2026年8月7日に発表された、株式会社ワールドホールディングス2026年12月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
2026年12月期 第2四半期 決算説明
伊井田栄吉氏(以下、伊井田):みなさま、こんにちは。株式会社ワールドホールディングス代表取締役会長兼社長の伊井田でございます。本日はお暑い中、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。Webでご覧いただいているみなさま、本日は誠にありがとうございます。よろしくお願いします。
ご説明に入る前に、この度の熊本地震により犠牲となられた方々に、深く哀悼の意を表します。また、被災されたみなさまに心よりお見舞いを申し上げます。1日も早く、普通の生活に戻れることを願っています。当社グループとしても、九州に根ざした企業として、地域社会の復興と発展に引き続き貢献する所存です。
それでは2026年12月期第2四半期の決算と今後の成長戦略についてご説明します。
まず、第2四半期の全体的な状況について少しお話ししたいと思います。
足元のマクロ環境については、地政学リスクの長期化やコスト高など、依然として不透明な状況が続いています。
今年1月にはアメリカ軍によるベネズエラへの軍事作戦がありました。その後にはアメリカとイスラエルによるイランへの攻撃、さらには、中東戦争という言葉が適切かどうかはわかりませんが、このような状況が重なり、本当に想定を超える事態に直面しました。
ホルムズ海峡の封鎖がエネルギー価格の高騰やサプライチェーンの混乱を引き起こすなど、非常に予期しない事象が発生しました。このように政治的な要因により経済の先行きが非常に見えにくい状況が続いていると感じています。
一方で、テクノロジーの発展によりAIや半導体といった分野での需要が非常に高まっており、経済の良い側面も多少見られたと認識しています。
そのような環境下において、当社は複数事業構造による景気変動耐性を強みとして持っています。この強みにより、さまざまな事業領域で活動し、予算を達成することができました。
本日はnmsホールディングスの件もありますが、こちらについては最後にお話ししたいと思います。
CONTENTS 目次
本日の流れは、連結決算概要に続き、セグメント別詳細について順を追ってご説明します。
決算サマリー

2026年12月期第2四半期累計の連結決算概要についてご説明します。こちらは半期の決算サマリーとなります。
先ほどお伝えしたとおり、地政学リスクなどの不確実性が残る中でも、主力であるプロダクツHR事業が活発な人材需要を確実に捉えたことで、全体として計画を上回る推移となりました。
一方で、期初想定どおり、不動産事業では今年度下期に不動産物件の引渡しが集中するため、第2四半期累計での利益は前年同期を下回っています。ただし、予算は達成しており、通期では増収増益を計画しています。その点については、安心いただけるかと思います。
毎回のご説明でお話ししていますとおり、当社の主力事業は人材教育ビジネスと不動産ビジネスです。主力事業である人材教育ビジネスについては、前年対比でどの程度伸びたのかを注視していただければと思います。一方、不動産ビジネスについては、前年対比をどんどん上回る状況は逆にリスク要因となる場合もあります。来年や再来年までの事業計画を読み込んでいますので、毎年予算対比がどうだったかを注視していただければと思います。
このように2つの視点から事業を見ていただければ、進捗状況をご理解いただけるかと思います。
業績概況

連結の業績概要です。売上と利益のいずれも期初に立てた予算計画を確実にクリアし、上振れで着地しました。特に営業利益は、計画に対して約2割増しの7億円程度の上振れとなっています。
前年同期比では営業減益となっていますが、これは先ほどお話ししたとおり、不動産部門において期初の想定どおり、物件の引き渡しが下期に集中しているためです。
業績概況/セグメント別①

各セグメントの業績概要については、こちらのスライドをご覧ください。
当社の主力であるプロダクツHR事業は、AI・半導体分野を中心とした旺盛な人材需要を的確に捉え、大きく成長しました。人材教育ビジネスのセグメント全体でも、売上・利益が前年を着実に上回り、計画を大幅に上振れして全体を力強く牽引しました。
不動産事業は物件引渡しの端境期にありましたが、主力のプロダクツHR事業がその部分をしっかりと補い、十分な成果を上げることができました。
1つの事業だけではなく、複数の柱を持つ我々グループは、安定した利益を生み出す景気変動耐性が強みであり、半期の数字においてもその強みが示されています。
業績概況/セグメント別②

各セグメントの業績概況をスライドのグラフで表現しています。
通期業績見通し

通期業績見通しについてです。現時点では期初の計画どおり、売上高3,000億円、営業利益125億円の計画を維持し、増収増益を着実に目指していきます。
先行き不透明なマクロ環境が続く中でも、当社が持つポートフォリオの分散力と足元の人材需要の動向を踏まえれば、十分達成可能であると確信しています。
セグメント別通期業績見通し

各セグメントの計画も変更していません。詳細はあらためてご説明します。
四半期累計見通し

2026年12月期の第4四半期までの業績見通しについてご説明します。投資家のみなさまからよくご質問をいただく部分を、あらかじめこちらのページで解説します。
今期の利益は第4四半期に大きく偏重する構造です。その理由は主に2つあります。先ほどからお話ししているように、不動産の大型マンションや事業用地などの売上・利益の計上が第4四半期に集中するスケジュールとなっているためです。
スライドにあるとおり、不動産事業における第4四半期の売上高は200億円、利益は25億円を見込んでいます。
人材教育ビジネスでは、上期に実施した採用活動の加速や研修体制の拡充といった先行投資が大きく進みました。
多くのオーダーをいただいており、お客さまの期待に応えるのが非常に大変な状況でした。しかし、下期からは稼働が順調に進む見込みであり、回収期に入っていくと考えています。
そのため、第3四半期までは前年同期比で減益に見えますが、こちらは期初に織り込み済みの計画どおりで進行しています。第4四半期で最終的に計画を達成できる見込みですので、ご安心ください。
プロダクツHR事業

ここからは各セグメントにおける第2四半期の具体的な取り組みと今後の見通しについて詳しくご説明します。
プロダクツHR事業に関してです。ワールドインテック社を中心に、ものづくりの川上から川下までをシームレスにカバーする当社の強みが十分に発揮されました。
特に、AIやデータセンター需要の急拡大に伴う半導体分野への旺盛な投資拡大を確実に捉えたほか、電気電子や機械といった多様な業種からのオーダーも安定して推移し、業績を大きく押し上げることができました。
この旺盛な需要に確実に応えるため、採用の加速にとどまらず、全国11ヶ所の研究センターを活用した研修体制の拡充や、寮をはじめとする就業環境の整備といった、未来に向けた先行投資を積極的に実施しました。
一方で、自社運営採用サイトの活用などを通じて採用コストの適正化も推進しており、下期以降のさらなる業績拡大に向けた事業基盤の構築が順調に進んでいます。
プロダクツHR事業

プロダクツHR事業の通期見通しについてです。先ほどからお話ししている地政学リスクへの対応は、引き続き慎重に進めています。複数の分野・領域を持つ強みを活かし、リスク分散を図りながら、慎重に事業展開を進めています。
一方で、製造業全体は回復基調を続けており、特にAIや半導体関連の活況が下期も力強く牽引すると見込んでいます。
旺盛な受注に対応するため、上期はコストをかけて採用を強化しました。下期には、その成果が業績に確実に表れると考えています。
サービスHR事業

サービスHR事業についてです。サービスHR事業は、事業領域の拡充を目的とした先行投資の影響により、利益面では計画を達成できませんでしたが、売上高はおおむね計画どおりに推移し、前年同期比で増収増益を確保しました。
eコマース関連の請負倉庫では、増加する物量に対して当社の強みであるレイバーマネジメント力を発揮し、現場オペレーションの最適化を徹底したことで、着実な増収増益を達成しました。
福岡県小郡市および久山町に順次設置した自社運営倉庫がフル稼働で順調に利益を生み出し、業績の底上げに大きく貢献しています。
ヤマト・スタッフ・サプライ社では、請負・派遣業務の範囲が順調に広がっています。接客・販売部門の派遣を行うディンプル社においても、催事や季節イベントの需要を確実に捉えたことに加え、注力分野であるインフォメーションの受託業務の拡大や、グループシナジーを活かした新たな取引先や事業領域の開拓が着実に進んでおり、安定した成長を維持しています。
サービスHR事業

サービスHR事業の通期見通しについてです。上期において、各部門で事業の裾野を広げる取り組みを着実に実現し、通期では確実な増収増益を目指します。
このセグメントは特に季節性が高く、ロジスティクス部門や接客・販売部門では年末商戦が重要な局面となります。体制をしっかりと構築し、これを確実に捉えて成長につなげていきたいと考えています。
不動産事業

不動産事業についてです。売上高は、下期への物件引渡し集中や一部物件の売却が後ろ倒しとなった影響で計画未達となり、前年同期比で減収となっています。しかし、利益面では期初計画を上回る水準で推移しています。
これは、建築コストの高騰といった市況環境を踏まえながらも、緻密なマーケティングに基づき最適な販売タイミングを徹底した結果、着実に利益を確保できている状況です。
なお、売却が後ろ倒しとなった物件については下期中に完了する見込みであり、通期計画に変更はありません。
不動産事業

不動産事業の通期の見通しです。スライドに記載のとおり、昨年度に売上計上した大型物件の反動で減収見込みではありますが、利益はしっかりと確保し、増益を見込んでいます。
今期は下期、特に第4四半期に物件引渡しが集中する予定です。既存の優良物件を最適なタイミングで販売し、引渡しを進めることで、通期計画である増益目標を達成していきます。
また、当社では開発物件の最適な売却タイミングを慎重に見極めるのに加え、戦略的に賃貸運用を行い、期間中の賃貸収入、つまりインカムゲインを着実に積み増しています。
単なる不動産の売買であるフロービジネスに頼るのではなく、フローとストックのバランスの取れた収益構造を構築することで、景気変動リスクに左右されない安定した事業基盤を作り上げ、今後も安定成長を目指します。
情報通信事業

情報通信事業についてです。第1四半期は主力商品の在庫不足が続き、厳しい状況がありました。しかし、第2四半期には在庫供給が間に合う状況になり、現在は売上・利益ともに順調に計画どおり推移しています。
情報通信事業

通期計画もスライドに記載のとおり順調に推移しており、増収増益を見込んでいます。
農業公園事業

農業公園事業についてです。農業公園事業では、年始の積雪や6月の台風など、天候の要因により非常に厳しい状況もありました。しかし、ゴールデンウィーク期間中は天候に恵まれ、最高の売上と利益を達成し、旺盛な行楽需要を確実に捉えることができました。
また、園内施設でのイベントが奏功するなど、現在非常にグループ内での連携が円滑に進んでいます。グループ全体での提案により、園の活用や顧客誘致が非常にうまくいっている状況です。大幅な増収増益を達成し、利益は前年同期比で約2倍となりました。
指定管理者等に選定された施設に関しては、千葉市動物公園、田原市芦ヶ池農業公園、周南市徳山動物園、加古川市日岡山公園などの運営が順次進んでいく予定です。
農業公園事業

通期計画についてです。スライドに記載のとおり増収増益で黒字転換を目指しています。厳しい暑さが予想される夏季においても、開園時間を前倒しする、熱中症対策を講じる、夜間営業を実施する、季節限定イベントを展開するなど、来園者の安全に配慮しながら柔軟な運営を行い、集客を図っていく予定です。
また、施設の指定管理者等に選定される案件が着実に増加しています。直営施設での人材育成や、そこで培ったノウハウを全国の指定管理施設へ展開することが当社の強みです。通期ではさらなる収益の向上が図れるのではないかと考えています。
nmsホールディングスについて

nmsホールディングスについて少しお話しします。本日はワールドインテック社の栗山社長が来ていますが、彼とともにこの会社について協議を進めてきました。詳しい内容は栗山から説明します。
nmsホールディングスについては、5月にTOB(株式公開買付け)の実施を発表し、7月10日時点で株式保有比率が94.5パーセントとなり、当社に正式に迎え入れることとなりました。
我々にとって、単なる企業の買収や規模の拡大が目的ではないため、M&Aという言葉は適切ではないかもしれません。特にnmsホールディングスの場合、長年にわたり現場で技術と人材を培ってきたすばらしい企業であり、大切な仲間として迎え入れることに心を持って臨みたいと考えています。共にしっかり成長できるよう努めていく所存です。
nmsホールディングスとの付き合いは非常に長く、約10年前から「共にいろいろ連携していこう」というテーマを共有してきた間柄です。
残念ながら、同社は今回さまざまな問題が発生し、あのような状況となりましたが、これからはnmsホールディングス単独で事業を進めるよりも、両社でリソースを共有していったほうが良いと考えました。
当社に迎え入れる理由として1つ目に、工場を持つことによって、ものづくりの製造技術やそれに関連する部分をさらなる成長につなげるためです。特に日本版EMSのような形態では、生産現場の存在がある程度必要であると、私たちは日頃から認識していました。
2つ目に、これからの成長の中で海外戦略が重要になる点です。現時点では、我々の海外戦略が十分といえる状況ではありませんでした。一方でnmsホールディングスは、海外売上比率が全体の約6割以上を占めており、この点については我々にとって非常に連携する価値があると考えています。
以上の2つの理由から、今回の非常に厳しい状況や多くの課題がある中にあっても、社員のために、議論を重ねてきたみなさまと協力し、共に事業を進めていきたいという思いで、この決断を実行しました。
nmsホールディングス側としての説明は、栗山よりお話しします。
株主還元

株主還元についてお話しします。当社は将来の成長投資に必要な内部留保を確保しつつ、株主のみなさまへ積極的な利益還元を行うことを基本方針としています。
還元姿勢をさらに明確にするため、前期である2025年12月期より配当性向の目安を従来の30パーセントから35パーセントに引き上げました。2026年12月期においては、業績の成長に合わせ、1株当たり136.3円、前期比プラス6.8円の増配を実施する予定です。
今後も持続的な利益成長と連動した継続的な配当成長を通じて、株主のみなさまの期待に応えていきます。ご清聴ありがとうございました。
nmsホールディングスについて

栗山勝宏氏(以下、栗山):取締役兼プロダクツHR担当の栗山です。伊井田から説明があったとおり、当社の主力子会社であるワールドインテック社のビジョンは、日本の「ものづくりのベストアシストカンパニー」になることを掲げて仕事を進めてきました。
当社では、ものづくりの川上である研究・開発から、設計、製造、さらにはアフターサービスまでのラインナップをこれまで拡充してきました。
そして、実際のものづくりの最後のピースとなる製造ライン・量産機能を持つことを目指し、これまでそのチャンスをうかがってきました。
そのような中で、今回、nmsホールディングスと協業し、一緒に仕事ができるという大変ありがたい機会をいただきました。この機会を活かし、我々のお客さまにとって最適なサービス、「ワンストップでワールドホールディングスグループに頼めば何でも答えてくれる」というサービスラインナップを拡充していきたいと考えています。
もう1つの主な狙いは、海外のオペレーションをどのように事業成長させていくかという点です。
我々のお客さまは、世界で活躍されているグローバルなメーカーがほとんどです。日本国内に限らず、海外のサービス拠点や製造拠点を全世界に多数保有しているお客さまがほとんどです。
そのような中で、海外でも日本国内と同様の業務をしっかりと展開してほしいというご要望を、これまで多くいただいてきました。
我々はこれまで、国内での旺盛な需要に応えることを優先してきました。そのため、今後は海外における事業成長をどのように加速させ、お客さまのご要望にお応えできるかが、もう1つの課題となっていました。
そのような状況の中で、海外売上高が大きいnmsホールディングスと一緒になることで、お客さまの要望に応えることができるのは、大変ありがたいことだと考えています。
また、日本国内事業においてもさまざまな利点があります。これらは以前よりnmsホールディングスと協議を重ねてきた内容です。
当社は、福岡県を起点に設立された会社であり、その経緯から九州地区、特に西日本に強い顧客基盤を持っています。一方、nmsホールディングスは東京を起点に設立され、特に私たちが十分な基盤を持たない東北地方で非常に大きな顧客基盤を有する会社です。
このようにお互いの利点を補い合うことで、日本国内事業において「やはり便利だな。ワールドホールディングスグループに頼めば、しっかり全国でどこでも、どの工場でもやってくれるな」と思っていただけるサービスラインナップを拡大できるのではないかと考えています。
詳細はこれからですが、しっかりとこの前提をもとに事業成長を描いていきたいと考えています。
質疑応答:不動産事業におけるポートフォリオと成長戦略の方向性について

質問者:不動産に関して1点おうかがいしたいと思います。目下の事業については問題なく進むと考えていますが、今後、中期的または長期的に、開発事業・デベロップメントと不動産再生事業のポートフォリオの配分について、どちらに比重を置くのか、また仕入れのペースがどうなるのか、そうした方向性について教えていただけますでしょうか。
桑原伸一郎氏(以下、桑原):取締役の桑原です。不動産を担当している私からお答えします。非常に難しい質問だと思います。まず、現在の市況感に関してですが、みなさまもご存じのとおり、一昨年、昨年、そして今年と金利が上昇しています。
マンション販売において住宅ローン金利は非常に大きな影響力を持っています。一昨年までは非常に順調で追い風が吹いており、昨年もある程度その恩恵を受けていました。しかしながら、今年に入ってから住宅ローンの変動金利が優遇金利で1パーセントを超えたあたりから、少しずつ逆風を感じるようになったという状況だと思います。
今期においては、契約済みの案件があるため、今期の決算に特段数字的な影響がある状況ではなく、予定どおりの着地を目指しています。
来年以降については、特に新中期経営計画が始まる段階で、その逆風を前提に計画を立てていかなければならないと考えています。
ポートフォリオについてですが、現状の不動産事業のポートフォリオは特に変更の必要はないと考えています。一定期間にわたりマンション分譲や開発事業を行っており、また、用地開発を進めて大手デベロッパーに譲渡するリセール事業も展開しています。これらはそれぞれ回転速度が異なります。具体的には、最も回転の速いリノベーション事業は半年から8ヶ月程度で1回転するという特徴があります。
また、安定した収益基盤となるフィービジネスについては、各事業が時間軸や利益率、利益額などのバランスが取れていると考えており、現状と同じバランスを維持していきたいと考えています。
成長戦略の方向性については、次期中期経営計画で正式な発表の機会があると思いますが、逆風の中で安定性を求めるか、それとも逆風をチャンスと捉えるかは、それぞれの視点があると思います。これについては戦略的に対応していく方針で、この場ではこの程度でご容赦ください。
質問者:引き続き、年度単位においてはおおむね1年以内で事業が完結する再生案件を中心としつつ、しっかりと開発も進め、実際に開発・販売を進めるという、いわば両輪で進めていくという方針に変わりはないという認識でよろしいでしょうか?
桑原:そのとおりです。
質問者:成長施策についてはあらためてという感じですか?
桑原:おっしゃるとおりです。
伊井田:若干補足すると、当社の不動産セグメントは、デベロッパーであると同時に、リノベーション事業の2つの柱で進めています。開発において当社が特に強みとしているのは、土地再生事業でNo.1、建物再生事業でNo.1を目指している点です。
土地再生事業の延長線上には、自社で直接開発するマンション事業もあります。また、事務所用地やホテル用地を開発し、プランを作成して売却することも行っています。これは資金回転を考慮した対応です。このようなかたちで1つの土地を作り上げ、建物を再生していきます。
土地については、まずは種地を購入し、そしてその周辺を買い足し大きな事業用地に開発することで、不動産の価値を向上させることができるのが当社の強みです。このような事業は今後も非常に高い需要があると考えています。
ただし、マンション事業については、建築費の高騰などにより従来のようなかたちで進めるのは難しい状況になっています。しかし、当社が直接手がけるものは少なく、大手企業との合弁事業が非常に多いため、今後も安定した戸数を確保できると考えています。
無謀な拡大戦略を取らないというのが当社の基本方針です。過去17年間にわたるデベロッパー事業も、約500億円の適正規模をほぼ維持しています。今後は、成長している人材教育ビジネスを活用し、チャンスがあればさらに成長戦略を描きたいと考えていますが、現状は非常に順調に推移していると感じています。
質問者:開発のハードルは確かに高いものの、特にマンション開発用地としての土地のニーズは引き続き旺盛だと思います。そのため、基本的には土地を回転させつつ、条件が合う、あるいは御社の基準に合致する場合には、開発に参加していく流れとなるのでしょうか?
伊井田:そのとおりです。開発に参加していきます。我々は汎用性の高い土地を購入しており、いかなる時代においても、どのように活用できるかという点で、非常に幅の広いかたちで事業を進めています。
質疑応答:不動産事業と人材事業のグループシナジーについて
質問者:先ほど不動産事業と人材事業とのグループシナジーのお話がありましたが、それはどのようなイメージなのでしょうか?
伊井田:人材サービスの部分でいうと、例えば販売や接客の部分についてです。当社は不動産デベロッパーとの関係が密接であるため、大型商業ビルのインフォメーションセンターでのインフォメーションの仕事のような領域、あるいは建築関連の派遣事業においてもシナジーがあります。グループ会社で一緒に行っている人材育成やさまざまな取り組みが、想定以上に広がっているのが現状です。
時代が大きく変化し、単一の企業ではなく、多くの事業を重ねられる時代となっています。そのため現在では、社内の事業を組み合わせるだけでも事業化できるものが多く存在することが私たちの中でも明確になってきています。
質疑応答:熊本地震による業績への影響について
司会者:「熊本地震での業績影響についてはどうでしょうか? 九州に強い企業だと認識していますので、大変心配しています」というご質問です。
栗山:熊本地震は非常に大変な状況で、当社従業員の一部である数千名が被災しました。
業績に与える影響は現時点ではわずかと認識していますが、一方で被災した従業員へ水や食料品の配布を実施しています。他県から当社社員が車で運ぶといった緊急対応も行っています。また、当社の従業員一丸となって、お客さまの工場の復旧作業にも全力で協力しています。
そうしたこともあり、一部のお客さまの工場では復旧に非常に時間がかかっている箇所もあるようですが、熊本地震による当社業績への影響は軽微であると現時点では判断しています。
質疑応答:人材教育ビジネスにおける他社と異なる強みと成功要因について
司会者:「人材系の同業他社が苦戦している中、御社だけがうまくいっているように見えます。違いは何だと思っていらっしゃいますか?」というご質問です。
栗山:当社だけがうまくいっているとは、私たちは認識していません。非常に優秀な同業他社が多く、それぞれが異なる角度と意味で事業を成長させていると考えています。
ただし、当社には少し特殊な事情があります。まず、創業以来、半導体分野に非常に強い会社であるという特徴があります。
昨今、世界中でAIデータセンターへの設備投資が盛んに行われていますが、その中で使用される主要なコンポーネント、さまざまな部品や部材、特に半導体を中心としたAIデータセンター向けプロダクトを製造している顧客基盤を当社は多く持っています。こちらが他社との違いではないかと考えています。
その他にも、さまざまな採用プロセス改革やコストダウンなど、5年から6年にわたる社内での試行錯誤がようやく少しずつ成果を上げつつあり、他社との違いが多少見え始めてきたと考えています。
伊井田:少し補足すると、私も35年間この仕事をしてきましたが、特にコロナ禍が明けてから、人材を活用しようとする企業の姿勢が大きく変わってきていると感じています。
現在のガバナンスの問題やコンプライアンスに関して、これまでも指摘されてきましたが、なかなか改善が進まず、とりあえず人材活用したいという企業が多かった状況です。しかし、最近では相当吟味する傾向が強まっています。その中で、私どもの会社は「選ばれる会社」として認識されてきています。
これは、過去35年間きちんとした会社の歩みを続けてきた結果だと言えます。このような部分も含め、時代の変化が大きな理由になっているのではと、私は感じています。
質疑応答:nmsホールディングスと統合するシナジー効果と海外事業における重点地域について
司会者:「御社がnmsホールディングスと統合するシナジー効果を具体的に教えてください。また、地域別市場として北米や欧州、東南アジア、東アジア、中近東、中南米、オセアニア、アフリカ市場などがありますが、具体的な展開目標や効果を教えてください」というご質問です。
栗山:さまざまなシナジー効果を生み出せると考えていますが、具体的な数字などについてはこれから詳しく精査していく予定です。詳細が判明次第、みなさまにお伝えできるよう努めていきます。
地域別という観点では、特に私どもが効果を見込め、事業成長に力を入れたいと考えている地域がいくつかあります。メキシコを含めた北米や東南アジア、それから特に台湾や中国といった東アジアにおける事業については、さまざまな効果が見込めると考えています。
質疑応答:AIの進化と関連する事業への対応について
司会者:「AIの時代における御社に求められる位置がかなり変化してきているのでしょうか? あるとすればどう対処していく予定でしょうか?」というご質問です。
栗山:AIの進化は非常に速いものですので、私たちもその変化に追随するのは大変なことですが、いくつかの観点から見れば、これはピンチであると同時にチャンスでもあると考えています。
私どものお客さまの市場について申し上げると、実現にはもう少し時間がかかると思いますが、フィジカルAIがこれから量産工場に導入されていく流れが始まりつつあります。
当社は単純な大量生産ではなく、日本のものづくりが得意とする超少量・超多品種生産を強みとしています。そのため、フィジカルAIでカバーしきれない領域について、私たちの匠の技術をさらに磨き上げ、お客さまのニーズに応えていきたいと考えています。
フィジカルAIに関連して、ロボットが人間の作業を代替する状況が進むにつれ、新たにロボットのメンテナンスという分野が重要になってくると想定しています。
当社では、ロボット製造技術や生産技術に重点を置き、大きくシフトさせようと力を入れています。製造現場の社員をこうした生産技術や製造技術の分野へキャリアチェンジさせ、シフトアップすることを目的に、全国11ヶ所のトレーニングセンターをフル活用し、社員教育やリスキリングを全国的に展開しています。
フィジカルAIによる変化に対しても、可能な限り対応していくことを目指しています。
また、AIエージェントについても取り組んでいます。当社ではバックオフィス業務を中心に、AIエージェントを活用して生産効率を向上させることが求められる時代になっています。
現在、7つから8つのプログラムをスタートさせており、AIエージェントを使ったバックオフィス業務の効率化を進めています。これらの取り組みは現在進行中です。
伊井田:当社にはクリエーション・ビュー(CVC)およびワールドシステムサービス(WSS)という会社があります。また、多数の障がい者を雇用し、GISを活用したシステム開発を行う九州地理情報という会社があります。さらに、IT教育を行う「アドバンスクール」を運営するアドバン社があり、ワールドインテック社のITS事業部ではSIエンジニアの派遣を行っています。
これらをすべて合わせると、売上高は約120億円となり、派遣社員の人数も1,000名を超えています。
その中で、CVC社やWSS社というソフトウェアを受託開発する専門会社ではAI開発を進めています。当社は社内で基幹システムや戦略システムをすべて自作し、セキュリティ対策も行っている点が1つの強みとなっています。
当社の人材が手掛けるものづくりユニットの中での売上についても触れておきたいと思いますが、実は研究と機電系、保守・保全の領域、さらに現在のSIなどを含めて、グループ会社も合わせると売上は500億円近くに達しています。
このように、技術系の人材が多数在籍しているという事実は目立ちにくい部分かもしれませんが、当社の規模をみなさまにご理解いただければ幸いです。
そして、当社は研究の部分ではトップランナーです。当社には約2,400名の研究社員が在籍しており、これが強みです。価値ある人材が多く、そうしたメンバーが一体となってAIの開発やさまざまな研究を行っていることが、当社の特徴です。
質疑応答:株主優待への取り組みについて
司会者:「株主優待の予定はありませんか?」というご質問です。
伊井田:株主優待は、ぜひがんばりたいと思います。
質疑応答:複数事業と地域分散による当社の安定性について
司会者:「複数事業での安定化を掲げていらっしゃいますが、人材も不動産も景気動向に左右されやすいビジネスではないでしょうか?」という質問です。
伊井田:当社の特徴として、複数の事業を展開し、地域も分散しています。人材においても複数の事業が存在する点が挙げられます。景気に左右されやすい製造系の事業も含まれています。ただ、そうではないものも多くあり、そのようなバランスを見ながら進めています。
不動産についても、デベロッパー事業はフロービジネスですが、ストックに近い土地や戸建てマンションをリノベーションする事業も現在非常に活況を呈しています。
これもバブル気味ではありますが、生活のインフラとして妥当な金額で販売が進んでいます。不動産は景気に大きく左右される部分もありますが、住宅やインフラに関しては当社としては問題ないと考えています。
当社は物流事業も強みとしています。物流はどの時代でも必ず物を届ける必要があり、その需要がなくなることはないと考えています。これらの柱で当社を支えていきます。
「半導体に強い」とされていますが、当社は半導体事業だけではありません。それ以外の事業についても、半導体が半減した場合でも支えられる状況を作り上げていることが、当社の特徴であるとご理解いただければと思います。
伊井田氏からのご挨拶

最後に、nmsホールディングスについてもう少しお話しします。
nmsホールディングスは非常に良い会社だと考えています。この2年間で経営陣が3回代わりましたが、以前経営をされていた小野氏も非常にすばらしい方だと思います。海外戦略などにおいて非常に強みを築いてきた方でした。しかし、ガバナンスが効かなくなり、大きな問題となってしまいました。
そうした中でも、nmsホールディングスの社員には非常に優秀な方が多く、その後の経営陣もガバナンスに注力し、しっかりとした体制が整っています。一部の経営陣は退任していますが、現在残っている経営陣も非常に優秀だと思っています。
nmsホールディングスは日本を代表する企業のものづくりを引き受けるなど、すばらしい人材を多く抱えています。価値ある人材や事業が我々の仲間に加わったことを、本当にうれしく思っています。
また、この2年間、困難に耐えてきた社員が多くいます。この社員たちを我々のグループに迎え入れることで、幸せを感じ安心して仕事ができる環境を提供したいという強い思いを持って、今回は100パーセントのグループ会社化が最良だとの判断をしました。
「会社を乗っ取る」といった意図はまったくありません。我々としては、良いシナジーが必ず生まれると確信しており、もともとの経営者ともその方向性について協議を行ってきました。すばらしい人材が多くいることもあり、これからの事業展開が非常に楽しみです。
さらに、この取り組みが海外の基盤にもなると考えています。当社は、基盤をしっかり作ることを重視しており、現在展開している海外のnmsホールディングスの事業を磨き直し、再構築することで、これを基盤に大きな成長を目指していきたいと考えています。
この2年間、社員や幹部の方々は非常に苦しい思いをされたと思いますが、これからは事業に専念できるようになります。私も栗山も深く関わり、この会社の強みを十分に発揮し、ワールドホールディングスグループ全体の成長につなげていきたいと思っています。みなさまにもご期待いただければ幸いです。
本日は、本当にありがとうございました。
