■要約
和田興産<8931>は、1899年の創業以来127年の長い歴史を有する総合不動産会社である。日本有数の住宅地である神戸市・明石市及び阪神間を中心に事業展開し、特に神戸市ではマンション分譲実績(棟数ベース)で、同社資料によると2025年まで28年連続1位となっており、確固たるブランド力を築いている。分譲マンション販売以外にも、戸建て住宅販売やその他不動産販売・不動産賃貸事業などを展開しているほか、収益の多角化に向け、新規事業にも取り組んでいる。
1. 2026年2月期の業績概要
2026年2月期の業績は、売上高で前期比5.0%増の42,144百万円、営業利益で同5.6%減の4,988百万円と増収減益決算となった。戸建て住宅販売やその他不動産販売が減収となったものの、主力の分譲マンション販売が販売価格の上昇により同11.6%増の34,175百万円と2期連続で増収となったことが要因である。一方、利益面では前期に計上した利益率の高かった素地売り案件がなくなったことに加えて、戸建て住宅販売が低調に推移したことが減益要因となった。ただ、期初計画(売上高41,000百万円、営業利益4,500百万円)に対してはいずれも上回って着地した。良好な市場環境を背景に、分譲マンション販売の契約が順調に進み、引渡戸数や利益率が計画を上回ったほか、その他不動産販売についても販売用収益物件が想定を上回る利益率となった。
2. 2027年2月期の業績見通し
2027年2月期の業績は、売上高で前期比9.1%増の46,000百万円、営業利益で同13.8%減の4,300百万円と増収減益となる見通しである。売上高は分譲マンション販売が同1.5%増と堅調な推移を見込むほか、引渡戸数の増加を計画している戸建て住宅販売が同24.7%増、一棟卸の販売を中心にその他不動産販売が同101.4%増と大幅増を計画している。利益面では、建築コストの上昇を背景に分譲マンション販売を中心とした売上総利益率の低下を見込んでいることが主な減益要因となる。金利の上昇や中東情勢により景気の先行き不透明感が強まっているものの、2026年4月時点の顧客動向については従来と同様に、購入意欲の強い状態が続いている。こうした状況が今後も続けば、前期と同様、利益率が計画を上回る余地がある。なお、分譲マンションの開発用地取得については建築コストが上昇していることもあり、厳選して進める方針である。
3. 新中期経営計画
同社は2029年2月期を最終年度とする中期経営計画(2027年2月期~2029年2月期)を発表した。建築コストの上昇など市場環境の不透明感が強まるなかで、短期的な業績は踊り場を迎えるとの想定の下、今後3期間は中長期の成長を実現していくための「経営基盤の強靭化」を基本方針とした。重点戦略としては、a) 多様な人材が活躍・挑戦できる環境の整備、b) 収益構造の転換と事業ポートフォリオの最適化、c) 新たなこと(地域、事業、分野等)への挑戦の継続の3点を挙げている。これらの施策に取り組むことで、2027年2月期から2029年2月期までの3期間の累計業績は、売上高で1,500億円(前3期間比23.9%増)、営業利益で143億円(同3.4%減)を計画している。初年度となる2027年2月期に利益水準が一旦落ち込むが、新規事業の拡大で収益構造の転換が進み、2029年2月期には2026年2月期並みの利益水準まで回復する見込みである。また、ROEは8%以上(2026年2月期実績7.8%)、D/Eレシオ2倍以内(同1.89倍)を目標に設定している。
4. 株主還元策
配当政策については、財務基盤の強化や成長投資に必要となる内部留保の充実を考慮しながら、配当性向30%を目安に実施する方針である。同方針に基づき、2026年2月期の1株当たり配当金は前期比2.0円増配となる72.0円(配当性向30.1%)を実施し、2027年2月期は同12.0円減配の60.0円(同31.3%)を予定している。
■Key Points
・2026年2月期は増収減益となるも会社計画を上回って着地
・2027年2月期業績は減益を見込む一方、売上高は4期ぶりに過去最高更新へ
・中長期の成長を実現するため「経営基盤の強靭化」に取り組む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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