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村田製作所などの一次電池事業を取得、医療機器用の生産能力2倍へ拡大する電池・部材株

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マクセル(6810)、村田製作所などのマイクロ一次電池事業を約80億円で取得し、医療・車載向けを強化。全固体電池では2030年度売上高300億円を目指します。国内の注目銘柄を紹介する新連載「ログミーFinanceの#銘柄発掘」。銘柄の選び方を学べます。

【基本情報】株価:2,507円(2026年8月28日終値)/配当利回り:2.23パーセント

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電池・光学・機能性部材料など4事業を展開

マクセル(6810)は、電池、粘着テープ、車載光学部品などを展開する電池・部材メーカーです。2026年3月期の売上構成比は、電池を手がける「エネルギー」が32.8パーセント、車載光学部品などの「光学・システム」が28.1パーセント、粘着テープなどの「機能性部材料」が25.2パーセント、健康・理美容製品などの「価値共創事業」が13.9パーセントでした。

村田製作所などのマイクロ一次電池事業を約80億円で取得

同社は2026年3月1日付で、村田製作所と東北村田製作所のマイクロ一次電池事業を承継する新会社の全株式を約80億円で取得し、子会社化しました。コイン形二酸化マンガンリチウム電池、酸化銀電池、アルカリボタン電池などを含む小型一次電池は、長期間にわたり安定して電力を供給できることから、医療・車載・インフラ分野の小型機器に使われます。

こうした信頼性が重視される用途では、顧客による評価や採用認定に時間を要しやすく、採用実績の蓄積が新規参入の壁になります。今回の買収により、マクセルが強みを持つ二酸化マンガンリチウム電池に、取得事業が得意とする酸化銀電池などを加えて製品群を補完するとともに、販路の拡大などのシナジーを見込んでいます。

約50億円を投じ生産能力2倍へ、営業利益率5.8%を計画

買収した事業の拡大に向け、同社は小野事業所に約50億円を投じ、2027年度中をめどに医療機器用一次電池の生産能力を約2倍に引き上げます。販売数量と設備稼働率を高め、製品1個当たりの固定費負担を下げる狙いです。

酸化銀電池では銀価格を販売価格に反映する仕組みも整え、2027年3月期のエネルギー事業で売上高530億円、営業利益31億円、営業利益率5.8パーセントを計画しています。

ROICは5.5%予想、中期経営計画目標7.5%と資本コスト約6%を下回る見通し

注目は、小型一次電池の規模拡大と資本効率の改善を両立できるかです。マクセルはROIC(投下資本に対してどれだけ利益を生んだかを示す指標)を経営の中核指標とし、中期経営計画「MEX26」で2027年3月期のROICを7.5パーセントまで高め、WACC(資本コスト)約6パーセントを上回る目標を掲げています。

しかし、最新の会社予想ではROICは5.5パーセントにとどまり、中計目標にも資本コストにも届かない見通しです。医療・車載向けは顧客による評価や採用認定に時間を要するため、増強した供給能力が販売数量に結びつくまで時間がかかる可能性があります。

また、取得した酸化銀電池は銀価格の影響を受けやすく、価格反映にはタイムラグがあります。足元では価格反映が進み、会社は2027年3月期下期に適正な利益水準へ回復すると見込んでいますが、設備稼働率の上昇や価格転嫁が計画どおりに進まなければ、2026年3月期に4.9パーセントだったエネルギー事業の営業利益率が十分に改善せず、ROICが資本コストを下回る状態が続く懸念があります。

全固体電池は2030年度売上高300億円を目標

なお同社は、産業機器向けの需要が期待される全固体電池について、2030年度に売上高300億円の目標を掲げています。しかし現時点では2030年度の目標達成に向けた販売拡大ペースや採算性を見通しにくいため、あくまで将来の上乗せ余地にとどまると考えたほうがよさそうです。

1Qエネルギー売上47.3%増、採算改善はなお途上

7月31日発表の第1四半期は、エネルギーが47.3パーセント増収となった一方、前年に計上した一過性のライセンス収入の反動により、営業利益は15.2パーセント減少し、利益率は約5.0パーセントでした。

同社は一過性のライセンス収入を除けば増益だったと説明していますが、利益率は通期目標の5.8パーセントに届いておらず、採算改善はなお途上です。今後は利益率5.8パーセントの達成とフリーキャッシュフローの改善、ROICが資本コストを上回る道筋を確認したいところです。

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執筆者プロフィール


執筆:西田哲郎
ライター・コンテンツディレクター。投資歴15年。大きな損失を出したことをきっかけにイナゴを卒業、ビジネスモデルとファンダメンタルズ重視の手法に切り替える。業界紙やスタートアップを経てフリーで投資情報メディアやM&A情報サイトの立ち上げに関わり、現在は主に週刊誌で投資や経済関連の記事を執筆。


※記事内容、企業情報は2026年8月27日時点の情報です。
※当記事内容に関連して投資等に関する決定を行う場合は、ご自身の判断で行うものとし、当該判断について当社は一切の責任を負わないものとします。なお、文中に特定の銘柄の投資を推奨するように読み取れる内容がある可能性がございますが、当社および執筆者が投資を推奨するものではありません。

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