■アクモス<6888>の事業概要
1. 事業の概要
同社グループは、事業持株会社である同社と、ASロカス、プライムシステムデザイン、フィールドワン、ジイズスタッフ、アクモスメディカルズの連結子会社5社で構成されている。官公庁や自治体、製造業、金融機関、医療機関など幅広い顧客に対し、システムの企画・開発からインフラ構築、運用・保守までをワンストップで提供している。2026年1月にシステムズサービスを子会社化し、同年10月に吸収合併したことで、金融業界向けの顧客基盤も拡充された。
事業セグメントは、「ITソリューション事業」「ITインフラ事業」「ITサービス事業」の3つで構成される。2026年6月期におけるセグメント別売上高構成比(営業利益構成比※)は、ITソリューション事業が63.9%(56.5%)、ITインフラ事業が17.8%(35.9%)、ITサービス事業が18.4%(7.7%)となった。売上高の約6割を占めるITソリューション事業が中核事業となっている。
※ セグメント利益の構成比は各セグメント利益の単純合計に占める割合。
主要顧客には、茨城県庁(知事部局、教育委員会、警察本部など)や県内市町村、商工会議所、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、産業技術総合研究所などの公共機関が含まれる。また、日立建機<6305>、日立製作所<6501>、富士通<6702>、NTT東日本(株)、KDDI<9433>、日本電気<6701>(NEC)などの大手民間企業や、東京医科大学病院、東京臨海病院などの医療機関とも取引実績を有している。売上高上位10社で全体売上高の約6割を占めるが、官公庁や大手企業を中心とした長期取引先が多く、顧客基盤は比較的安定している。なお、日立製作所や富士通などを経由した官公庁向け案件も多いことから、エンドユーザー別の実質的な官公庁向けの売上比率は表面上の取引先構成より高いと考えられる。
2. ITソリューション事業
ITソリューション事業は売上高の約6割を占めるグループの主力事業であり、「SI・ソフトウェア開発」「消防防災ソリューション」「GISソリューション」の3分野で構成される。売上高構成比はSI・ソフトウェア開発が約74%を占め、残る約26%を消防防災ソリューションとGISソリューションがほぼ半分ずつ占めている。SI・ソフトウェア開発はアクモス、ASロカス、プライムシステムデザインが担い、消防防災ソリューションはアクモスとASロカス、GISソリューションはASロカスが展開している。
SI・ソフトウェア開発では、民間企業向け業務システムから自治体向け行政システムまで幅広い開発案件を手掛けている。顧客業務に合わせた受託開発に強みを持ち、長年にわたり培ってきた業務ノウハウを活用して最適なシステムを提供している。また、宇宙関連分野では人工衛星の軌道計算など高度な処理を伴うシステム開発にも対応している。こうした高度技術領域での実績は、同社の技術力を示す重要な強みの1つと言える。さらに、システムズサービスのグループ入りにより、保険・証券・銀行など金融業界向けの開発案件も取り込めるようになった。顧客基盤の多様化が進み、事業拡大の余地が広がっている。
消防防災ソリューションでは、主に人口20万人以下の自治体消防本部向けに、自社開発の消防通信指令システム「SYMPROBUS Fシリーズ」を中心に提供している。同システムは、119番通報の受付から出動指令、現場対応支援までを一元的に管理し、迅速かつ正確な消防活動を支援する。公共性が高いシステムであることから導入後の更新サイクルは10年程度と長く、保守・運用需要も継続的に発生する。このため、収益基盤の安定性が高い。近年は全国の自治体への営業活動を強化しており、防災分野における事業規模の拡大を進めている。競合先には、沖電気工業<6703>、(株)ゼネラルなどがあるが、自社パッケージによる価格競争力と顧客ニーズに合わせた対応の柔軟性を強みとしている。
GISソリューションでは、地図データ整備、地理情報システムの構築、GISエンジン販売、地図情報配信サービスなどを幅広く展開している。GISは地図情報と行政情報、不動産情報、設備情報などを連携し、情報を視覚的かつ一元的に管理できるシステムである。自治体では防災や都市計画、固定資産管理などの用途で活用されており、民間企業でも物流や不動産、インフラ管理など幅広い分野で利用が進んでいる。主力製品の1つである「森林ICTプラットフォーム」は、自治体や林業事業者が森林資源や整備状況を一元管理できる環境を提供している。競合先としては、(株)インフォマティクス、アジア航測<9233>、エアロトヨタ(株)などが挙げられる。これら大手企業に対し、同社は自社開発GISエンジンによる柔軟なカスタマイズ対応と、紙地図の電子化からシステム導入、クラウド運用までを一括して請け負える体制を強みとして差別化を図っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 森本 展正)
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