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アドソル日進、売上高・営業利益が3期連続で過去最高更新 旺盛なIT投資ニーズが背景、27/3期も4期連続の最高更新へ

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2026年5月21日に発表された、アドソル日進株式会社2026年3月期通期決算/新・中期経営計画説明の内容を書き起こしでお伝えします。

2026年3月期 決算説明

篠﨑俊明氏(以下、篠﨑):アドソル日進株式会社代表取締役社長の篠﨑俊明です。本日はお忙しい中、決算および中期経営計画の説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

本日は、2026年3月期通期決算についてご説明した後、昨日公表した新・中期経営計画の概要をご説明する予定です。それでは、さっそく説明を始めます。

2026年3月期 損益計算書

まず、2026年3月期決算の概要についてご説明します。2026年3月期は、旺盛なIT投資需要を背景に受注が好調に推移した結果、売上高は171億5,100万円となり、10.9パーセントの増収を達成し、3期連続で過去最高を更新しました。

利益については、単価アップに加え、コンサルティングなどの高収益案件が増加したことで、売上総利益率が前年に比べ1.2ポイント改善しました。これらによって販売管理費の増加を吸収し、営業利益は21億4,500万円となり、25.4パーセントの大幅な増益を達成し、3期連続で過去最高を更新しました。

また、営業利益率は12.5パーセントで、前年に比べ1.4ポイント上昇しました。

2026年3月期 セグメント別業績(売上高)

セグメント別の業績です。社会インフラ事業の売上高は14.9パーセントの増収で、111億8,300万円となりました。電力を中心としたエネルギー、交通・運輸、公共分野の売上増加が寄与しています。

先進インダストリー事業の売上高は4.1パーセントの増収で、59億6,800万円となりました。これは、決済・カード領域におけるDXやデータマネジメント案件の拡大によるものです。

2026年3月期 セグメント別業績(受注高・受注残高)

受注高・受注残高の状況です。好調なDX案件にビジネスを集中した結果、受注高は14.2パーセント増の175億6,000万円となり、3期連続で過去最高を更新しました。受注残高も12.8パーセント増の36億6,100万円となり、第4四半期として過去最高を更新しています。これにより、2027年3月期の好調なスタートに貢献しています。

2027年3月期 業績予想

今期2027年3月期は、後ほどご説明する新・中期経営計画の初年度に当たります。顧客のIT投資ニーズは引き続き旺盛であり、DX、AI、デジタル化をキーワードに、強い引き合いが続いています。

これらのニーズをしっかりと案件化し、AIやデータマネジメントなど、新・中期経営計画の達成に必要な新技術に対応できる人材の育成・投資を進めながら、売上高182億円、営業利益24億円、営業利益率13.2パーセントという、最高売上、最高利益、最高利益率の4期連続更新に挑戦していきます。

新・中期経営計画「New Canvas 2031」全体概要

ここからは、新たな中期経営計画についてご説明します。こちらは新・中期経営計画のサマリーです。

5年後の2031年3月期に売上高300億円、営業利益50億円、営業利益率16.7パーセントという目標達成に向けて、デジタル化が進む社会インフラやスマートシティをターゲット市場とし、オファリングと次世代SIを軸とした取り組みを進めていきます。

また、株主還元としては、21期連続増配を目指します。

Index

新たな中期経営計画の詳細については、こちらの項目に沿ってご説明します。

Our Philosophy for a New Canvas

はじめに、当社の企業理念を通じて、当社のありたい姿をあらためて振り返りたいと思います。

企業理念は「私たち、アドソル日進は、高付加価値サービスの創造・提供を通じて、お客さまの満足と豊かな社会の発展に貢献します」です。これは当社の存在意義と取り組みの方向性を定めたものであり、どの時代にも通じる普遍的な内容であると考えます。

この普遍的な方向性を、あえて現代、および2031年までの期間に対応した言葉で言い換えると、「高付加価値サービスの創造・提供」は、自社のアセット、培った実績、技術、ソリューションを存分に活かし、お客さまのビジネス変革に資するサービスを提供していくことを意味します。「豊かな社会」は、デジタル化やITの力を強力に発揮することで、より快適で環境に配慮された社会や暮らし、つまりスマートシティの実現を目指すことだと考えています。

アドソル日進の現在の事業領域

当社の事業概要および立ち位置について、あらためてご説明します。

当社の現在の事業は、暮らしや社会を支える社会インフラ全般に広がっています。

創立50年―「技術のアドソル日進」から「社会インフラのアドソル日進」へ進化 そして新たな時代へ

当社は、1976年の創立以来、電力系統制御を祖業とし、エネルギー、交通、決済など人々の生活に欠かせない社会インフラ領域で成長を遂げてきました。技術面では、創業から培った監視・通信・制御技術を基盤として、時代ごとの最先端技術を取り入れてきました。

その結果、創立から50年を迎えた現在、当社は独立系で変革に即応できる経営体制、社会インフラに特化したユニークな事業、最先端テクノロジーのビジネス適用力を強みとして、過去最高業績を更新中です。

市場・競争環境認識(全体)

当社が認識している市場環境について説明します。こちらのスライドは、中長期的な視点で機会とリスクをまとめたものです。

今後の市場環境は、旺盛なIT投資需要に支えられ、好調に推移することが見込まれます。一方で、AIへの対応をはじめ、顧客ニーズの多様化や高度化にしっかり対応しなければ、競争力が低下するリスクもあると考えています。

エネルギー(電力)分野におけるIT投資需要の拡大

当社の主力ビジネスであるエネルギー・電力分野では、電力需要の拡大傾向が続く中、安定供給を大前提としたシステムの刷新、AIやデータセンターによる需要の増加、再生可能エネルギーの導入拡大、高市政権が打ち出したエネルギー安全保障などを背景に、今後もIT投資の拡大が見込まれており、当社にとって追い風となる状況です。

AI関連投資の本格化

また、今後のIT投資の主要テーマはAIです。調査によれば、AI市場の規模は2029年度に3兆円を超えると見込まれています。実際、当社の顧客からもAIコンサルティングやエンジニアリングの引き合いが増加しています。

総括

2023年から進めてきた中期経営計画について、まず総括したいと思います。

まずは業績です。売上高は当初目標の150億円に対し171億円、営業利益は目標15億円に対し21億円、営業利益率は目標の10パーセント以上に対し12.5パーセントと大幅に超過し、すべての計数目標を達成しました。

事業面では、次世代エネルギー、スマートインフラ/スマートライフ、エンタープライズDX・モダナイゼーションを推進したことで、社会インフラやDX分野において「アドソル日進が強い」という認識が広まってきたと感じています。

また、人的支援への取り組みにより離職率が改善し、専門性が向上した結果、より幅広い案件に対応できる基盤が整いつつあります。

一方で、結果的ではありますが、M&Aやデータドリブン経営においては課題が見えた部分もありました。

ROE目標 達成に向けた進捗

ROE達成に向けた指標である、人に焦点を当てた当社独自のROE分解式です。分解式それぞれの3年間の推移を見ると、当期純利益率と一人当たり売上高が増加しています。また、従業員数と自己資本の比率は、株主還元の強化による自己資本の最適化と社員数の増加がバランスし、やや増加しました。

さらに、前期には自己株取得・消却が進み、自己資本を圧縮した結果、2029年3月期ROE目標の22パーセントを前倒しで達成することができました。

次期目標については、新・中期経営計画における事業構造改革や人的資本強化の推進による変動を慎重に見極めた上で、あらためて検討していきたいと考えています。

一人当たり売上高・営業利益の推移

こちらは一人当たり売上高および営業利益の推移です。当社は社会インフラ領域における高い業務知見を強みとしており、この知見が顧客に評価された結果、ITシステムの開発パートナーとしての地位を確立しています。また、他社には真似できない高いプロジェクト品質と、顧客ニーズに対応する柔軟性も特徴です。

こうした強みに加え、単価改定や高収益案件へのシフトといった収益性向上施策に取り組んだ結果、当社の一人当たり売上高および一人当たり営業利益は、同規模の他社よりも一歩先を行く水準に達していると自負しています。

この後ご説明する新たな中期経営計画では、多様化・高度化するニーズに対応する施策を実行し、一人当たり売上高や営業利益をさらに増加させることで、ROEの向上、ひいては企業価値の向上にもつなげていきたいと考えています。

経営目標

それでは、当社のこれまでの歩み、今後目指す方向性、そして前回の中期経営計画で得た課題を踏まえた新・中期経営計画についてご説明します。

業績目標については冒頭で触れましたが、次の中期経営計画の5年間において、デジタル化されたスマートシティのインフラを支える「スマートシティのオンリーワンITカンパニー」として、売上高300億円、営業利益50億円を目指します。

事業ポートフォリオ構想

この5年、さらにはその先を見据えた事業収益のポートフォリオです。まず、顧客ニーズの高度化が予想されるITシステム開発に対しては、顧客の情報システム部門から案件を獲得するだけでなく、経営層から潜在ニーズを掘り起こし、計画策定の段階から関与することが重要です。

当社は、この新たな取り組みを「オファリングビジネス」と位置づけ、SI開発で培った実績をアセット化し、コンサルティングを組み合わせて提案することで、顧客のニーズや期待を超える成果を上げる取り組みを推進します。

一方で、基盤となるのは従来から取り組んできた「次世代SIビジネス」です。具体的には、社会インフラ領域におけるミッションクリティカルなシステム開発や、顧客のIT投資の中心となるDXやAI、データマネジメントなど、高度なIT開発を伴うプロジェクトがこれに該当します。

さらに、経営基盤をより強固にするため、基盤戦略を推進します。なお、オファリングビジネスの成長に必要な投資については、経営基盤の強化によりキャピタルアロケーションを最適化し、次世代SIビジネスで創出したキャッシュを投下していきます。

次世代SIとオファリングの両輪でビジネスを推進し、2031年3月期には売上高と利益を最大化する構想です。

次世代SIビジネスとオファリングビジネスの循環モデル

このスライドでは、基盤となる次世代SIと、新たな取り組みであるオファリングのつながりを示しています。

次世代SIで培った実績・スキル・技術を会社全体の共有財産としてアセット化し、それをもって顧客の経営層にアプローチします。そこからコンサルティング等を経て案件を獲得し、再び次世代SIのシステム開発に還流するという、両輪による循環モデルです。また、人的資本や技術への積極的な投資も行います。

現在、電力を中心とした次世代SIのテーマが非常に好調です。これらのビジネスが安定的に創出するキャッシュを長期的な視点でオファリングビジネスに投資し、新たなビジネスモデルによる成長を図っていきます。

開発テーマ別 ポジショニング

こうした取り組みを続けていくことで、新・中期経営計画の最終年度である2031年3月末の開発テーマについては、あくまでも現時点の推定やイメージとはなりますが、次世代SIに代わるシステム刷新案件やアジャイル開発などを拡大しながら、収益の安定的な牽引を目指します。

また、オファリング事例の増加により、AIやコンサルティング案件が育成テーマから成長軌道に入ると考えています。

事業戦略 01 オファリングビジネス 体制と注力領域

具体的な事業戦略についてご説明します。はじめにオファリングビジネスです。

オファリングビジネスでは、顧客の経営層から潜在ニーズを掘り起こし、計画策定段階から参画することで、開発から運用保守までワンストップで案件を獲得していくことを目指します。ポイントは、当社の強みであるアセットを活かした提案です。

2026年1月に新設したオファリング・グリッド統括部を中心に、SI開発で培ったナレッジやオリジナルソリューションを共通化・アセット化し、コンサルティングと組み合わせて、顧客のニーズや期待を超える成果を上げる提案を行っていきます。

なお、当社が注力する市場は、社会インフラビジネスでの実績や前中期経営計画で取り組んできた次世代エネルギー、スマートインフラ、スマートライフをベースに、エネルギー、交通、まちづくりの3つとしています。

事業戦略 02 次世代SIビジネス 対応テーマ

次世代SIビジネスでは、社会インフラ領域におけるミッションクリティカルなシステム開発をはじめ、企業変革や企業価値向上を目指したDXやAI、データマネジメントなど、高度なIT開発を伴うプロジェクトをターゲットとしています。

特にDXやAXのテーマでは、生産性とスピードを最大化するため、AIを前提とした開発ニーズがさらに増加すると見込んでいます。そのため、この領域ではAIを活用した開発を段階的に推進し、最終的にはAIネイティブ開発にも対応する方針です。

一方、ミッションクリティカルなシステムについては、一部システムで外部サービスの活用が進むと考えられますが、基本的には国策や制度を踏まえながら、ウォーターフォール型の開発という王道的なスタイルが継続すると見ています。

この領域では、システム品質を最優先にしつつ、一部の工程にAIを活用した開発を取り入れ、効率化を図っていきます。

事業戦略 03 新技術対応 AIのシステム開発適用

新技術対応です。1つ目はAIについてです。現在、システム開発におけるAIの適用は、当社に限らず、あくまでも人を中心に、各工程でAIと親和性が高い一部の業務において生成AIやAIエージェントを活用している状況にあります。

一方で、今後はAIが中心となって各工程を進め、人がレビューを行う「AIネイティブ開発」が台頭し、システム開発やプロジェクトの一部を担う可能性が出てくると考えています。

AIの活用を前提とした開発プロセスを実践し確立することで、AIを使いこなす立場となり、AIを味方につけた成長を図ります。

事業戦略 03 新技術対応 データマネジメントの対応領域拡大

新技術対応の2つ目は、データマネジメントです。これは従来から進めてきたテーマですが、今後はミッションクリティカルなシステムにおいても、データ利活用の重要性やスピード導入への機運が高まると考えています。

ミッションクリティカルなシステムに取り組む以上、データセキュリティやデータ品質が非常に重要になります。

当社のオファリング強化に向けて進めているアセット化でも、データ利活用のナレッジ化を非常に重要視しています。アジャイル開発なども取り入れ、独自の差別化につながる提案を強化していきます。

基盤戦略 04 人的資本 事業戦略達成に向けた人材ポートフォリオ

こうした戦略や成長を支える人的資本・人材戦略です。「AIが人に取って代わる」とよく言われていますが、ミッションクリティカルにも対応する次世代SIビジネスや、顧客の経営層と向き合うオファリングを推進するには、人の力が不可欠です。

そこで、新・中期経営計画の達成に向けて、人材ポートフォリオをあらためて見直します。

現在のエンジニアを、AIやデータなど高度な専門性を有する技術集団へ進化させます。これらの技術集団を統率するプロジェクトマネージャーについては、育成をさらに強化し、その人数を増やしていきます。

また、コンサルタントは、社会インフラのITに精通したテクノロジーコンサルタントや、顧客の経営ニーズに対応するトップコンサルタントへと領域を特化し、さらなる育成を進めます。

基盤戦略 04 人的資本 従業員満足度向上と経営目標達成に向けたKPI

人的資本に関する取り組みを、新・中期経営計画の達成に連動させて進めるべく、課題やアクションを整理するとともに、KPIを設定しました。

高度IT人材の育成および定着を人的資本投資の中心に据え、エンゲージメントの向上を通じて人が生み出す付加価値をさらに高め、経営目標の達成につなげていきます。

基盤戦略 05 M&A・アライアンス

M&Aおよびアライアンスについては、人材戦略を含めて事業成長を加速させ、株主価値の最大化を図る重要な選択肢の1つであり、経営目標達成に向けた取り組みの柱と位置づけます。

資金面では、手元資金に加え、借入を柔軟に活用し、事業成長の最大化を目指していきます。

基盤戦略 06 社内DX・AX推進

また、経営目標を達成するために、全社員がデータを活用したデータドリブン経営を実践し、能動的かつ自律的な判断と意思決定を促すことで、事業成長のスピードを加速していきたいと考えています。具体的な取り組みとしては、事業成長の加速を支援する社内業務の効率化や、人材戦略のデータ面からのサポートに取り組んでいきます。

基盤戦略 07 財務・キャピタルアロケーション

これまでご説明してきた各戦略を実現するための、財務およびキャピタルアロケーションについては、スライドのとおりです。

事業で得たキャッシュから成る現預金および、必要に応じて借入も活用しながら、株主還元や成長投資に振り向けるとともに、M&Aにも積極的に投じることで、事業成長の最大化を図りたいと考えています。

基盤戦略 08 株主還元

株主還元については、21期連続増配を目指し、配当性向50パーセント以上、DOE6パーセント以上を維持しつつ、累進かつ連続増配を実施し、1円以上の増配を含む年2回の配当方針を継続していきます。

(参考)資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取組み

最後に、資本コストについては、このたび算出し直しましたので、あらためてご確認ください。引き続き、ROE上昇によるスプレッド拡大を目指していきます。

ご説明は以上です。この新しい計画の達成を通じて企業変革を進めるとともに、企業価値の向上に努めていきます。引き続き、ご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

質疑応答:中期計画におけるCAGR達成の成長イメージについて

司会者:「中期経営計画の最終年度(2031年3月期)の業績目標について、売上高はCAGR11.9パーセント、営業利益は同18.5パーセントの成長が必要になると理解しています。非常に意欲的な内容ですが、2027年3月期は売上高・営業利益ともにCAGRを下回る予想となっています。

来期以降の4年間で成長率を高めるというお考えでしょうか? それとも、途中から大きく成長率が変化するイメージでしょうか? 年ごとの成長イメージを教えてください」というご質問です。

篠﨑:中期経営計画において、2027年3月期は新たなビジネスモデルを立ち上げるための「仕込みの1年」と位置付けています。

ここでの「仕込み」とは、「オファリングビジネス」の強化を指します。オファリングビジネスは、今後の成長をけん引する新たな事業の柱であり、この1年間は種まきや投資を行い、確実に立ち上げていくことに注力します。

5年間の成長イメージとしては、まずこの1年で基盤を整え、その後、成長加速を図りながら、成長率を高めていく想定です。オファリング提案を起点に、高付加価値・高収益の案件を増やし、その拡大を次世代SIビジネスのさらなる伸長につなげる。そして、その過程で得た実績・ノウハウをアセット化することで、次のオファリング提案につなげる――このような好循環を生み出していく考えです。

今期、来期、そして5年先に向けた成長の道筋を明確に描いていますので、ぜひご期待ください。

質疑応答:中期計画の売上高目標におけるM&Aの影響について

司会者:「中期計画の売上高300億円の計画について、M&Aによる効果はどの程度織り込まれているのでしょうか? あるいは、M&Aは前提としていないのでしょうか?」というご質問です。

篠﨑:売上高目標には、M&Aによる効果は織り込んでおらず、あくまでオーガニック成長を前提とした計画としています。

オファリングビジネスを通じて高付加価値・高収益の案件を獲得し、次世代SIビジネスの拡大によって成長加速を実現していく想定です。この実現に向けては、新技術への対応力の強化やエンジニアリソースの拡充が重要となります。そのため、人材育成や実績・ノウハウのアセット化といった投資を通じて、オーガニック成長の基盤を強化していきます。なお、M&Aについては、エンジニアリソースの観点から検討していく考えです。

質疑応答:M&Aの実行体制について

司会者:「これまでM&Aのご経験が少ないように思いますが、実行に向けた体制はすでに構築されているのでしょうか?」というご質問です。

篠﨑:当社はこれまでM&Aの実行経験は多くありませんが、成長戦略の実現に向けて、M&Aは重要な選択肢の一つとして継続的に検討しています。

現在は経営企画室にM&Aに関する機能を整備し、候補案件のソーシングから検討を開始し、戦略適合性やシナジー創出の観点を踏まえた意思決定を行う体制を構築しています。必要に応じて外部の専門家とも連携しながら、案件の質の確保と実行スピードの両立を図っていきます。

質疑応答:成長投資33億円の内訳と優先領域について

司会者:「成長投資33億円の内訳や具体的な内容について教えてください」というご質問です。

篠﨑:現時点で確定している投資案件はなく、今後の成長に向けた投資枠として設定しています。投資の方向性としては、3つの領域を想定しています。1つ目は、既存事業の成長加速に向けた人材投資、実績・ノウハウのアセット化やブランド力強化。2つ目は、事業基盤を支えるDXおよびAI領域。そして、3つ目は、非連続成長の実現に向けたM&Aです。

特にM&Aは、案件のタイミングや規模によって必要投資額が変動することが想定されます。このため、あらかじめ詳細な配分を固定するのではなく、状況に応じて機動的に最適配分できる設計としています。成長機会に応じて柔軟に資本を投下するための戦略的な投資枠としてご理解ください。

質疑応答:Anthropic(アンソロピック)社のAI「Claude Mythos(クロード ミュトス)」による影響について

司会者:「Anthropic社の『Claude Mythos』による影響について、どのようにお考えでしょうか? ポジティブ、ネガティブいずれの側面が大きいと見ていらっしゃいますか?」というご質問です。

篠﨑:Claude Mythosのような最先端AIは、従来の開発プロセスやセキュリティのあり方を大きく変える可能性があり、特に従来型の受託開発モデルに対しては構造的な変化をもたらす技術であると認識しています。

一方で、こうしたAIは単独で業務を完結するものではなく、企業の業務プロセスや既存システムに統合して初めて価値を発揮するものです。そのため、継続的な運用を支える高度なエンジニアリング力の重要性は、引き続き高いと考えています。

当社としては、AIの活用が今後さらに広がることを見据え、ベトナム拠点も含め、アジャイル開発とAIを組み合わせた体制を強化しており、先端AIを活用する側としての競争力向上に取り組んでいます。

『Claude Mythos』をはじめとするAIは脅威となり得る側面もありますが、AIを組み込んだ開発力を強化していくことで、付加価値を高める機会であると捉えています。今後もAIの動向を継続的に注視しながら、適切に活用・運用していきます。

質疑応答:AI駆動開発からAIネイティブ開発への移行時間軸と人材移動について

司会者:「AI駆動開発体制からAIネイティブ開発体制へ移行する時間軸のイメージを教えてください。また、それに伴い、オファリング・グリッド統括部への人材移動が加速するイメージでしょうか?」というご質問です。

篠﨑:直近では、AIネイティブ開発に対する注目が急速に高まっていると認識しており、すでにお客さまからのニーズや引き合いも顕在化しています。今後はさらなる活用の拡大が見込まれるとともに、技術の進展に伴い、AI駆動開発とAIネイティブ開発の境界が徐々に薄れていく可能性があると認識しています。

当社は、案件特性に応じて開発手法を使い分け、スクラッチ開発やリプレース案件にはAIネイティブ開発を積極的に適用していく方針です。一方、ミッションクリティカルなシステムをはじめ、既存システムの高度化や進化には、AI駆動開発の活用が適していると考えています。いずれも、お客さまのニーズを踏まえながら推進していきます。

なお、オファリングビジネスの中核となるオファリング・グリッド統括部については、引き続き体制強化を図っていきます。また、オファリング提案を起点とした案件拡大(AI関連を含む)に対応する高度ITエンジニアやプロジェクトマネージャーなど、プロフェッショナル人材の拡充については、次世代SI開発を遂行する事業部門で重点的に対応します。

したがって、特定部門への一方向の人材シフトではなく、オファリング・グリッド統括部と事業部門、そしてAI活用が相互に連携しながら、全体として価値創出を高めていく体制を構築していくとご理解ください。

質疑応答:中期計画におけるコンサルティング比率とオファリングモデルについて

司会者:「事業ポートフォリオ構想では、中計最終年度におけるコンサルティングの売上構成比は10パーセント程度と、大きく伸びる計画ではないように見えます。以前は『全社員をコンサルタントに』という構想もあったと認識していますが、コンサルティング単体で利益を拡大するというよりも、次世代SIビジネス全体の案件規模や収益性の向上を通じて利益を積み上げるという理解でよろしいでしょうか?」というご質問です。

篠﨑:「全社員をコンサルタントに」という構想については、現在も変わっていません。
確かに、コンサルティングの売上構成比は10パーセント程度ですが、当社が目指しているのは、オファリングを起点として案件を獲得し、その後のコンサルティングや次世代SI開発につなげていく「循環型モデル」です。

長年培ってきたアセットを活用し、お客さまの業務理解に基づくオファリング提案を行う。その上で、経営層に対するトップコンサルティングだけでなく、現場に入り込み業務変革を支援するテクノロジーコンサルティングまで、幅広いニーズに対応していきます。そして最終的には、システム開発・実装まで一貫して担っていくことを目指しています。

つまり、コンサルティングは単独で収益を上げることが目的ではなく、あくまで「提案の入口」です。オファリング提案を通じて生まれた案件を、コンサルティングと次世代SI開発によって具体化し、価値提供につなげていく考えです。

次世代SIビジネスでは、従来型の受託開発だけではなく、AI・DXも活用した提案力と開発力の両方が求められます。そのため、今後も全社員にコンサルティング力を身につけてもらい、「コンサルティング力を持つエンジニア」を育成していきたいと考えています。

質疑応答:オファリングビジネスにおける経営層へのアプローチ方法について

司会者:「オファリングビジネスでは経営層への提案を重視されているとのことですが、社会インフラ向けが主力である御社の場合、大企業顧客が多いと考えられます。経営層へのアプローチのハードルは高いと思われますが、この課題をどのように克服していくのでしょうか?」というご質問です。

篠﨑:ご指摘のとおり、当社は社会インフラ領域を中心に事業を展開しており、大企業のお客さまが多いことから、経営層へのアプローチには一定の難易度があると認識しています。

一方で、当社は創立以来50年にわたり実績を積み重ねる中で、お客さまとの長期的な関係性と信頼を築いてきました。こうした日々の取引やプロジェクトを通じた積み重ねにより、経営層を含む幅広いレベルでの人的ネットワークを形成している点が当社の強みであると考えています。

その結果として、すでに多くのお客さまの経営層との接点やコミュニケーションチャネルを有しており、こうした関係性を基盤に、トップマネジメントに対する提案活動を進めています。

引き続き、これまで築いてきた信頼関係とネットワークを活かしながら、経営層に対するオファリング提案を強化していきます。

質疑応答:AIの社会インフラ領域への適用可能性と当社の競争優位性について

司会者:「株式会社日立製作所がAnthropic社と協業するとのニュースがありました。鉄道や電力などの領域にAIを活用していく内容と理解していますが、今後、ミッションクリティカルなシステムもAIに代替されていく可能性はあるのでしょうか? また、その中で御社に勝機はあるのでしょうか?」というご質問です。

篠﨑:報道にもあるとおり、今後AIの進化と普及が進む中で、社会インフラをはじめミッションクリティカルなシステムにもAIの適用が進む可能性は十分にあると認識しています。

一方で、ミッションクリティカルな領域へのAI適用については、高い信頼性や安全性、複雑なシステム間連携への対応が求められるため、実現には相応の技術力と現場知見が必要となり、容易ではないと考えています。AIが単純に既存システムを代替するというよりも、高度に融合していく形になると見ています。

当社はこれまで社会インフラ領域において、特に電力分野などの高度で複雑なシステムに長年取り組んできており、その難易度や実務上の課題を深く理解している点が強みです。ミッションクリティカル分野においてAIの適用が本格化する局面においては、当社の強みである社会インフラ領域での実績と技術力を活かし、当社にしかできない、独自の価値を提供できる機会があり、当社ビジネスにとって追い風になると考えています。

引き続きAIの進展を的確に捉えながら、技術対応力と現場力の双方を強化することで、同領域における競争力を高めていきます。

篠﨑氏からのご挨拶

本日はご多用のところご出席いただき、誠にありがとうございました。質疑応答を通じて、みなさまからのご期待をあらためて強く感じました。株主、投資家のみなさまに当社の目指す方向性をご理解いただき、その成長を実感していただくことが、市場でのさらなる評価向上につながると考えています。

引き続き、役員・社員一同、全力で邁進していきます。今後ともご支援・ご指導を賜りますようお願い申し上げます。

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