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トヨタ、3期連続減益で株価下落…今が買い?長期投資家が注視すべき安定収益と投資リスク=栫井駿介

ロボットとAIが融合する工場の未来

トヨタの未来を語る上で欠かせないのが、ロボット技術とAIの融合、いわゆる「フィジカルAI」への取り組みです。
トヨタはもともと世界で最も高度に自動化された工場を持つロボット活用の先駆者です。
今、世の中で言われている生成AIを、実際の「物作り」の現場に持ち込もうとした時、長年の製造ノウハウを持つトヨタは極めて有利な位置にいます。

単にソフトウェアとしてAIを作るのではなく、日々の積み重ねで得た「こういう時はこう動く」という膨大な現場のデータをAIに搭載することで、他社には真似できない、より高度な生産方式を生み出すことができます。
さらに、工場内でのロボット活用に留まらず、医療機器の運搬など工場外の領域へもロボット技術を展開し始めています。
将来的には、トヨタが培ったロボットのノウハウを他社に外販するような、自動車製造以外の収益源が生まれる可能性も秘めており、そのポテンシャルは無限大と言えるでしょう。

「全個体電池」2027-28年商用化が描くEV逆転のシナリオ

技術的な進歩として特筆すべきは、2027年から2028年の間に実用化を計画している「全個体電池」です。
現在主流のリチウムイオン電池は液体を使用しているため、発火リスクがあったり、充電に時間がかかったり、劣化が早かったりと、電気自動車の普及における大きな壁となっています。

これに対し、トヨタが開発を進める全個体電池は、安全性が高く、サイズはコンパクト、充電は短時間で、かつ航続距離も飛躍的に伸びることが期待されています。
これまでトヨタがEVに消極的だと言われてきたのは、現在のリチウムイオン電池が最適ではないと判断し、より優れた技術である全個体電池が整ったタイミングで本格参入しようと考えているからです。
かつてプリウスで世界を驚かせたハイブリッド技術のように、日本企業らしい職人的な積み上げによる技術革新が、再び世界を席巻する可能性は十分にあります。

投資判断を左右する最大の柱「バリューチェーン(VC)事業」の正体

そして、今回最も投資家に知っていただきたいのが、トヨタが現在最も力を入れている「バリューチェーン(VC)事業」です。
これは、新車を販売して利益を得て終わりにするのではなく、売った後のオーナーに対して修理、補修、アップグレードなどのサービスを提供し続け、長期間にわたって利益を稼ぐビジネスモデルです。

実は、すでにトヨタの利益構成は劇的に変化しています。
前期の営業利益3.8兆円のうち、バリューチェーン関連の利益は約2兆円に達しており、すでに新車販売の利益を上回る規模になっています。

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トヨタ自動車 決算説明資料

新車の販売台数は景気に左右されますが、売った後のアフターサービスは非常に安定しており、利益率も高いのが特徴です。
世界中で累計1億5000万台もの車を走らせているトヨタにとって、これら既存オーナーは、安定した利益を生み出し続ける巨大な「資産」なのです。

<トヨタ・アップグレード・ファクトリー>

具体的には「トヨタ・アップグレード・ファクトリー」という取り組みが始まっています。
これまで「新車の時にしか選べなかったオプション」を、後からでも工場で付けられるようにするサービスです。
例えばアルファードやレクサスの静音性を高めるオプションなどが人気ですが、車好きの人々にとって、メーカー公式の安心感を持って愛車をアップデートできるこの仕組みは非常に魅力的です。

さらに、走行距離などをアプリで把握し、最適なタイミングでメンテナンスや追加機能を提案するシステムも構築しています。
これはまさに、本体を安く導入してもらい、その後の消耗品(インク)で稼ぐ「プリンターとインクのモデル」を、自動車という巨大なスケールで実現しようとしているのです。
新車を1台売るたびに、将来の安定収益を生む種がまかれるという、ストック型のビジネスモデルへの脱皮が進んでいます。

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