fbpx

ゼンムテック Research Memo(3):独自開発した秘密分散技術・秘密計算技術に優位性あり

マネーボイス 必読の記事



■会社概要

3. 技術基盤
(1) ZENMU-AONT
ZenmuTech<338A>が独自開発したZENMU-AONTは、「データ自体を無意味なものとして扱う」という新しい発想に基づくセキュリティ技術である。データを暗号化したうえで、意味を持たない複数の分散片に変換し、それぞれをPC及び外部(スマートフォン、クラウド、USBなど)に分散管理することで、分散片単体では元のデータを復元・解析できない仕組み(データの無意味化)を活用している。分散片がすべて揃った場合のみPC上でデータが復元できるため、より強固なセキュリティ性を実現している。

従来の一般的な暗号化技術では、暗号鍵やパスワードの流出といった情報漏洩リスクや、パスワードの増加による管理負担、使い回しによるリスクがある。これに対し、ZENMU-AONTは、暗号鍵やパスワードに依存しないため、管理負担や漏洩リスクを排除することができる。さらに、分散片は32バイトから設定可能であり、ネットワークやストレージへの負荷を避け、高速処理を可能とした。

また、ZENMU-AONTによる分散片が漏洩しても、個人情報保護委員会※が規定する「情報漏洩」には該当しないと同社では判断している。この技術は、2018年に産総研の監修のもと、「十分な安全性と実効性を備えた方式である」との結論を示す安全性自己評価書を作成し、同研究所との共著論文として査読付きの国際学会でも発表した。

※ 個人情報保護委員会は、内閣府の外局で、個人情報の適正な取扱いを確保し、個人の権利・利益を保護する独立機関。

ZENMU-AONTに競合する技術は、一般的な暗号化のほか、秘密分散技術の「しきい値分散方式」がある。これは、あらかじめ定めた任意の数(しきい値)の分散片を揃えることで元データを復元できる仕組みである。一部の分散片が欠けても復元可能なため、重要データの事業継続計画や災害復旧に適している。ただし、分散片のサイズは、元データとほぼ同じであるため、3分散すると総データ量は約3倍に増加し、保存・転送・処理時間の負荷が大きく、PCやモバイル端末には不向きという課題がある。ZENMU-AONTは、こうした課題を解消できるため優位性があると言える。

AONT方式への参入は限定的で、世界的にみても実用化したのは同社以外にないようだ。現在、秘密分散技術に知見を持つ大手企業の関心は秘密計算に移りつつあるが、同社のZENMU Engineは経済合理性が高いため、今後は同商品の利用拡大が期待されている。

(2) QueryAhead
秘密計算技術とは、データを暗号化または秘匿化したまま計算処理を行う技術であり、企業間・組織間におけるデータ共有や分析をセキュアに実現することを目的としている。同社は産総研により開発された理論と、ZENMU-AONT開発のノウハウを生かした秘密計算ソリューション「QueryAhead」を開発した。

さらに、同研究所が開発した処理速度に優れた新技術を活用することで、暗号技術の知識がなくてもシステム構築できる仕組みを実現した。これにより、秘密計算実用化においての課題であった「低い処理速度」と「複雑な設計」による導入障壁を大幅に緩和した。

AIや機械学習の精度向上には膨大なデータの学習が必要となるが、従来は企業が機密データや個人データを共有したり、大量のデータを1ヶ所に保管することがリスクと認識され、大きな障壁となっていた。同社の秘密計算技術により、機密データを秘匿したまま相互利用できるため、安全なデータ連携を通じてイノベーション促進や効率的なデータ分析も可能となる。なお、QueryAheadの一部に産総研が開発したソースコードを利用しており、産総研から利用許諾を得ている(契約期限は2091年末)。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
いま読まれてます

記事提供:
元記事を読む

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー