■明豊エンタープライズ<8927>の業績動向
1. 2026年7月期の業績概要
2026年7月期の連結業績は、売上高36,894百万円(前期比23.8%増)、営業利益4,704百万円(同39.5%増)、経常利益3,981百万円(同48.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,745百万円(同45.0%増)と前期に続き大きく増収増益となった。売上面では2023年7月期以降4期連続で2ケタ増収、営業利益は2020年7月期以降7期連続で2ケタ増益を継続中と好調な業績を維持している。期初業績予想に対する達成状況は、売上高は1.9%の未達となったものの、営業利益は23.8%、経常利益は32.7%、親会社株主に帰属する当期純利益は37.3%それぞれ上回り、利益面はいずれも高い水準での達成となり、利益面の好調さが浮き彫りとなった。
不動産業界においては、国内の投資用不動産に対する海外投資家の注目度は依然として高い。円安傾向もかつてに比してやや小康状態にあるほか、金利も上昇局面にあるなか、今なお相対的な割安感もあって引き続き高い需要が見込まれている。同社としてもこのような海外投資家をはじめ、国内投資家への物件販売を積極化することで業績向上につなげた。売上面では、主力の不動産開発事業において「EL FARO」をはじめとする投資用不動産を39棟販売する等の成果を挙げたことで同25.5%増と大きく増収となった。建設事業はグループ内開発案件のほか、外部案件の増加により同25.6%増の増収となった。不動産賃貸事業では管理戸数が増加に転じたほか、稼働率が引き続き高水準を維持したことで同1.9%増収となったが、不動産仲介事業は不動産媒介報酬等の減少で同63.4%減と減収、その他は同48.4%減と減収となった。
利益面では、不動産開発事業においてもともと収益性の高い都内の投資用不動産の販売棟数が伸びたことや、不動産賃貸事業においてサブリース物件が増加したことで利益率が改善し増益に寄与した。また建設事業では外部受注を積極化したことによる増収効果から通期で黒字転換した。これにより各段階利益の増益につながった。
(1)不動産開発事業
売上高30,583百万円(前期比25.5%増)、セグメント利益は4,784百万円(同33.7%増)と大きく増収増益となり、全体の好業績をけん引した。物件売却実績は、「EL FARO」「MIJAS」「LOS ARCOS」で39棟、収益用不動産1棟、開発事業用地2件となった。「LOS ARCOS」については第1号物件を販売した。これらの物件はいずれも都内城南・城西地域を中心とする需要の大きい高賃料エリアに立地することから、高い投資利回りを見込めるため海外投資家からの注目度も高い。また同社の強みとして、建設工事をグループ会社にて内製化できることから原価を抑えつつ、市場実勢にあった販売価格を設定することで高い利ザヤを確保できることも増益面に寄与している。販売面では、現中期経営計画において「販売の水平展開」としてグローバルな販路の構築を進めている。台湾に現地法人を設立するなど販路の拡大を図ってきたことや、社内でグローバルに活躍できる人財を育成・投入したことが成果として現れ、2026年7月期は海外販売数が前期の2件から6件に拡大した。今後についても同社の用地仕入れに関するノウハウや商品企画力の高さを背景に、安定した物件供給を行うことでさらなる向上が期待できる。
(2)不動産賃貸事業
売上高1,662百万円(前期比1.9%増)、セグメント利益は79百万円(前期は1百万円の利益)と増収増益を確保した。投資家等へ売却した物件の管理受託に伴う収入等によるものであるが、減少傾向にあった管理戸数が2026年7月期は6,099戸(前期比253戸増)と増加に転じたことや、管理物件の稼働率が引き続き高い水準を維持したことで増収増益につながった。利益について、管理戸数の増加はサブリース物件の増加等によるものであるが、サブリースは一般の管理受託に比較して高い利ザヤが見込めることもあって、増益の大きな要因となっている。また、資産管理や運用を支援するオーナーアプリ「WealthParkビジネス」の本格稼働や、スマートロック、360度VRコンテンツ制作サービスを活用した内見のフルCG化等のDXが進み、コスト削減に寄与した。なお、管理受託においてもグローバル対応を推進しており、外国人専門保証会社の導入で業務効率化と入居者の満足度向上が進んでいる。
(3)建設事業
売上高4,605百万円(前期比25.6%増)、セグメント利益40百万円(前期は82百万円の損失)と増収となりセグメント利益は黒字転換を果たした。主にグループ会社である明豊エンジニアリング及び協栄組が受け持つ建築・施工の実績が計上され、不動産開発事業で販売する「EL FARO」及び「MIJAS」シリーズに関する開発案件の安定供給のほか、主に協栄組が担当する外部からの案件受注の増加が図れたことで増収増益に寄与した。「EL FARO」及び「MIJAS」シリーズの竣工引渡し実績は18件(前期比2件増)、外部受注分の竣工引渡し実績は7件(前期比4件増)を記録した。外部受注については、協栄組が70年超にわたり積み上げてきたRC造建築の実績が大きく貢献している。また、市場環境として、建設業界における人手不足や働き方改革を背景とした労働時間規制等を受けて工期が長期化し、施工会社の供給力が逼迫するなか、受注側の交渉力が高まっており、同社にとって工期や請負金額、支払条件等の面で有利な受注環境にある。今後も積極的に推進する方針で、工事現場における生産性向上施策や高度外国人材の採用により技術者を確保して生産能力を高めるとともに、ストック市場を見据えたリニューアル事業の体制強化により、さらなる収益拡大を目指す。
(4)不動産仲介事業・その他
不動産仲介事業では不動産媒介報酬等を計上し、売上高20百万円(前期比63.4%減)、セグメント利益20百万円(同62.1%減)となった。その他のセグメントは、主に保険代理業等により、売上高52百万円(同48.4%減)、セグメント利益48百万円(同50.5%減)となった。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬 智一)
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