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アベノミクス「第3の矢」が躓いた2つの原因

「第3の矢」たる成長戦略は出遅れたばかりでなく、規制緩和・撤廃の突破力のパワー不足が目立ってきた。だから「見せ場は終わった、あとは正念場で、それは官僚とのバトルを遂行する修羅場を通る覚悟がなければダメだ」と本稿では述べ続けたし、1月17日のBS12チャンネル「マーケットアナライズ」出演の際も強く述べた。安倍内閣は菅(カン)内閣の「反官僚」での失敗を見て「官僚とは喧嘩しない」を「家訓」としているらしい。

安倍さんが強くDNAにより支配されている祖父の岸信介氏が官僚出身だし「55年体制」以後の長期政権中曽根内閣も官僚内閣だった。そこで安倍さんは官僚とは闘わない、を「家訓」としたきらいがある。官僚は法の運用と体制維持が仕事だ。現状維持を習い性とする。これとのバトルを避けたら第3の矢はすすまない。

過去の歴代政権と同じく、安倍政権も官僚とのバトルを避けてマクロのみ主張しミクロは官僚に握られて手がつかない。そこでのバトルを避けて通るつもりならアベノミクスは最後の「正念場」で「修羅場」を避けられても「土壇場」に行ってしまう恐れもある。

官僚は衆院の予算会議での野党の意地悪い質問に答えを教えて原稿を造る役割だ。彼らと喧嘩したら田中真紀子外相が半年も務まらなかったことを見ても分かる通り、政治家は生きられない。官僚の方が監督官庁としてあるいは許認可を通して民間の情報も握っているし、知能も安倍内閣の面々よりはずぅっといい。喧嘩したら敵はいっこない。よって彼らを自分の陣営に取り込む努力が必要だ。田中角栄氏や中曽根さんがやったように。

消費税再引き上げの問題もある。税率10%引き上げを約した17年4月が近づいたとき、「約束した」とは言っても、時の政権が最終的に政治判断をする余地はある。税制改正に関する新しい法律を作って再増税の停止や延期を決めるという道は残っている。

安倍内閣の躓きは、ひとつは消費増税の景気に及ぼす影響の重さだった。この点はさすがに経済学者の内閣官房参与の意見が当たっていた。もうひとつは読み違いというのではなく、アクシデントと言ってやってもいい原油価格の大暴落だ。これで「物価2%上昇」は大いに狂った。安倍さんは全てにツイていた。しかし原油暴落だけはツキがなかった。これでツキが落ち始めるのかという観測はまだないようだ。

山崎和邦 週報「投機の流儀」』(2015年4月19日号)より一部抜粋

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