2026年10月2日に発表された、サワイグループホールディングス株式会社IR Day 2026の内容を書き起こしでお伝えします。
安定供給体制構築に向けた取り組み
中手利臣氏:みなさま、本日はお忙しい中、サワイグループホールディングスのIR Day 2026にご参加いただき誠にありがとうございます。私より「安定供給体制構築に向けた取り組み」と題して、当社が取り組んでいる供給、および品質保証の体制強化に向けての取り組みをご紹介します。よろしくお願いします。
当社の事業成長の推移

まず、当社のこれまでの事業成長の推移を売上高と生産数量で示しています。
折れ線グラフが生産数量を示していますが、新製品の継続的な上市・発売と、発売した製品をしっかりと製造して市場にお届けすることを積み重ねることで、持続的な成長・事業拡大を進めてきました。当社では新製品の発売・上市と、生産数量をしっかり維持・増加させていくという2つの両輪を成長エンジンとして事業を進めています。
途中、米国への進出および撤退がありましたが、現在は国内事業へ集中している状況です。
新製品開発数

新製品の開発数においては、黄緑色(左)がジェネリック全体の収載成分数で、濃い緑色(右)が当社の収載成分数になります。当社の成長につながると考える製品に関しては、しっかりと多くを市場に届けていることが確認いただけると思います。
低分子領域においては、水に溶けにくい製品や開発が難しい製品が増えていますが、当社では、これまでと同様の水準で機会を逃さないよう開発に取り組んでいます。今年6月には6成分9品目を上市し、順調に製造・販売をしています。12月についても同水準の品目数を市場にお届けすべく進めています。
付加価値のある製品開発

個々の製品開発においては、患者さまや医療機関のみなさまにとって扱いやすい、服用・服薬しやすい付加価値をつけてお届けしたいと考えています。例えば、錠剤の小型化、口腔内崩壊錠(OD錠)化、苦みのマスキング、医療機関向けには事故・過誤を防ぐ見やすい表示や品質・安定性の改善を行っています。
製剤技術(SAWAI HARMOTECH)

こうした開発を支えているのが当社の製剤技術であり、「サワイハーモテック」と呼んでブランド化・拡充を進めています。有機溶剤を使わない造粒技術や、口腔内崩壊錠へのフィルムコーティング技術(サラコート)など、難易度の高い化合物であっても製品開発していける技術を蓄積しています。
生産体制

次に、もう1つの柱の生産・安定供給の取り組みについてご紹介します。現在、当社には東日本から九州まで計8工場がございます。トラストファーマテックの矢地工場・清間工場については、来年春に沢井製薬の工場として統合し、8工場体制で生産に取り組んでいく計画です。
合計の生産能力は205億錠となり、業界をリードする生産数量だと捉えていますが、市場の要望に対してはまだまだ力不足であると認識しています。
今年度(2026年度)には第二九州工場のステップ2として施設が完成し、15億錠分の生産能力が加わり合計220億錠の自社生産能力となります。医薬品製造ではバリデーション等で稼働に向けては1年から2年のタイムラグが生じますが、将来に向けた備えとして進めています。
さらに清間第二・第三工場への投資を行っており(25億錠規模)、2030年には250億錠近くの生産能力保有に向けて取り組んでいます。
自社生産能力と新卒採用者数

生産能力を支える人材面についても採用を進めています。2025年には200人規模の新卒採用を行いました。昨年度生産数量が大きく伸びなかった背景として、新卒社員の教育にベテラン社員のリソースや時間を割いていたことが挙げられます。今年度は180億錠の生産計画に向けて順調に進んでいます。
少量多品種の生産性改善に向けた取り組み

利益率改善に向けて、「製品の継続した改良」と「製品ポートフォリオの継続した見直し」を進めています。
小ロット生産品のスケールアップによる生産効率化・原価低減、複雑な製造法のシンプルな方法への改良、規格外廃棄による機会損失を防ぐ品質リスク解消に取り組んでいます。
また、競争力のなくなった製品を見直し、当社が製造しなければ患者さまに届かない製品へリソースを集中させるとともに、日医工さまとの協業など他社とのアライアンス・生産統合による効率化も推進しています。
品質保証強化に向けた取り組み(本社と工場の連携強化)

これらを支えるのが品質保証の強化です。従来は工場(製造業)と本社(製造販売業)が独立して動く傾向がありましたが、「全社一体の連携プラットフォーム」を構築しました。イベント管理システムによる情報共有、承認書点検の継続実施、GMP監査機能の強化、確実な技術移転スキームなどを導入しています。
品質保証強化に向けた取り組み(マネジメントレビュー、ICH Q10品質システム)

さらに、経営陣と直結し迅速な意思決定を行うマネジメントレビュー(ICH Q10に基づく)を半期ごとに実施し、PDCAサイクルを回しています。
新製品の確実な工場への技術移転

また、研究開発から工場への技術移転において、課題が解消するまで研究開発部門も参加するフォローアップ体制へ変更しました。
クオリティーカルチャーの醸成

全社を挙げた「クオリティカルチャー(品質文化)の醸成」として、全従業員がありたい姿と現状のギャップを認識し、年1回のアンケート調査を行いつつ向上を図っています。
成長戦略と競争優位の確立

新製品開発力、自社生産能力、品質保証システムによる「開発・生産・品質の三位一体」で優位性を確立し、確かな品質の医薬品を安定的にお届けすることで、患者さまや医療機関のみなさまからの信頼獲得と持続的成長につなげていきます。ご清聴ありがとうございました。
経営陣幹部の選任プロセスと選考議論について

司会者:続いて「経営幹部の選任プロセスと選考議論について」と題して、小原取締役よりご説明をお願いします。
指名・報酬等ガバナンス委員会

小原正敏氏:私からは経営幹部の選任プロセスおよび選考における議論についてご説明します。
当社のガバナンス体制において、私が委員長を務めている「指名・報酬等ガバナンス委員会」よりご説明します。本年4月1日付で中核子会社である沢井製薬の代表取締役社長の選任を行いましたので、その選考過程についてもご報告します。
当社のガバナンス体制は「客観性・公平性」および「透明性の高いプロセスに基づく意思決定」を特徴としています。
当委員会は取締役会からの諮問を受け、答申・提言を行う仕組みとなっています。指名委員会と報酬委員会の双方の機能を担っており、多様な専門知識を持つ社外取締役および社内事情に精通した社内取締役の計4名で構成されています。
CEOを含む経営陣幹部の選任・解任、後継者計画、将来の経営人材育成計画、報酬等の審議を行っており、2025年度は委員会を9回開催しました。当委員会の助言・提言は取締役会において十分に尊重されています。
模式図)経営トップ層の選任プロセス

選任プロセスにおいては、通常交代・早期交代・緊急事態の3ケースを想定したロードマップを作成し、通常交代プロセスを中心に審議しました。評価基準と育成計画を作成した上で候補者を選出し、今後は360度評価の導入も検討しています。育成面では、タフなアサインメントへの挑戦や複数部署での経験を推進しています。
今回の沢井製薬の社長選任においては、総合評価に加え、委員による候補者への個別インタビューを実施しました。会社が目指すべき将来像や課題についての考え方を深掘りし、当委員会での評価・指名を経て、取締役会で承認を得ました。
経営陣幹部 選任の基準

選任基準・スキルにおいては、スキルマトリックスに加えて経営トップのあるべき姿を定めています。
今回の沢井製薬社長選任にあたっては、企業理念「なによりも患者さんのために」を実践する強い情熱を最重視した上で、品質保証、安定供給、新製品開発の経験や、品質文化(クオリティカルチャー)を定着させられるリーダーシップを重点的に議論した結果、中手氏が最も適任であると結論付け、指名に至りました。今後も当社グループの経営環境と社会的要請の変化に柔軟に対応した上で、さらなるガバナンス体制の高度化を図っていきます。
リーダーシップにおける多様性について
司会者:本日登壇いただいているお二人の社外取締役からもコメントを頂戴します。まず相徳取締役よりリーダーシップにおけるダイバーシティや多様性の観点についてお話しいただきます。
相徳泰子氏:私からは「なぜ多様性が必要か」「どう活かすか」「いかに企業文化として定着させるか」についてお話しします。
サワイグループホールディングスを取り巻く環境は、医療ニーズの高度化、少子高齢化、医療費増大、サプライチェーンの複雑化、AIの進展など非常に激しく変化しています。
社会インフラであるジェネリック医薬品の安定供給という重大な責任を果たす上で、単一の経験や過去の成功パターンだけでは対応が困難になっています。そのため、異なるバックグラウンドを持つ人々が多様な視点で課題の本質を捉えていくことが求められています。
多様性を成果につなげるには、異なる意見を組み合わせて新たなアイデアを生み出すことが不可欠です。性別のみならず、経歴、背景、国籍、年代などの多様性を組み合わせ、経営層だけでなく現場や中間層を含めたあらゆる層のさまざまな視点で経営が進んでいくことが理想です。リーダーには議論を拡散させ、そして収束させていくことで、意思決定の質を高める力が求められます。
また、AIなどのテクノロジーも多様性の一部と捉え、AIが提示する選択肢と社員の経験値・専門性を重ね合わせた最適判断を行う仕組みづくりを進めています。
企業文化としての定着に向けては、制度や数値目標だけでなく、社員一人ひとりが異論を受け入れ活かす姿勢が重要です。「違う視点があったからリスクに早く気づけた」「新しい解決策が見つかった」という成功体験を積み重ね、組織全体に広げていきます。
「なによりも患者さんのために」を実現するため、多様性を尊重し、力に変えることで、持続的成長につなげていきます。
サクセッションプランの実効性について
司会者:続いて企業での社長経験もお持ちの三津家取締役より、サクセッションプランにおける実効性の観点についてコメントをお願いします。
三津家正之氏:選任プロセスの実効性・リアルな実態について、「評価基準(要件定義)」と「候補者の評価」の2点からお話しします。
要件定義については、単なる文書作成ではなく非常に時間を割いて議論しています。激しい環境変化に対応するため毎年見直しを行っており、「直近の明確な課題をやり遂げる要件」と「変革を推進する要件」の2つに分解して整理しています。
今後の課題としては、AI活用と人手不足(要員問題)が挙げられます。当社におけるAI活用は、8工場・700品目という需給バランスの中で安定供給とコスト・粗利の最大化を図るという、現場に密着した実用的なものです。
また、地方都市の工場で毎年200名規模を採用・教育・定着させる要員問題への対応も重要な要件として議論しています。
候補者の評価においては、次の3点に注力しています。1つ目は社内会議などを通じた「普段の接触」、2つ目は長時間のインタビューによる「長期的ビジョンの確認」、3つ目は選考段階での客観的な「外部評価の活用」です。特に長期ビジョンの確認では、制度変更やインフレ下でも持続可能なビジネスモデルを構築できるかを重視しています。
