2020年の基礎的財政収支の黒字化をどう実現するか?
『毎月分配投信の本当のこと のりたマガジン』 Vol.170より抜粋
久しぶりに、「経済財政諮問会議」 を取り上げておきたいと思います。
経済財政諮問会議は、政府が有識者を集めて、アベノミクス第三の矢である成長戦略などを話し合う会議ですが今回は財政健全化の取り組みについて話し合われましたので確認しておきたいと思います。
財政健全化なんて投資に関係あるの?と思われる人がいるかもしれませんが、財政健全化の目標達成というのは、世界が注目していることで日本国債の金利や、株式市場への影響まで及ぶ可能性があるものなので、日本株を投資している人にとってはおさえておきたいものなのです。
それだけ重要なものなので、いつもは取り上げない経済財政諮問会議を取り上げることにしました。
まずこれまでの経緯として、増税の延期をしたことによって2020年の基礎的財政(プライマリーバランス)の黒字化は、不可能になったという事実があります。
アベノミクス第三の矢である成長戦略が想定通りに上手くいったとしても不可能なのですから深刻です。
ムーディーズやフィッチが日本国債を格下げした一番の要因になりましたから、投資をしている人にとってはとても重要なことであることが分かって頂ければと思います。
この話は、過去のメルマガでも中身の確認をしましたのでよろしければ合わせて振り返っておいて下さい。
→のりたマガジンNo.158 (2015/02/22配信)(2)2020年基礎的財政収支の黒字化について
意外と大雑把な計算なところもみられるのですが、税収が増えても社会保障費と国債費が膨大に膨らんでいくので、赤字は解消できないという予測が出ています。
2020年の基礎的財政収支を黒字化するために政府がどう対処するのか?
これが今回の注目ポイントです。
まだ議事要旨がでていないので、会議資料をチェックしていきたいと思います。
◆5/12資料3-1 論点整理・総論~経済再生と財政健全化を両立する計画の策定に向けて~
歳出、歳入に関する改革案の方針などが書かれています。
これ以上の歳入増加を見込むのは難しく、赤字の解消は歳出改革で実現すべきなどの話が書かれていました。サービスを利用する側の意識を変える、インセンティブ改革というものが盛り込まれています。具体的には健康ポイントの普及や、後発医薬品の利用率向上などが挙げられています。
◆5/12資料3-2 論点整理・総論について(有識者議員提出資料)
4ページに社会保障の問題点がクローズアップされています。
・入院患者が多い地域が存在する
・後発医薬品の普及率が低い地域が存在する
・院外処方は院内処方より1.2~1.5倍の費用がかかっている
地域格差にどういう意味があるのかはわかりませんが、院外処方の話は明らかに問題です。
いつからか院内処方から院外処方に変わりましたが、どくさくさに紛れて医療費を水増ししているなんて、誰がこんなこと考えたのでしょう。(^_^;
総合病院の周りなどを見ると多くの調剤薬局が並んでいますが、あれをみるといつも異様に思っています。それだけ儲かるということなのでしょう。ハッキリ言ってバブルです。
その他、調剤薬局のサービスレベルが高すぎて、余計な点数稼ぎをしているのが個人的にも感じているので、社会保障費を減らす余地はかなりあると思っています。
◆5/12財政健全化計画の枠組みについて(麻生議員提出資料)
社会保障費とその他歳出を過去3年の伸び率におさえた維持ができれば、赤字の大部分は解消できるとしています。でも3ページの予測グラフをみると、大部分は解消できても、黒字化するかは微妙なラインになっています。
それにしても、のりたマガジンNo.158でもポイントに上げた国債費について一切触れられていません。
財務省だからこそ取り上げて欲しいところですが、逆にこれが財務省ということか。自分のところは突かれたくないのね(^_^;
金利状況によって変動する国債費をあてにしてはいけないことは確かですが、社会保障費などの歳出を削減してもらって、金利の状況によっては上手くいけば黒字化達成できるシナリオが多少見えてくるのかなという印象。このシナリオでも簡単では無いでしょうけど。
とにかく今回示されたこととして、社会保障費の削減が重要であるということです。
どれだけ切りこんでくれるか期待したいところです。
2020年基礎的財政収支の黒字化達成できるかどうかはわかりませんが、進捗をこれからもウォッチしていき投資判断に活用していきたいと思います。
以下のような提案もされていたので追加で紹介しておきます。
◆資料4 政策コメンテーター報告(平成27年第3回)について(伊藤議員提出資料)
歳出削減は、景気を押し下げてしまう可能性もあるので、経済再生との両立を考えた上での提案のようです。
・ヘルシーパーク構想
・タニタカフェなどの取り組みを取り入れたもの
・税の徴収率を上げる
・公募の不調解消
前半の2つは、前述したインセンティブ改革の一環かな。
この取り組みによる病気の予防にどれだけ費用対効果がでるのか知りませんが、無駄にサービスレベルを上げるようなことだけはしてほしくないです。
健康志向が高い人など、利用する人が限定されてしまったとしたら過剰サービスでしかないですからね。
『毎月分配投信の本当のこと のりたマガジン』 Vol.170より抜粋
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