■会社概要
1. 会社概要
ムービン・ストラテジック・キャリア<421A>は、コンサルティングファーム、戦略系・IT系・M&A・PEファンドなどのプロフェッショナルファーム向けにハイエンド人材紹介を手掛ける有料職業紹介事業者である。「プロフェッショナル人材がキャリアのあらゆる局面で頼れる『生涯キャリアハブ』として知的インフラの役割を担うこと」を企業理念に掲げ、中期経営計画では「プロフェッショナル人材の生涯キャリアハブとなる」をスローガンとしている。
同社代表取締役社長の神川貴実彦(かみかわ きみひこ)氏はボストン コンサルティング グループの出身であり、業界に精通した知見が経営の基盤となっている。グループは、連結子会社エージェント1(株)(出資比率100%)と同社の2社で構成される。
2. 沿革
同社は、1997年11月に設立された(株)ムービン(現 (株)リオディオス)が1999年4月にコンサルティング業界特化の人材コンサルティング事業を開始したことに端を発する。2000年12月に(有)ムービン・ストラテジック・キャリア(現 同社)を設立し、2001年3月に株式会社へ組織変更した。2023年1月には、過去の登録者をフォローし再稼働を促す顧客データベースマーケティングチーム「コンシェルジュデスク」を立ち上げるとともに、サーチ型スカウト※を専門に手掛ける連結子会社エージェント1を設立した。同年3月にはリオディオスから「Consultant転職」などのHP事業を譲り受け、グループの事業運営体制を集約した。その後も業容拡大を続け、2025年10月に東京証券取引所グロース市場へ上場した。
※ 外部のスカウトサイト(人材データベース)等を活用し、顧客企業から依頼された求人に合う最適な人材を探し、紹介する形態を指す。
3. 市場環境
人的資本経営の重要性が高まるなか、企業の人材戦略と経営戦略の連動が進んでいる。労働人口の減少などによる構造的な人手不足や雇用の流動化を背景に、企業の採用需要は高水準で推移している。特に同社が主戦場とするコンサルティング業界では、恒常的な採用需要に加えてAIコンサルティング需要の拡大が続いており、転職支援件数と成約単価の双方に追い風が吹く市場環境にある。
(1) コンサルティングファームの高い離職率
追い風の1つ目は同社が主戦場とするコンサルティングファームにおける恒常的な採用需要である。コンサルティングファームの平均離職率は10~20%(同社調べ)と高く、社員数の増加に伴い、退職者の補充に加えて事業拡大に向けた採用需要が継続的に発生する構造にある。転職求人倍率も2.55倍(転職サービスdoda「doda転職求人倍率レポート」2026年6月時点)と、求職者1人に対して2.55件の求人がある売り手市場となっている。
(2) AIコンサルティング需要の拡大
2つ目はAIコンサルティング需要の拡大である。AI活用の進展を背景に、大手・中堅コンサルティングファームが採用を積極化しており、ハイエンド人材の需給は逼迫している。同社では現在のAI人材需要を、2019年頃から本格化したDX需要と類似する大きな潮流と捉えている。AIは技術革新のスピードが速く、新たな技術や活用領域が継続的に生まれることから、AIコンサルティング需要は中長期的に拡大する可能性があると見ている。
(3) 転職支援単価の上昇
3つ目は転職支援1件当たりの平均成約単価の上昇である。インフレに伴う賃金上昇に加え、少子化による若年層人口の減少が、中長期的な単価上昇要因となる。同社の売上高は成約年収に手数料率を乗じて決定されるため、賃金上昇は紹介手数料の増加に直結する。また、2022年から2035年にかけて、初めての転職を行う「転職適期」とされる若年層人口は約2割減少する見通しであり、人材供給の減少による需給逼迫も見込まれる。AIコンサルティング需要の拡大による足元の追い風に加え、こうした構造的な人手不足と賃金上昇が、同社の成約単価を中長期的に下支えすると見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉俊輔)
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