■事業概要
1. 家具家庭用品事業の動向
三栄コーポレーション<8119>最大の事業セグメントが家具家庭用品事業である。同事業は、OEMの比率が高く、良品計画に代表される大手顧客の事業の伸びとともに成長してきた。良品計画とその子会社への売上構成比は51.3%(2026年3月期、全セグメント合計)である。新たな販売チャネルとしてさらなる成長が期待されるのが自社のeコマースインテリアショップ「MINT」である。楽天市場やYahoo!ショッピングで1,000を超えるアイテムを販売しており、リーズナブルな価格の良質なベッドやマットレス、アンティーク調家具、インテリア、ガーデンエクステリア、アウトドア用品、また2024年からは観葉植物、2026年からはエアコンなどの家電の取扱いを開始するなど、積極的に商品レンジを広げている。同社では、自社ブランドやOEM商品の製造及びODM提案が可能な開発拠点として、マレーシアに家具・インテリアの自社工場(約4,000平方メートル)を有している。また、自社のECサービスで培った基盤やノウハウを活用して、他社へのECインフラ提供を行うサービス(フルフィルメント事業)が事業規模を着実に拡大している。
2. 服飾雑貨事業の動向
服飾雑貨事業では、2025年3月期までの外出・旅行関連商材の旺盛な需要が一段落し反動減が大きくなっている。同セグメントは、家具家庭用品事業と比較するとブランド事業の売上の割合が大きい傾向にある。かつて主力であったドイツのコンフォートサンダル・シューズ「BIRKENSTOCK(ビルケンシュトック)」は、2024年9月に契約を終了し、ハンズフリーのフットウェア「Orthofeet」の販売事業は2026年4月に譲渡が決まった。これにより、リアル店舗事業のダウンサイズが完了した。今後の柱と期待されるのは、環境性能に優れたセレクトブランド商品群「OUR EARTH PROJECT」、2025年9月にバッグ、ケース、トラベルグッズの製造及び販売に関するサブライセンス契約を締結した英国発のライフスタイルブランドである「Cath Kidston」、ベルギー発のブランドバッグ「Kipling」などである。
3. 家電事業の動向
OEM事業では、中国の子会社である三發電器製品(東莞)有限公司、香港の子会社である三發電器製造廠有限公司が小物家電を製造・輸出する。自社工場に関しては、工場稼働率の低下などにより苦戦しており、生産設備・生産体制の合理化を推進してきたが、三發電器製品(東莞)有限公司を解散及び清算することを決議した(結了は2026年12月予定)。ブランド事業においては、調理家電の自社ブランドである「Vitantonio」、理美容家電の「mod’s hair」、業務用調理機器の「Multi Chef(マルチシェフ)」などを製造販売している。「Vitantonio」では、ホットサンドベーカーやコードレスマイボトルブレンダーなどが売れ筋である。ホットサンドを家庭で作るという生活スタイルやオリジナルドリンクが楽しめる生活スタイルなどを提案するユニークな家電ブランドとして知名度が高い。現在は巣ごもり需要が一段落したこともあり、ブランドの再生に挑戦中である。理美容家電では、ヘアドライヤーやヘアアイロンのほか、「mod’s hair スタイリッシュ コンパクトイオンヒートブラシ」も人気がある。
4. その他事業の動向
千葉県・埼玉県を中心にペットショップ(動物病院3拠点含む)を計9店舗展開している。このほか、当該セグメントでは、輸送資材・生活雑貨等の企画・販売や事務代行業務の展開を担う子会社の売上を計上している。また、2025年6月には、防災関連商品の製造・販売を行う(有)防災防犯ダイレクトと(株)防災ダイレクトを子会社化し、合併・統合した(合併後の商号は「(株)防災ダイレクト」)。同社はこれを将来の成長ドライバーの1つと位置付け、グループ内でのシナジー創出を図る。
■業績動向
2026年3月期は前期の旺盛な旅行・外出需要の収束により減収減益
1. 2026年3月期の業績概要
2026年3月期の連結業績は、売上高が36,332百万円(前期比8.9%減)、営業利益が1,026百万円(同51.0%減)、経常利益が1,156百万円(同46.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が568百万円(同41.7%減)と、減収減益となった。
売上高に関しては、服飾雑貨事業の減収(前期比4,338百万円減、前期比26.7%減)が大きく響いた。服飾雑貨事業の大幅減収は、旺盛な旅行・外出需要を背景に好調だった前期の需要増からの反動が大きく、予定していた事業再編の加速や直営店舗削減の影響もあった。連結子会社であるベネクシーについては、ハンズフリーシューズ「Orthofeet」事業の譲渡および会社解散を決定し、2026年中の清算に向けて手続きを進める。服飾雑貨事業での成長分野としては、環境関連商材を取り扱う「OUR EARTH PROJECT」などのサステナブルビジネスにおいて、オリジナルブランド「uF」などが着実に売り上げを積み上げている。家具家庭用品事業では、ブランド事業での家具・インテリアのeコマース「MINT」が市場の落ち込みなどにより頭打ちになったものの、OEM事業での欧州ブランド向けキッチンツールの受注拡大などにより、セグメント全体では前期比で増収となった。家電事業では、OEM事業で前期並みとなったものの、ブランド事業(理美容家電、調理家電)が伸び悩み、減収となった。その他事業では、2025年に連結化した防災用品EC事業が加わり増収となった。
売上総利益は、減収を主因に前期比1,623百万円減、同15.8%減となった。販管費は、ブランド販売子会社の直営店舗数削減による店舗経費の縮減等により同553百万円減、同6.7%減となった。これにより営業利益は同1,069百万円減、経常利益は同992百万円減となった。
2. 財務状況
2026年3月期末の財務状況は、自己資本比率が59.6%(前期末は56.4%)と高い安全性を維持している。現金及び預金残高は8,092百万円と有利子負債残高(3,709百万円)と比較しても潤沢である。過去からの資本の蓄積により財務の健全性に定評があるが、構造改革の成果により利益体質が定着し、ますます財務体質が強化されている。今後、M&A戦略も積極的に実施する方向性を打ち出しているが、原資は潤沢であると考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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