIO55が通期業績寄与したことが増収要因であり、VR・CG・BIMサービスの提供が本格化した。また、Gaussian Splattingを活用したソリューションの開発・提供が進んだ。なお、第4四半期には5百万円の営業黒字を達成しており、底打ちから浮上のフェーズに入りつつある。
(4) AI/MV Marketing事業
AI/MV Marketing事業の売上高は843百万円(前期比704.5%増)、営業損失12百万円(前期は31百万円の損失)となった。VR・CG・3Dビジュアライゼーションを核とした空間マーケティングの需要取り込みを進めており、建設・不動産・製造業界を中心に顧客基盤を拡大している。通期では損失となったものの、第4四半期には黒字化を達成した。
3. 財務状況と経営指標
2026年2月期末の財務を見ると、資産合計が243百万円減少し、4,676百万円となった。主な増減要因は、売上債権が98百万円増加した一方、棚卸資産が44百万円、有形固定資産が84百万円、無形固定資産が53百万円、投資その他の資産が52百万円減少したことによる。
負債は、295百万円減少した。主な増減要因は、長期借入金・社債が135百万円増加した一方、短期借入金(1年内返済予定の長期借入金・社債含む)が297百万円、前受金が107百万円減少した。有利子負債合計は162百万円減の1,509百万円となった。
純資産は51百万円増加し、2,007百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによる。
収益性指標では、総資産経常利益率(ROA)は3.8%(前期比1.4ポイント上昇)となった一方、自己資本当期純利益率(ROE)は2.4%(同14.2ポイント低下)となった。安全性指標では、自己資本比率が42.9%(前期比3.1ポイント上昇)に向上し財務基盤の健全性が高まったほか、D/Eレシオや流動比率も改善した。
4. キャッシュ・フローの状況
2026年2月期の営業活動によるキャッシュ・フローは、332百万円の収入となった。主な収入は、税金等調整前純利益143百万円、減価償却費229百万円である。一方、主な支出は、売上債権の増加99百万円となった。投資活動によるキャッシュ・フローは156百万円の支出となり、主な支出は無形固定資産の取得164百万円である。財務活動によるキャッシュ・フローは175百万円の支出となった。主な支出は、長短借入金の純減162百万円によるものである。現金及び現金同等物の期末残高は2,904百万円となり、前期末とほぼ同水準を維持した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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